では『畝傍』はどうして沈んだのか?

 David B. Larter 記者による記事「Here’s how the destroyer Zumwalt’s stealthy design handles stormy seas」。
    タンブルホーム形で凌波性がある。『ズムウォルト』級は、不思議な軍艦だ。

 「シー・ステイト6」のコンディションというのは、波高が13~20フィートになる荒天である。『ズムウォルト』はその海象を敢えて求めてアラスカ湾へ。艦長のアンドリュー・カールソン大佐いわく、タンブルホーム形の本艦の凌波性は、旧来艦型の駆逐艦と同等であると。

 艦長室で感じられるローリングの程度は「シー・ステイト3」、だいたい波高1~4フィートぐらいにしか、思えないほど。

 タンブルホームの傾き復元モーションが、旧来型よりも、機敏なのだ。

 在来艦型の巡洋艦の艦橋トップでは、艦が15度も傾斜すると、このままいつまでも復元しないんじゃないかと思われるくらいに、中正に戻るのに時間がかかる。しかしタンブルホームでは、すぐに元に復帰する。

 旋回もクイック。舵が固く効いて、しかも安定的。「トーキョー・ドリフト」と呼んでいる。

 大波に艦首を突っ込んだときの、なじみの震動も、『ズムウォルト』には皆無。不思議な感覚である。