既存の商船を改造するとして、まず船体前方を医療スタッフや乗員の区画とし、船体後方を検疫対象者おしこめ区画とし、そのあいだにバイオロジカルなバルクヘッドを設けなければなるまい。
船内では、空気は、常に船体の前方から船体の後方へ流れ続けるようにしておく。停船時や、追い風のときでも、絶え間なく。
押し込め区画でも、冷暖房はセルごとに孤立系を備えなくてはならない。
換気方法がとくに面倒になるだろう。
ヘリコプターは、後部デッキだけでなく、前部デッキにも降りられなくてはいけない。
とすると、船体の中央にブリッジがあり、その前もその後ろもヘリコプター甲板になっているという、独特な船型にするしかない。
上甲板の面積を広くしたければ、双胴型か三胴型。それで碇泊中の揺れも最小限になるだろう。
次。
Todd Carney 記者による2020-2-4記事「Russia’s Proposed New Pipeline Threatens U.S. National Security Interests」。
ロシアとウクライナは2014年いらい戦争状態にあるが、そのエスカレーションはひとつのくびきによって抑制されてきた。すなわちこれまでロシアは、ウクライナ領内を経由して、大量の天然ガスをヨーロッパ方面へ輸出していたのである。
ところがその事情が、ガラリと変わるかもしれない。
「ノルド・ストリーム2」と呼ばれる新パイプラインが、ロシアからドイツまでの間を、まったくウクライナ領を通さずに、直結する。
これは米国にとっても由々しい結果を呼ぶ。欧州はエネルギー面で決定的にロシアのガスに依存するようになる。もはや米国の対露非難には同調しなくなるだろう。欧州が米国に同調しないなら、ロシアは侵略し放題になるだろう。
現状では、ロシアから欧州向けの天然ガスの半分は、ウクライナ領を通るパイプラインによって輸出されている。また欧州の対露ガス依存度は、30%である。
ロシアの目標は、生産した天然ガスの輸出の90%を欧州向けにすることだ。
現在、ウクライナじしんが、天然ガス需要の60%を、ロシアからの輸入に依存している。これがぜんぶ止められたらどうなるか。
※ウクライナはいかなる抵抗もできなくなり、ロシアに再併合されるだろう。
ロシアとウクライナはガス価格をめぐって2006年からもめている。それでロシアは、ウクライナ領をバイパスする決心を固めた。06年にはドイツと、07年にはトルコとの間で、それぞれ、直結パイプラインの建設で合意。ドイツ向けの新パイプラインは、2011年に竣工しており、トルコ向けのパイプラインは、2020-1に完成したのである。
これから10年ほど、ウクライナは、新たなガス供給源として、ハンガリー、ポーランド、スロヴァキアを模索するだろう。
北海の海底油田によってロシアのガスをドイツに直送するルートは、「ノルトストリームAG」といい、すでに2本が、2011と2012にできあがっている。
2015の実績として、このルートで100億トンのガスが欧州へ輸出された。
そこで独露は2015-6にさらに協定を結び、輸送能力を2019末までにさらに550億トン増やす新パイプラインの敷設について合意した。
この「ノルト・ストレム2」だけでも、全欧のガス需要の1割を供給できる。
パイプラインの東端は、サンクトペテルスブルグのウストルガ港。西端はドイツのグレイフスヴァルト港。
新パイプラインはデンマークの大陸棚350海里内を通るから、もし環境汚染の危険があれば、国際法にもとづき、その敷設を禁止できる。しかしデンマークは、問題はないとした。
そしてデンマークの領海25海里内は通らないので、EUは、このパイプラインを規制することはできない。