おめぐみを。

 STARS AND STRIPES 記者による2020-4-13記事「Air Force evacuates coronavirus patients from Afghanistan in first use of isolation system」。
     米空軍がTIS(輸送中隔離確保システム)を始めて実戦使用した。
 このシステムは、大型輸送機で伝染病患者を空輸するときに、その輸送機の固有クルーや、付き添いの衛生兵たちが感染したり、機体が汚染されてしまうリスクを、局限できるように設計されている。

 C-17のパレットの上に、患者を入れるアイソレーション・モジュール×2と、衛生兵らがその中で待機する「前室」モジュール×1を据える。

 看護はアイソレーション・モジュールの中で行なう。軍医らは、前室モジュール内で除染し、PPEを脱ぎ捨てることができる。

 なお空輸は、サウスカロライナ州の基地発、ドイツのラムステイン基地着で、2名の新コロ患者はランドストゥール地域医療センターに送り込まれた。

 C-17の機内は与圧されている。その環境下で、初めて実地試験されて成功したことになる。

 次。
 Alex Knapp 記者による記事「The Secret History of the First Coronavirus」。
     2016年にギリシャのアテネ市の病院に45歳の女教師が救急搬送されてきた。非喫煙者で既往症もない。
 症状は、39度5分の高熱、乾いた咳、頭痛の愁訴。ERドクターが聴診したところ、左肺下部に呼吸時雑音が。胸部レントゲンの結果、異常が確認された。

 医師は細菌性の肺炎を疑い、抗生物質を投与した。だが2日経っても症状は悪化。原因細菌も検出されなかった。

 患者は呼吸困難に陥り、酸素吸入装置をあてがわれた。医師たちはさまざまな原因を疑い、検査した。SARSでもMERSでもなかった。

 ひとつだけ陽性の結果が出てきた。医師たちは俄かに信じられず、もういちどテストし、間違いないことを確かめた。この患者は、「229E」に罹っていた。それは世界で最初に発見されている古いコロナウィルスだった。

 1965年、シカゴ大の女性研究者により、「229E」は発見されている。

 20世紀なかばの医師たちの悩みは、ウィルス性の風邪をひいた患者の35%については、その原因ウイルスが特定できないことであった。
 この研究者は、風邪を引いた学生の細胞を培養して、そこに「229E」を見出した。

 同じ頃、英国のティレル教授の率いる研究チームも、ありふれた風邪の原因ウィルスをつきとめようとしていた。

 培養細胞上に、彼らは新タイプのウィルスを見つけたと思った。ティレルらは、電子顕微鏡で撮影した写真から、それが1930年代のニワトリの疫病の原因病原体である「鳥気管支炎ウィルス」と似ていることに気づいた。コロナウィルスが人間にも伝染するのだと、初めて確認された。

 当時は、今では考えられない実験が行なわれていた。ティレルは、113人の志願者の鼻の中に、単離培養したそのウィルスを入れてみたのだ。そのうち1人が、ついにトリの病気に罹った。
  ※いや今でも某国ではそういう実験してるんじゃね? 囚人使って。

 同じ頃、国立保健研究所のマキントッシュ博士は、普通の風邪の原因ウィルスを探し続けていた。
 彼のチームは、今日「OC43」と呼ばれる、人間が感染する普通のコロナウィルスを発見した。このウイルスは今でも呼吸器系の疾患を引き起こしているものである。
 「コロナウィルス」という呼び名は1968年に定着した。電子顕微鏡で見たときに、丸いウィルスの辺縁から、太陽のコロナが放射しているような風情があったので。

 しかし「229E」も「OC43」も、2003年にSARSが流行するまで、世の関心を惹かなかった。というのは、「229E」や「OC43」が原因の風邪は、マイルドな風邪のありふれた療法で対処ができたからだ。

 だが2003年のSARS(やはりコロナウィルス)は、中国から発生して、最終的に29ヵ国に飛び火した。
 そして8096名の確認罹患者のうち774人を斃したのである。俄然、研究者たちは、コロナウイルスを見直した。

 その結果、「NL63」および「HKU1」という風邪の原因になる新たなコロナウィルスが発見されている。さらに2012年には、ようやく「229E」の完全なゲノムが解明された。

 同時に、「229E」が、免疫に弱点を抱える患者に対しては呼吸器系の深刻な症状を引き起こし得るという症例が多数、報告されるようになった。

 いま、コロナウイルスは8種類知られている。そのうち4種類が、他の4種類よりも致死率が高い。この違いはどこから来るのか、未解明である。

 8種類の共通点は、コウモリである。人間に感染するコロナウィルスはすべてコウモリに起源がある。

 コウモリは、生きた動物を売り買いする市場や、動物小屋の動物に接することで、間接的に、コロナウィルスを人間界に拡散させたのだろう。

 「OC43」は、18世紀に牛から人に移ったと推定されている。
 「MERS-CoV」は、ラクダから人に移った。

 くだんのギリシャの女教師はさいわい、ヴェンチレーターの世話にもならずに快癒した。2年後に胸部X線写真で確認したら、肺もすっかり健康に戻っていたという。めでたし。

 マキントッシュいわく。コロナウィルスのRNAは、動物に感染するすべてのウイルスのうちで、ゲノムがいちばん長大です。したがって未解明の謎も多いわけです。

 次。
 JENNIFER SINCO KELLEHER 記者による2020-4-12記事「Guam worries as sailors from virus-hit aircraft carrier take over hotels」。
     グァムに碇泊中の空母『TR』は4865人の乗組員が新コロテストを受け、かつ、下船。4-9時点で580人以上の者が陽性判定され、1人は入院した。※この1人は4-13に死亡した模様。

 陰性判定された1700人以上の水兵が複数のホテルに隔離されている。

 グァムのワイキキと言える「テュモン」地区に住んでいる人(グァムは米領であり、皆、米国人である)いわく。その隔離水兵たちがどこに隔離されているのかが住民には明かされていないので、こっちは、えらい心配だ。

 グァム島のホテル&レストラン協会の会長さんいわく。どこだと話すわけにはいかぬが、ホテル10棟が隔離用に提供されている。最大4000名の海軍将兵を個室に案内できる。7つのホテルはすでに一般客の新規予約受付を停止している。

 グァム島の面積の三分の一は米軍の管轄下であり、これまでもグァムの民間ホテルは軍人たちを普通に宿泊させてきた。

 隔離個室には、リネン類は置いてあるが、2週間の隔離中、ホテルの従業員は一切サービスしない。水兵たちと接触するのは、憲兵と、医療チームのみに限定される。

 ホテルの厨房職員たちのためには、海軍から、マスク、手袋などのPPEが送り届けられた。従業員が料理を作り、それを、憲兵と衛生兵が各室まで届けてやる。

 ※今回の新コロにやられて味覚・嗅覚が狂った人たちは、鼻や舌の感覚もいつか全快するのだろうか? それとも、完全恢復は無理? もしそうだとしたら、プロの調理人や、テイスターたちは、こいつに罹ったが最後、転職するしかないのか? ベートーベンは重度の難聴にめげずに第九を完成したが、創作菓子職人は、いったいどうしたらいい?

 グァム島内では、海軍とは関係ない人々123人が、新コロ陽性。そして5人が死亡している。

 このたび海軍は、300室以上ある大規模ホテルだけを押さえた。これは、他の弱小ホテルにとっては、行き場をなくした利用客を吸収できるチャンスになった。

 次。
 Valerie Insinna 記者による記事「Commercial aircraft industry’s woes could help Air Force pilot retention」。
      これまで空軍のパイロットがどんどん早期退職して民航会社に就職してしまう流れが止まらなかったが、新コロ騒ぎで民航が軒並み倒産の危機に直面し、民間パイロットの給与待遇が悪化すると想像されるので、軍のパイロットが退職を思いとどまったり、民間から再び軍に戻ってくるパイロットが増えるのではないかと、期待されている。

 「ジェットブルー」社と「サウスウェスト航空」はいちはやく、新規採用を停止した。「アメリカン航空」は従業員たちに「休職(leave-of-absence)オプション」を提示中である。

 次。
 David Rotman 記者による2020-4-8記事「Stop covid or save the economy? We can do both」。
       感染を放置した方が早く経済は回復するという考えが一部米国指導者の中にあるのかもしれないが、それは間違っている。

 死者が出すぎると、生き残っている人たちは、非常に用心深くなり、流行がおさまっても、もうレストランを利用しないし、旅行で飛行機に乗ろうとも思わなくなるはずだ。

 ※経済活動および勉学の「時間」と「場所」を徹底的に分散することにより、1国内にあるICUにいちどに担ぎこまれる総人数を、長期にわたって、一定線以下に抑制し続けることができるはずだ。そうやって経済と感染抑制のバランスをはかり続けるしかない。まずは、「土曜日と日曜日を廃止する」ことだ。すぐにできるんだから。

 1918のインフルエンザのとき、クリーヴランド市はすぐに学校を閉鎖し、人の集まりも禁じ、その措置をずっと長く維持した。これに対してフィラデルフィア市の対処は遅く、諸制限措置の期間もクリーヴランド市の半分で終わらせた。結果、クリーヴランド市では人口10万あたり600人が病死。フィラデルフィア市では人口10万あたり900人が病死した。そして1919年の雇用伸張は、クリーヴランド市が5%だったのに対して、フィラデルフィア市は2%だった。

 つまり、ロックダウンをしっかり続けた方が、経済回復は良くなるのである。

 経済回復のためには、簡単に手早く判定可能な新コロ検出キットが不可欠だ。それが全住民分、いきわたれば、人々は自発的に自分で陽性か陰性かをテストする。陽性なら自宅に籠もり、陰性なら2週間は出歩ける。出歩くときには陰性の結果を示すシートを携行する。そして2週間したら、ふたたび自分で判定テストする。それだけの話だからだ。
 ようするに「マッシヴ・テスト」ができるかどうかが鍵になる。

 現状では、病院用の検査キットすら足りていない。
 一論者いわく。政府が大金を突っ込むべきところは、まさにここなのだ。1000億ドルをつぎ込めば、全米の住民に必要な検査キットを製造できるから、と。


(以下、管理人より)

 おめぐみを……。