「昆布館」はどうすれば閉鎖にならないで済んだのか?

 もともとの着想は、良かった。類似ネーミングの他施設は、日本中どこにも無いからである。

 そして、コストのさほどかからない追加努力により、この施設は《日本で唯一》の存在感ある《名所》に昇格できるチャンスがあった。そのチャンスを、無為と無策によって棒に振ったように思う。それが残念だ。

 実質の「海藻植物園」にすればよかったのだ。ミニ水槽を並べて、津軽海峡の海水で育つすべての種類の海藻を、ここに来れば、生きている状態で、目で確かめることができる。そんな、私設の展示館に……。

 正式の博物館にはしない。だから、学芸員など余計な人件費もかからない。
 海藻の育て方をしくじり、たとえば、ひとつの水槽が全滅するようなことがあっても、客は非難攻撃するだろうか? 水族館じゃないのだ。運営は、ボランティアやパート主体の最少人数のイージーモードで可能だっただろう。

 類似の「植物園」は他にどこにも存在しないのだから、興味のある人は、一度はここに来て覗いて見ようかという気にもなる。海藻に何の興味もない、ただの通りすがりの観光バスの客たちも、トイレ休憩のついでに5分間ほどで屋内回廊の全水槽を眺め歩いて、何か得した気分になるだろう。

 口コミで集客が持続できる、コンテンツとなったはずなのだ。

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 Mike Stone 記者による2020-8-6記事「Exclusive: Taiwan in talks to make first purchase of sophisticated U.S. drones – sources」。
      米国はすくなくとも4機の「シーガーディアン」無人哨戒機を台湾に売るようである。
 台湾の現用の艦載ドローンが航続160海里しかないのにくらべて、この新鋭無人機は6000海里=1万1000kmの航続力がある。

 シーガーディアンが武装可能なタイプなのかは不明。
 輸出には議会の承認手続きが必要である。

 トランプ政権もこれまで台湾に無人機を売ろうとしたことはない。しかしMTCR見直しとともに政策を転換した。
 おそらく4機+付帯品・サービスの売価は6億ドルぐらいだろう。
 台湾現有の固定翼無人機は「アルバトロス」という国産品で、26機ある。

 シーガーディアンは、ジェネラルアトミクス社の製品だ。「MQ-9 リーパー」の派生型だから、武装させることもできてしまう。

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 Matt Phillips 記者による2020-8-7記事「Smoke on the Water: The Global Challenge of Shipyard Fires」。
        2012に原潜の『マイアミ』が修船中に火災を起こし、復旧には7億ドルかかると見積もられて、そのまま除籍された。艦齢20年ゆえ、あと10年は動かせるはずだったが……。

 こんどの『ボノム・リシャール』も、同じ運命だろうか?

 じつは『リシャール』火災の数日後に、同じワスプ級の『ケアサージ』も、ノフォーク軍港でオーバーホール中に、小火災を起こしている。

 2019-11-14には、『イオージマ』がフロリダ州メイポートでメンテナンス中、艦内倉庫区画から出火し、鎮火までに5時間近くかかった。

 2018-11-10には、駆逐艦『オスカー・オースティン』が、ノフォークのBAE工場で火災を起こした。4100万ドルかけてオーバーホールをしていたその最終工程で、やらかしてしまった。

 艦内火災はしばしば、「ホット・ワーク」が引き金になる。熔接、溶断、切断、グラインダーがけなどの作業が、熱を発生し、火の粉を撒き散らすので。
 『オースティン』の艦隊復帰予定は2022年以降にずれこんでしまい、復旧コストは1600万ドルという。

 2017年に衝突事故を起こした『フィッツジェラルド』はミシシッピ州のパスカグーラにあるインガルス造船所で修理されていたが、2019-5にその艦長が、作業中に15件以上の小火が起きており、いつ大火事になってもおかしくないという懸念を月報の中であきらかにした。

 2020-6にはツーロン軍港で仏原潜が艦内火災を起こし、消火までに14時間かかった。やはり「ホットワーク」が原因で、前日からくすぶっていたらしい。

 2020-4-11には、公試運転前の艤装をしていた中共の『075』型強襲揚陸艦内で火事。熔接の火花が、ディーゼル燃料があるところまで飛んだらしい。同艦はペンキを塗りなおされ、何事もなかったかのように、公試運転へ進んだ。

 2019-12にはロシア空母『アドミラルクヅネツォフ』が火災に。2019-4には、乾ドックから出ようとしたトルコの最新型ヘリコプター揚陸艦で火災発生。

 またイランのブシェール造船所では今月、船火事が急に多発している。こちらは破壊工作の疑いもあり。

 人間が外科手術を受けているときには、空気中の雑菌がちょくせつに体内に入ってしまうリスクがあるから、プロによる徹底した管理がなされている。
 かたや修理中の艦艇は、この患者以上に、危険に対して脆弱である。なぜなら、艦内には、見張りや消火に必要な水兵が配備されてない状態だからだ。
 ホースやワイヤーを通しているために区画ハッチは閉められないし、あちこちに可燃性のマットが敷かれていたり、可燃性の足場が組まれている。

 インド海軍は、コチン造船所において、国産初の空母から、コンピュータやら資材やらが作業員たちによって盗難されて売り捌かれるという問題に直面した。

 『ボノムリシャール』の火事の片付けのために米海軍は「ナショナル・スチール」造船会社に1000万ドル与えるという。これはおかしいのではないか。火事の責任が造船会社にあるとしたら。

 この種の船火事を起こした造船会社が、海軍から罰金を請求されたという話は、これまで、全く無いのである。また、そうした造船会社が、海軍から次の発注をカットされたという話も、全く聞かれない。