SPY-7を抛棄しない限り、「地ージス洋上化案」は永久に完成などできない。しかしSPY-6に戻せば、内局の誰かの首が飛ばずには済まない。

 整理すると、こういうことなのだろう。
 ロックマートの口車に乗せられて、さいしょにSPY-7の採用を決めてしまった内局責任者と当時の大臣が腹を切りたくないがために、この問題は長引く。当時の関係者が皆新コロで死に絶えるまで問題を放置するというのが、日本の役所的には最善であろうからだ。

 SPY-7はそもそも対ICBM用のレーダーなので、日本が必要とする対IRBM用途のスタンダードミサイルとの相性が存在しなかった。存在しなかったものをゼロからソフトウェア上で組み上げて行く作業は、現実の国家防衛のスケジュール表の上では、記入の意味がないほど時間がかかる。実質、それは永久に完成しない夢物語と同列だと考えてよいだろう。半永久に多額の開発費をロックマートへ貢ぎ続けるしかないスキームでもあるのだから、国家や省の予算的には《悪夢》そのものだ。阿呆ではないかと。

 SPY-7を三タイプのプラットフォームのどれに載せようかなんて話も、ロックマートに賠償金を払いたくないための焦点ずらし。副次派生的な問題でしかない。SPY-7を選択する限りは、原案そのままの(ブースターを漁村に落下させてもよいとする)「地ージス」だろうと、いまとりざたされている「地ージス洋上化案」のどれにしようとも、20年かけたところで仕上がりはしないのだ。この現実のほうが、深刻な大問題だ。なぜなら、今から数えて優に30年間ぐらいも、日本国民は、中共やシベリアや韓国から飛んでくる核ミサイルの危険には無為に晒されっぱなしになる。一国の政府としてそれで許されるのかというのが筋論。ところが内局責任者は腹を切りたくない。それで話がフリーズしている。

 解決策はひとつある。それは北海道の狩場山(ほぼ無人の山地)か松前大島(無人島)に、イージスとは敢えてシステムをインテグレートしない、単独の、「宇宙兵器脅威監視」を名目とした純然「高性能警戒レーダー」としてのSPY-7基地を建設させることだ。名目をちょっと工夫すれば「海保」の縄張り施設にもし得るだろう。予算も海自予算ではなく海保予算の増額で対応できるかもしれない。どのみち日本は「国防費を倍増しろ」という次期米政権からの要求に応えねばならない。海保予算も広義の国防費だと説明できる。

 北海道は、北鮮とアリューシャンの、大圏コース上での中間点に位置する。だから、無理なく、米国のGBIにシステム連接できる。そうなればロックマートも仕事が楽だし、ホワイトハウスも喜ぶ。したがって日本政府は、ロックマートとの法廷での「手打ち」が楽になるのだ。

 かたや、わが「地ージス」代案の方は、SPY-6搭載の専用低速護衛艦を考えて行く。
 そのために海自があらたに必要とする人員枠は、陸自から割愛するしかないだろう。
 「SPY-7じゃダメですよ」と大事なところで注意をしなかった、不見識・不作為の罪を、陸自は、人員割愛で贖え。

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 Loren Thompson記者による2020-10-2記事「Raytheon Defines First Principles For Building A Space Sensor Layer」。
     ハイパーソニック時代の広域ミサイル監視網を「スペース・センサー・レイヤー」とレイセオン社では称している。
 LEO周回衛星を数十から数百機も統合する大システムだ。その情報をイージスに連接する。

 長射程のハイパーソニック弾の登場は、何を意味しているか?
 米国ですら、それを迎撃する手段が、皆無になっているということなのだ。
 これまで構築してきたBMDは、もはやすべて、役に立ちはしないのである。

 米国は対露のBMDのために過去、1000億ドルも投資してきたのだが……。

 ハイパーソニック弾の登場以前は、ソ連や中共が発射した弾道弾がどこに落ちるか、弾道の中間点以前において、すぐ計算することができた。飛翔コースが予見できるから、それに真っ向から衝突するABMも可能だったのである。

 しかしハイパーソニック弾は、飛翔コースを途中で何度も変えてしまうので、それがどこを通ってどこへ落ちるのか、計算が追いつかない。落達の直前に地面附近で高射砲で迎撃することぐらいしか考えられなくなった。

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 ストラテジーペイジの2020-10-3記事。
  ノルウェーは、米海軍の最新のSSNを迎え入れるために、トゥロムソにある潜水艦基地の埠頭を拡大する。ブンカーではない。

 全長138mの『カーター』が接岸できるようにする。こいつはシーウルフ改型で、1万2100トンもあるのだ。
 ありふれたロサンゼルス級だと全長は115m、排水量7900トンであった。それよりもひとまわりデカい。

 原潜として世界一静粛なシーウルフ級は全部で3艦しか建造されなかった。最後に竣工した『カーター』は、胴体の中央部分をひきのばし、水中工作のための機材を出し入れしやすく改造された。それで一層デカくなった。
 2010年に韓国のコルベットが撃沈されたとき、水中の残骸を拾い集める作業に、この『カーター』が投入されている。

 ブンカーがあるのは、近くのオラフスヴェルン基地だ。ブンカーは1970年代に掘られた。ただしシーウルフ級はデカすぎて、このトンネルに入ることはできないという。



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