Joe Concha 記者による2020-11-19記事「The new marshmallow media in the Biden era」。
マシュマロ・メディアとは、質問にはあらかじめ台本があり、記者が取材相手を気遣いまくる、そのような報道態度である。
11-16のバイデンの記者会見はまさにそのようなものだった。誰が質問するかはバイデン側のスタッフによってあらかじめ指名がされていた。
民主党の候補指名を得てから以後のバイデンの記者会見では、なぜか指名された記者たちは、トランプについての質問ばかりした。バイデン本人の政見についてはほとんど質問しなかった。貿易、銃器規制、移民、教育、税制をバイデンはどうするつもりなのかについて、だからわれわれは何も知らないのである。
16日にバイデンは12個の質問を受けた。答えを聞いてさらに食い下がった記者は1人もいなかった。回答の途中で口をさしはさんだ記者もなかった。貿易、銃器規制、移民、教育、税制についての質問は、そもそもゼロであった。
もうひとつの奇観。
バイデン陣営は、カマラ・ハリスの単独記者会見を、許していない。なんと民主党大会で副大統領候補に決まってから、投票の前後を通じて、カマラの記者会見は、これまで、皆無なのだ。透明人間状態にされている。
2016年の大統領選挙のときはどうだったか。トランプの記者会見の2日前に情報機関の長が、ロシアが選挙戦に介入したと発表。これにより記者たちは会見にてプーチンに関して13回質問し、ロシアが介入しなくてもトランプが勝てたということをトランプが証明できないかぎり有罪だという態度で責め立てた。なんという相違であろうか。
※来年1月末から在野の私人になるトランプ氏は、政治評論家として隠居する気はないだろうから、バイデン政権が何かするたびに、自身の政策と対比して罵倒・非難し、メディアに最高のネタを提供し続けるだろう。バイデン政権はこれを《ノイズ》として無視することはできないだろう。無視すれば次の中間選挙で民主党の地すべり敗北に結びつきかねないからだ。
次。
Flight International 誌の記者による2020-11-20記事「Why UAE F-35 deal makes sense to Washington – and Israel」。
2019-11のドィバイ航空ショーにはF-35は展示されなかった。しかしこのたび米国はイスラエルの反対を押し切ってUAEへの売却を決めた。
UAEはF-16E/Fを保有している。これだけでも強力なのだが、そこにF-35が加わる。
UAEがF-35を取得するころには、サウジも対抗のためF-15SAを、バーレーンは16機のF-16Vを、クウェートは36機のタイフーンを調達するだろう。
カタールはイラン寄りのため湾岸で孤立しているが、それでも36機のラファールにさらに23機を加え、F-15も23機買い、タイフーンも24機買う。
UAEは、50機ものF-35Aと、18機の武装攻撃型「MQ-9B リーパー」を取得することになる。
またUAEと米国間の民航路線の直行便も認められるという。
これは、イスラエルとの外交関係を正常化したご褒美なのである。
イラン以外のすべての湾岸諸国には、これは朗報なのである。
※サウジは実質上、対イランに関してイスラエルとは攻守同盟関係にあるが、だからといってイスラエルを公式に承認すると、メッカの地主としての沽券にかかわってしまう。また米国もあの人殺し王子をあまり調子づかせるわけにはいかない。UAEを強化してやるのは、対サウジと対イランの両面の意味がある。
UAE空軍はサーブ製の「グローバルアイ」空中警戒機によっても強化される。イラン軍は圧倒されるはずだ。
イスラエルはいま「F-35I」を23機有する。計画ではその総数は50機まで増やす予定。
イスラエルはF-35の運用経験で一日の長があり、さらに、独自の改修強化ができる国なので、近隣国がF-35を手にしても、その優位が脅かされることはない。
※オバマ政権時代に中共の悪事が放置された機序は、以下のようなものだと思われる。すなわち、スーザン・ライス氏などDCでのしあがる黒人は、白人に認められることに人生のエネルギーを傾注してきたので、政府中枢要人にのしあがると、いよいよ欧州首脳との付き合いに熱中したがる。欧州人から熱心に促されるままに、中東とロシア方面に米軍の資源を集中させてしまう。アジアの首脳たちと深くつきあっても、じぶんの《身分》《家格》が上昇したようなテレビ映りとはならないから、アジア・アフリカ・ラ米政策の立案から実務まで、あらかた他人へ丸投げとなる。中共がつけこんで体よく利用できる隙が、そこにはふんだんに生ずる。思えば、ブッシュ政権のコンドリーザ・ライス氏が学生時代にソ連を専攻していたのも、それが欧州政治家たちから一目置かれるテーマだからだろう。そしてまたトランプ大統領が「反支のブラックボックス」としてアジア諸国から歓迎された所以は、政界入りする前にセレブであるドナルド・トランプには《家柄》を向上させたいといった《小人スノブの野心》がまるで無かったおかげだ。彼にもし貴族崇拝があったら、娘をユダヤ人とは結婚させないからね。そんなだから、トランプは欧州人の機嫌も取らなかった。さて日本はバイデン政権に期待せずにさっさと中共を亡ぼす算段を立てねばならない。複数のオプションがあることは、すでに著書の中で呈示しておいた。
次。
Jamie Hunter 記者による2020-11-20記事「America’s Elite Flying Unit That Made The Recent Long-Range Hostage Rescue In Africa Possible」。
ニジェールから隣国ナイジェリア領に拉致された米人フィリップ・ウォルトンを山賊の手から奪回した2020-10-31の作戦の詳細がやや分った。
英国内の基地からMC-130J(×4機以上)で「チーム6」が南下。途中、スペインのロタ軍港基地に立ち寄り。ニジェールでパラシュート降下。これが現場への潜入。
脱出にはCV-22B(×6機)を使った。
オスプレイのうち4機が先行して密かにニジェールに到達していた。
空中給油は棚田灌漑式に実施された。まず複数機のKC-135Rが、MC-130Jに給油してやった。そのMC-130Jが、こんどはオスプレイを満タンにした。
この空中給油がなければオスプレイも片道1700マイル〔ノーティカルマイルならば3146km〕以上も飛べやせぬ。
現場の上空援護のために1機のAC-130Jが参加している。
また全般の通信確保等のために海軍が1機のP-8Aを飛ばしていた。
レイセオン社製の「サイレントナイト」と呼ばれる、凹凸のある地形の上を暗夜に超低空で安全に飛べるレーダー航法システム。これがMC-130Jには装備されている。
CV-22Bにも同じ特殊レーダーを近々、載せる予定だが、このたびの作戦参加機がどうだったのかは不明。
日本の武器で滅びる中華人民共和国 (講談社+α新書)
[新訳]孫子 ポスト冷戦時代を勝ち抜く13篇の古典兵法