John R. Harvey 記者による2021-9-9記事「Anticipating the Biden Nuclear Posture Review」。
新大統領はその最初の任期の前半に「ニュークリア・ポスチュア・リヴュー」(核態勢見直し=NPR)を発表するのが、過去数十年来の、米政権の習いである。
※ポスチャーはラテン語の「姿勢」が語源である。
トランプのNPRは2018、オバマのNPRは2010に提出されている。バイデン版のNPRはどうなるだろうか。
ロスアラモスのプルトニウム製造工場が老朽化しているのでこれはなんとかしなくてはいけない。
RVを地中深く貫徹させてから小規模な核爆発を起こさせ、地表は汚染しないタイプの新しい核兵器が求められている(対イラン&北鮮用)ので。
※北鮮がこのタイミングで軍事パレードに弾道ミサイルを登場させなかったのは、これを気にしているからだろう。つまり「ロバスト・ニュークリア・アース・ペネトレイター」は三代目を非常にビビらせていることは疑いない。これは本人が生まれつきのビビリ屋ではなくとも、とりまきがビビらせ、いつしか習い性となるのである。江戸時代のお殿様の世子の扱いを想像するとよい。その逆に中共はまさにバイデンのNPR作業が開始されるタイミングで「東風41」サイロ数百箇所を堂々と一斉に構築し始めた。その理由は兵頭の次著を待て。
米国は、地下核実験は自主的に自制しているが、ネヴァダではいつでも実験できるような態勢はできている。
『オハイオ』級SSBNは1980年代の設計なので、次世代の『コロムビア』級で更新しなければならない。
「ミニットマン3」も、次世代ICBMである「GBSD」によって更新しなければならない。
次世代の戦略爆撃機として「B-21」を導入することはもう既定路線である。
戦略爆撃機から発射する空中発射巡航ミサイルは、次世代の巡航ミサイルである「ロング・レンジ・スタンドオフ」ミサイルによって更新したい。
対露有事にB61水爆を与えられるNATO同盟軍の戦闘機のことは「DCA」というが、このDCAの次世代用として「F-35」を提供し、同時に「B61-12」爆弾の延命作業も進めなくてはならない。
核弾頭を装置できる潜水艦発射式の次世代の巡航ミサイルを、10年以内に実戦配備しなければならない、とされてきた。
バイデン政権は、この「核SLCM」の計画を転換するのかどうか?
核戦争を指揮統制するシステムも、次世代型への更新が待たれている。
トライデントD-5にとりつける、低イールドの核弾頭は、すでに開発完了した。※大深度にめり込むRVではない。よって地表は汚染する。
次世代のSLBM用の核弾頭として「マーク7/W93」を研究させたい。
核爆弾のコアとして挿入する、プルトニウムの入った小球体を「ピット」と言うが、このピットの量産力が不足なので、2030年までに、年産80ピット以上にまで増やしたい。
放射線を浴びても機能が阻害されることのない電子部品や回路の研究は継続すべし。
GBSDをどうするのかは、ひとつの大きな検討課題。核抑止はSLBMの近代化でいいじゃないか、ミニットマン3も全廃しろ、と意見する勢力がある。もしそうするなら、年産80ピットは必要ない。巨額予算を他に使えることになるから連邦議員たちもさまざま口を出してくるのだ。
空軍ではないグループが試算したところでは、ミニットマン3を近代化するのにかかるカネは、GBSDの新規開発予算に匹敵してしまうそうだ。
ミニットマンはブースターの中身である固体燃料が古くなり劣化する。これまで、その中味を溶かして排出し、あたらしい固体燃料を充填する作業はやってきた。
しかし、それにも限度がある。筒体からして新品と交換する必要があるのだ。
次。
Julian Ryall 記者による2021-9-9記事「Japanese company that exported machinery capable of making bio-weapons to China sues over arrests」。
昨年、横浜の「おおかわら・かこうき」という会社が、生物兵器に利用される装置「スプレー・ドライヤー」の技術を不法に中共に輸出したと米国のトランプ政権から疑われ、日本の警察が米政府を忖度して、幹部社員3人を逮捕した。3月と5月に。
この3人のうち1人は2021-8月の公判開始前に死亡した。残る2人は2021-2まで拘留されていた。
彼らとその遺族らが国に500万ドルの補償を求めて裁判を起こした。東京地裁に、水曜日に。
というのも、輸出が違法だとされた装置は、ただのフリーズドライ食品製造マシンだったのだ。
逮捕は昨年の3月と5月になされた。
輸出された装置は、インスタントコーヒーなどの製造に使われるものである。
警察は、これを改造すると生物兵器製造に転用できるとしたのだ。
被告らは無罪を主張している。
開廷の4日前、検察は起訴を取り下げた。7月後半のこと。
原告らは主張する。警察は、無実を証明する証拠を意図的に隠したと。この装置の輸出が少しも違法ではないことを説明しても聞かなかったと。
検察は、まったく謝罪をしていないという。
7月には東京の「とねがわ せいこう」の社長が、軍用級ドローンに使えるモーターを中共に輸出したという容疑で起訴されている。
同社は2006から、1万1000個のモーターを、中共やUAE等に輸出した。国連は、そのモーターがイランの軍用無人機に使われていることを報告している。