忍者事件 続報。

 Chad Garland 記者による2021-10-1記事「Authorities identify suspect in bizarre ninja attack on special ops troops at Calif. airport」。
   ニンジャになって米空軍特殊部隊を襲った男は35歳のジノ・リヴェラ。

 曹長が斬られたところは腕ではなく、携帯電話と膝と下肢。
 タバコを吸っているところを襲われた。

 通報でかけつけたシェリフはまず非殺傷性の弾丸を発射したが制止できず。
 テーザーを発射することで、ようやく犯人を取り押さえたという。

 ※いきなり射殺してないということは、犯人は黒人ではなかったということ。

 次。
 俺氏、夜間に敵の歩哨線を越えるときに使える、「完全消音」にできる拳銃など、ありえなかったのだと、このトシにしてようやく悟る。だがしかし、「抱え大筒」ならば「完全消音」は可能ではないかということにも気づいてしまったぞ!

 サイレンサー/サプレッサーが拳銃弾の発射音をどのくらい抑制できるのか実験しているユーチューブの投稿をいくつか見たら、WWII中に英軍特殊部隊用に特製された専用の消音単発拳銃の「Welrod」(なんといまだに現役で、湾岸戦争でも持ち出されているという)ですら、「パァン」という音が響くのをなくせないのだとわかった。
 しかも、もともと.32ACP仕様であったウェルロッドに9mmパラベラム〔ラテン語なんだからわれわれは「パラベルム」と読むべきか〕仕様が加わっているのは、.32だと威力不足だとユーザーから文句がついたからだそうである。

 ならばOSSはどうして .22LR仕様の消音拳銃を作ったのか、あらためて気になってしまった。ストッピングパワー不足は連射で補えという発想なのか?

 英文ウィキペディアではそのへんはわからなかったが、WWII中のOSSは、.22を使うハイスタンダード拳銃にサイレンサーをとりつけたものを好んだそうである。
 ※どうして『ワイルドセブン』で.22が使われていたのか、これで長年の不審が解けた。消音器前提ならば .22の小さい音の方が消しやすいのは理の当然。チェチェンではゲリラがペットボトルで射的用.22ライフルを消音しているとも伝えられている。「ワイルドセプン」が暗殺仕事人だとすれば、.22こそふさわしかったのだ。でも、飛行機を下から射って落とそうとしちゃいけないよね。

 ドノバンはFDRの友人だったので、規則を破って大統領執務室にその拳銃を持ち込み、持参のサンドバッグに10発を撃ち込んでみせ、その生暖かい銃をFDRに握らせたという、とんでもエピソードまで紹介されていた。

 ついでなのでユーチューブで「キャプティヴボルト」の音も聴いてみた。
 ドイツ製の、おそらく牛用の、最強のものだと宣伝されている商品は、9ミリのブランクカートリッヂでロッドを突き出させる。板に押し付けたテストでは、「バシィッ」という音がする。ガス拡散による、銃器特有の発砲音は抑制されているのだろうが、なにしろ本体が重そうで、これでは挺進隊用にはならないわ。
 豚用は再装填を2挙動でできるようになっている。再装填の都度、本体を2個パーツにバラす分解はない。ブリーチ後尾から.25リムファイアのブランクカートリッヂを差し込み、ファイアリングブロックでおさえるだけ。発射音はほんとうに静か。ツトン、ズボン、スッポンという音しかしない。ロッドが引っ込んだ直後にゆっくりとチャンバー内のガスが小穴から漏れ、そのときシューッという音がする。やはり牛用ほどではないとしても全体はかなり重そうだ。
 ロッドの先端がマッシュルーム型になったキャプティヴボルトもあるはずなのだが、ネットで動画を探すことはできなかった。
 思わぬ収穫は、空砲薬莢を使わない、バネだけで作動するキャプティヴボルトを自作している人の動画。「カチャン」という機械音しかしない。しかし適用できる動物は兎くらいまでだそうだ。

 キャプティヴ・ボルトのロッドの前進力によつて、ダーツのようなものを弾き飛ばさせたらどうかという発想は、たぶん、全ユーザーがするだろうと思うのだが、その実験動画がないということは、きっと、試みた全員が、失敗しているのだろう。

 本朝の「抱え大筒」は、砲術家のデモンストレーション用の機能しかなかったものだが、あの重さまで許容してよいのであるならば、大口径低初速銃としての理想に近い消音性能も実現できたであろう。その重さゆえに、まるで挺進作戦には向かなくとも……。