お待たせしました。本日、新刊が店頭に並ぶはずです。

 本書もまた異色の出来映えになりました。
 久々のハードカバーです(キンドル版をお買い求めになられた方ですと装丁の違いがわからぬでしょうが)……。

 また、アマゾンで注文された方には、《革命的兵器と「進化論」》という、これから武器システムを構想するときにいったいどこに着眼したらよいのか、超高額の戦艦大和と、安価な特設空母大鷹を例に挙げて大づかみできる、おまけのコラムが特典で付くことになりました。

 また、久々に、過去の日米関係史を総括しています。
 今回は総括の道具に、朝河貫一の『日本の禍機』を用いました。

 12月22日の英文記事で、サイバー時代の偶発戦争を論じたものがあってチラ見したんですが、その中で米海軍大学校の海軍史が専門のポスドクである記者さんが、1931の満州事変が、日本の文民政府の意図しない偶発戦争であったという、奇妙に好意的な誤解をしている言及がある。要するに日本について生半可な知識しか無い人が「前例」を挙げようとしてテキトーなことを書いているんですが、今や、日本の過去の侵略すら、こんなふうに米国人から好意的に誤解される時代になっているわけです。
 これを、朝河は、明治時代に予言していたんですよ。

 日本政府が対外公約を大きく守るかどうかで、日本国と日本人の評判は、決まってしまうのです。細かい「事実」は、国際関係の上では、どうでもいいのです。
 日本政府が日露戦争の開戦前に米英に対してさんざん約束していた「満州市場の公平な開放」を、ポーツマス条約後にあっけらかんと破ったから、米輿論は怒り、それ以降、日本のやることなすこと、すべて悪意に解釈されているのです。そのさい、個々の細かい「事実」など、どうでもよかった。明治時代の、外国に対する大きな公約を、あのときにちゃんと守ったかどうかが、昭和前期においても、問われ続けていたのです。

 朝河は、日露戦争後の米国の「排日移民法」にしても、その根底には、日本政府が満州市場を前言を翻して閉鎖したことに対する米国内の大きな怒りがあるので、もし日本政府が大きな約束を守っていさえすれば、「排日移民法」だってあり得ないのであり、したがって、日本人は米国に対して腹を立てるその前に、約束をしておいてそれを守らない日本政府の過去について自省せよ、と促しています。

 ただし、朝河は、この大掛かりな約束撤回の真犯人(黒幕)が兒玉源太郎だとは知らなかったに違いないので、拙著が、そこを補いました。

 言うなれば、日米戦争は、兒玉源太郎が惹き起した。ようやく近年、兒玉の呪いが解けているのです。

 あと、余談ですが、木戸幸一は兒玉の血を引いているそうで、おそらく風貌もかなり似ていたんじゃないでしょうか? 木戸の写真や肉声テープが残されているのは、その点からも貴重だと思っています。

 次。
 ストラテジーペイジの2021-12-23記事。
   トルコ・リラの対ドル・レートが激下がりで、エルドアンがピンチ。
 12月には一時、1ドル=14リラを超えて落ちた。今は12リラだが。

 ハイパーインフレ(リラの紙屑化)を心配するトルコ国民は、リラをドルに換えてしまう。だから基調としてリラは下落の圧力を受け続ける。
 じっさい11月のインフレ率は21%だった。

 食料品店には行列(紙幣を早いうちにモノに換えておきたい人々)。エルドアンの支持率は40%を切った。
 イスタンブールではパンすら頻繁に品薄になっている。
 おびただしく外国人が集まっているこの街ではインフレのリアリティを政府が隠蔽することができない。誰もがスマホで店頭情景を撮影し拡散するから。

 国民はエルドアンに飽きている。政府がオスマン帝国の復興を叫んで対リビア干渉などにカネを捨て続けているから、リラの価値が下がるのであると分かっている。
 ※その通り。トルコの民間企業は優秀である。たとえばバイラクタル社。そこで調子に乗った勘違い役人が無駄遣いをしているわけだ。

 エルドアンは過去に10年間ほど、腐敗撲滅に努めた。その時期のトルコ経済は好調で、それがエルドアン人気を作ったのだ。
 ところが権力が長期化するとエルドアンの親類縁者はやっぱり不正を始めた。今や腐臭にまみれているのである。



亡びゆく中国の最期の悪あがきから日本をどう守るか 国防秘策としてのプロスペクト理論

(管理人Uより)

 Amazonでの購入者へ豪華著者特典がプレゼントされるキャンペーンが、徳間書店Twitterアカウントより告知されています

 私はkindle版を買いました。どこでも読めてホントに便利。だけどkindle版は特典、もらえるの? ……『Amazonから送られる注文番号が必要』と書いてあります。注文番号はkindle版にも勿論あるのでもらえると信じます。

 この特典の『おまけのコラム』、私は非常に楽しみにしています。兵頭先生渾身の出来という話を聞いています。

 kindle版は既にダウンロード出来ました。今から仕事なので、まだ読めませんが。楽しみです。

 皆さん、メリークリスマス!