長射程ロケットは自国で開発して整備しておかなかったら、いざという時、どこの国も売ってくれん。

 守備領土の一方の端から他方の端まで火制できるロケット弾・長射程砲を保有していないと、敵が橋頭堡・空挺堡を築いてしまったときに、その機能をハラスメントする手段がなくなる。先の大戦の島嶼守備戦で何十回も痛感させられていること。陸幕は今まで何をやっているんだ?

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 Tim McMillan 記者による記事2022-5-31「Documents Reveal Alleged Russian PSYOP Instructions For Dealing With Ukrainians」。
  占領地における、対住民の 心理作戦=PSYOP の露軍マニュアルが、キーウ郊外に捨てられていたのが、拾われたという。
 その内容。

 ウクライナ国民の悪口は言ってはならず、悪者はポロシェンコ、ゼレンスキーら、米国のパペットの指導者なのだと言え。

 住民から問い詰められたときに、話の中で、たとえば地域防衛隊員を「射殺した」だとか「始末した」だとか「殺した」とかの単語は使うな。

 「問題は解決された」という文章を使うように。

 「これは戦争だ」とも言うな。キエフ警察が君達を見捨てたので、われわれが一時的に警察になっているのだ、と説明せよ。

 ウクライナ政府がいかに無力かを強調せよ。ウクライナ政府は市民を見捨てたと。食糧も、年金も、給料もよこさずに。

 過去3ヵ月の砲撃、ミサイル攻撃、戦闘はすべてウクライナ政府の仕業であると。

 「なぜおまえらはここにいるんだ?」と住民に聞かれたら、「人道援助品と食糧を持って来た。君達の政府が君達を見捨てているから」と答えるように。

 停電が続いていることに苦情を言われたら、こう返せ。「我々も電気無しの不自由を強いられている。君たちの警察が逃亡するときに変電所を壊して行ったのが悪いのだ。ウクライナ政府は国民のことを考えていないのだ」と。

 あるいは「ウクライナ北部全域は、キエフ政庁の命令によって送電が止められたのである」と。

 このマニュアルの十のうち八は、責任転嫁の論法について指南している。すべてはウクライナ政府が悪く、その責任はウクライナ住民にあるのである、と。

 住民が政府を選ぶのであり、住民がロシアの支配を受け入れればすべてはよくなると。

 「われわれも君たちも、ギリシャ正教の信者ではないか。そこには分裂はないのだ」と、宗教の権威を引き合いに出すようにし、民族の違いについては答えないこと。

 LGBTに反対しようぜ、正教会を分裂させるのはよくない、国土を外国人に売るな、というテーマにもっていけば、住民と占領軍兵士の間には共感が生まれる。

 宗教を利用することが強調されているのは、このPSYOPの一大特徴だ。
 ロシア人は2014いらい侵略者のイメージしか持たれていない。しかしロシア正教会はまだ汚れていない、というわけだ。

 拾われたPSYOPガイダンスがホンモノであることは疑いない。

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 2021-9-7 の古い記事。
   ポーランドの「WGグループ」が開発している「ウォーメイト2」という無人特攻機。
 弾頭重量は5kgで、全重は30kgである。無線操縦は最大180kmまでを考える。搭載燃料は、240kmを航続できるので余裕分はロイタリングに充てられる。
 発進は車両上からできる。

 ※155mm榴弾の炸薬が7kgなので、それに準ずる破壊力を、十五加農より以遠へ届けようと思ったら、無人特攻機は30kg以上の重さになるとわかる。どうせ今から国産しようとしても間に合わないから、ポーランド企業に出資して、そのライセンスと改造権を買うことだ。

 「ウォーメイトTL」は、全重4.9kgと軽量。レンジは30kmである。弾頭重量は1.4kg。滞空40分間可能。

 ※昔の「サガー」が2.6kg弾頭なのでそれより弱いが、「AT4」や「カールグスタフ」の440グラムに比べれば遥かに強力だ。ちなみに「パンツァーファウスト3」は炸薬が13.3kgもあるという。肩に担ぐだけでたいへんだな。

 ※ポーランド製品をなめてはいけない。ポーランド版MANPADで「カモフ52」を3機も落とした、「肩SAMのエース」がウクライナ軍にすでに誕生しているほどだ。

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 Caitlin Doornbos 記者による2022-6-1記事「Coast Guard welcomes new commandant, marking the first time a woman has led a US armed service branch」。
    米コーストガードの制服の長に、女性の提督が就任した。これは米五軍としては初めてである。
 前任のカール・シュルツから「コマンダント」の地位を引き継いだのは、リンダ・フェイガン。

 フェイガンは昨年、バイデンによって四つ星提督(大将)に昇進させられ、「副コマンダント」に就けられていた。
 フェイガンは沿岸警備隊大学校を1985卒。

 コーストガードアカデミーが女子の入校を認めたのが1976。フェイガンは16歳だった1981に入校している。すなわち叩き上げで、洋上勤務の個人累算最長記録も保持している。

 げんざい、米沿岸警備大学校の女子率は40%に達している。

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 2022-5-31記事「Estonian-Russian Citizen Tried To Smuggle Commercial Drones To The Russian Army」。

   エストニア内務省は、ロシアとエストニアの二重国籍を保持する男を逮捕拘禁した。
 外国製の小型ドローンを買ってロシアへ寄贈せんとした容疑で。

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 雑報によると、ロシアのウラル・チェカン製のMRAPがスヴィトロダルスクで撮影された。これはワグネルグループがウクライナ東部に投入されていることを示すという。彼らはシリアやリビアでこの防爆トラックを乗り回していた。

 英紙『タイムズ』によれば、英国も、弾頭重量200ポンドでレンジ43マイルの「M270B1」多連装ロケット(MLRS)をウクライナに供給するつもりだと。

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 Jeff Schogol 記者による2022-5-31記事「Why Ukraine is pleading with the US for rocket artillery」。
   砲熕にもロケットにも識見ある専門家いわく。GMLRSの発射の手順の習得は2週間でできるのだと。

 じつはロケット砲兵は発射よりも「指揮」のほうが面倒なのだ。たとえば、それが飛んでいく途中の空中に、味方の飛行機が存在してはマズいわけである。

 そこで米陸軍の場合は「先進野砲兵データ戦術システム」という高度に自動化された指揮装置がある。おそらくウクライナ軍にはこの装置も渡されるのだろう。