Matthes Mos 記者による2022-6-2記事「Sweden To Provide Robot 17 Misseles to Ukraine」。
ボフォース社が、米国製のヘルファイアをもとに、沿岸から敵舟艇を攻撃できる、しかも人力で運搬できるシステムとしてこしらえたのが「ロボット17」である。これをウクライナへ贈るという。
スウェーデンの国防大臣が発表。
このミサイル、オペレーターがレーザーで標的を照射すると、その反射に突っ込んで行く。レンジは岸から8kmまでである。
またスウェーデンは、12.7ミリの対物狙撃銃である「バレットM82」(スウェーデン軍では「AG90」と名づけている)もウクライナへ贈る。
それとは別に、追加で「AT4」を5000発、供給もする。
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Joseph Trevithick 記者による2022-6-2記事「Chinese Aircraft Carrier Seen With A Fleet Of Drones On Its Deck」。
微博に投稿されたシナ空母『山東』の飛行甲板の写真に、7機ばかり、試験中の無人機が並んでいる。2種類。どちらも固定翼機ながら、多軸の垂直ローターによって、垂直に発艦・着艦ができるものらしく、用途は対潜哨戒だという。
『山東』は2019に就役し、ことし4月から、最初の定期整備で大連の工廠にドック入りしている。5-26までドックから出てこない。だからこれらの写真は、ずっと以前に撮影されている。
7機のうち3機は、牽引式プロペラ+マルチローター。尾翼はT形もしくはH形だ(ぼやけて不鮮明)。4機は、ツインブームの後端に/\形の尾翼で、マルチローターとプッシャー式プロペラのハイブリッド。
牽引プロペラ式のほうは、「CW-20」だろう。メインエンジンがガソリンで、マルチローターは電動だ。
ウイングスパンは3.2m。自重25kg。滞空6時間。水平線内距離でリモコンできる。
もうひとつは同じメーカーJOUAV社の「Xiang Yi CSC-005」だろう。最大離陸重量21kg。
※やはり長時間の哨戒をさせたくば、電池ではどうしようもない。内燃機関とした上で、主翼の揚力も利用するしかないのである。
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Max Hauptman 記者による2022-6-2記事「Someone apparently leaked classified Chinese tank schematics to win an online argument」。
オンラインの陸海空戦ゲームに「War Thunder」というのがある。参加者は5万人。そこで中共の「99式戦車」を操る支那人プレイヤーと敵のプレイヤーが、特定砲弾威力についての論争になり、その過程でホンモノの99式が使用している弾薬についての部内資料がバラされたらしい。あきらかに、じっさいの戦車乗りがバラした。
おそらく西側の軍情報部ならすでに手に入れていた情報にすぎないが、それがゲームの投稿欄に投稿されたというところが面白い。問題投稿はすぐに削除されたという。
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Kamil Galeev 記者による2022-6-2記事。
※ガリーフ氏には巨額のオンライン寄付があったようで、その資金を使ってリサーチの助手を雇えるとよろこんでいる。寄稿ペースも上がっている。そうなんですよ。寄付されるとモチベーションが上がるんですよね。うらやましいぞ!
ロシア帝国は1699年から1874年まで、「リクルート徴兵」をしていた。男子人口の一部を強制的に兵隊にする。初期にはその服役年限は一生であった。のち、25年に改められた。25年でも、永久就職のようなものだ。だから、非志願制であると同時にそれは「プロフェッショナル」な軍隊だったと言える。
この方式は、平時の軍隊の質を高くするにはよい。しかし、規模のわりにはコストがかかる。また、戦争が始まってから大量且つ急速に補充することはできない。
すなわち、平時には大所帯に過ぎるし、戦時には小所帯に過ぎるのだ。
1870年にプロイセンが、新見本を示した。近代的な徴兵制度だ。平時に、多数の若者を短期間だけ、軍営で鍛えては、次々に除隊させ、予備役をやたらに増やしておく。有事にはその予備役を総動員する。こうすれば、平時の軍隊は小所帯で済み、戦時には全男子を兵隊に使えるので、国軍は爆発的に兵力を増やせる。
この近代的徴兵制は、政府と臣民の間の暗黙の同意が大前提である。市井人たる予備役兵がいつ何どき、召集令状によって軍事動員されるかもしれないが、その政府の決定には従いましょうという社会契約が、そこには必要なのだ。
ロシアは1874年以降にこれを採用し、WWIIまでこれで乗り切った。
WWII後はどうか? 戦後のソ連は、一回も、予備役兵の充員召集はしていない。アフガニスタンのときでもそうだった。ソ連崩壊後も、現役(当初は18歳から3年間。近年は1年間に縮んでいる)の若い徴兵だけで、チェチェン作戦をやり切っている。1945いらい、予備役を動員したことがないのだ。
いつしかロシア軍は、近代的徴兵制の軍隊ではなくなっていたわけだ。戦時に兵隊の人数を膨らませることができなくなってしまっている。法制度の上ではそれは可能でも、現実に、予備役の動員など考えられない慣習が社会にできあがっているのだ。
2000年のチェチェン戦争のビデオを見るがよい。映っているロシア兵は皆、18歳か19歳である。指揮官の将校だけが、あきらかに中年だ。これでなんとかなった。というか、なんとかするしかなかったのだ。
2000年以後のロシア軍は、志願兵のプロフェッショナルを中核とする軍隊に変わった。
今次ウクライナ戦争の中核は、20歳以上の志願兵たちである。
ロシア社会からは、戦前には存在した「社会契約」が、ひとつ、消えていると考えられる。もはや誰も、予備役の召集になどよろこんで応ずるつもりはない。政府が国民から信用を失っている。だから、大量動員ができない。
兵営の側でも、大量の未訓練兵を急速に二等兵に仕立てるためのインフラを、ポスト冷戦期に、整理廃止してしまっているのだ(セルデュコフ国防相によるプロ化改革)。いまさら、うけいれようもない。
※いま、ロシアには、古い砲弾が腐るほどあるが、兵隊がまったく足りない。FEBAが東へ遷移すればするほど、ウクライナ軍は、露軍を有利にしてやることになってしまうのである。つまり露軍は限られた未訓練の兵隊を広義の「砲兵」に仕立てて、最多余裕資源であるところの「砲弾」を撃ちまくらせればいい(WWII中も同じことをやった。120mm迫撃砲とカチューシャ)。輸送トラックの苦労も戦場が東に移れば解消されるのである。これに対してウクライナ軍は70kmレンジの地対地ロケット弾を整備してこなかったものだから、敵の砲弾のイン・レンジで戦うことになり、日に日に人命を捨てることになる。拙劣である。このまずいパターンを脱するには、十五榴相当の炸薬7kgを充填した投下爆弾を70km以上運搬できる再利用型のUAV(それは全重30kg台でできあがることをとっくにポーランドが実証している。15榴のタマ1発よりも軽いのだ!)を雲霞の如くに殺到させるしかない。30kg台のUAVを大量生産するのに、西側諸国には一体何ほどの苦労があるというのか? ぼやぼやしてるんじゃねえ!