ウクライナ政府が西側企業に、新兵器の実験を何でもここでやってもいいよ、と誘致している。

 Defense Express の2022-7-19記事「Belarus Provided russia with Locomotives to Transport Shells to Siege Chernihiv」。
    ウクライナ軍は同国領内で3両の鉄道機関車を押収。そのうち2両はベラルーシの「2TE10」型ディーゼル機関車で、満載貨車×54両を引っ張る力がある。もう1両は「ChME53」型ディーゼルで、こちらは15両の貨車を牽引できる。

 鉄道貨車1両には、砲弾を16トン、積み込むことができる。つまりこの機関車3両が動かす貨物列車で、5万発の152ミリ砲弾をロシア軍占領地まで配達できるのだ。ベラルーシは、鉄道によって露軍の兵站を分担していたのである。

 ちなみに2月23日にウクライナ軍のTB2は、チェルニーフに向かっていた長大な燃料タンク列車を爆撃し炎上させるという大手柄を立てている。

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 雑報によると、ポーランドから供給されたロイタリングミュニションの「ウォーメイト」は、間違いなくウクライナ戦線で使用されている。その残骸写真がSNSに出た。

 ※BOOTHの新刊『鳥獣から人間を保護する法律が必要だ』は、もうご覧になっていただけたでしょうか? ひとたび、ドローンによる凶獣防除が実施されるようになれば、敵は「学習」をしますので、非武装のドローンを赤外線の「トリップワイヤー」と連動させて全自動で離陸してただちに放牧場上空を威嚇パトロールさせるだけでも、追い払い効果を発揮するようになります。

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 Kamil Galeev 記者による2022-7-19記事。
    チェチェンに侵攻していた頃はロシア本国で兵隊家族の反対運動があった。今は無い。違いは、当時は軍人恩給が薄かった。

 今は、戦死すれば、クルマ1台買えるぐらいのカネが遺族に渡される。だから、文句は無いわけ。

 あとは、兵隊の出身地の差。ヴォルガ川の中流域(タタールスタン、サマラ)は、経済的にうまく行っている。ヴォルガ川の下流域(サラトフ、ヴォルゴグラード)は、貧困地帯である。

 サラトフとヴォルゴグラードは、たとえるならシナ大陸の「華北地方」だ。「華南」にくらべて基本的に貧しい。
 1900年時点においては、サラトフは、ロシアの第三番目の大都市だった。

 ヴォルゴグラードは旧スターリングラードだから、住民には「戦勝祝賀病」みたいなところがある。
 人口百万を超えたソ連の全都市のなかで、ヴォルゴグラードが、いちばん貧乏な町であり続けた。

 いままでは、富み栄えていたヴォルガ中流から、おこぼれがヴォルガ下流へ及んでいた。
 2-24以降、もう、それはない。

 モスクワ政府は、膝元の首都の経済をなんとかすることで手一杯で、もはや地方都市の面倒は見切れない状態になっている。

 ロシアは、モスクワだけにすべてが集まり過ぎている、ハイパー《一極集中》国家なのだ。
 モスクワ以外の都市で経済が破綻しても絶対に反政府革命にはつながらない。しかしモスクワ経済が破綻すれば、ただちに政体転覆の危機が至る。

 ※雑報によると7-20げんざい、千島列島に所在する「第18機関銃&砲兵師団」から抽出された将兵がすでにウクライナ戦線にて戦闘中だという。捕虜の尋問によれば、千島からは数百人が抽出され、数ヶ月前にコンボイまるごと掃滅されたと。

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 Defense Express の2022-7-20記事「Approached Without a Single Shot: Ukrainian Elites’ Raid Tactics」。
  東部戦線で活動している特殊部隊の分遣隊「クラーケン」が取材に応じた。
 斥候隊は露兵の歩哨たちを全員、ナイフで刺し殺したと言っている。攻撃開始前に音を立ててはいけないので。

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 Alex Wilson 記者による2022-7-20記事「Navy transits Taiwan Strait as Esper in Taipei calls for end to ‘One China’ policy」。
    前の国防長官エスパーは、「ひとつの中国」政策は賞味期限が切れており、もはや無用であると断言した。
 最新の台湾海峡FONOPが実行される数時間前、台北において。

 エスパーはげんざい、アトランティック・カウンシルというシンクタンクに所属している。

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 地元のみなさまに謹告。
 8月9日(土曜日)に「函館未来塾」(090-7510-7173)の例会があり、小生が「国際情勢に於ける日本国の対応力」についてミニ講演します。
 場所は、函館市亀田交流プラザ 3階 小会議室1。この住所は、函館市 美原1丁目26-12。
 開始時刻は18時です。
 1時間半の講演後に、質疑応答。お問い合わせは上掲電話番号の山本さんまでどうぞ。

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 Phil Rosen 記者による2022-7-18記事「Russian oil has reordered energy markets this year. Here’s everything you want to know about wartime crude flows」。
   シェルの社長は、この冬ヨーロッパではエネルギーが「配給制」になると予言している。
 ドイツ銀行は、ドイツの暖房は「木材」燃料ストーブに変えるしかないと言っている。

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 Phil Rosen 記者による2022-7-19記事「Russia’s crude deliveries to China and India have plunged 30% from their wartime peak as concerns mount that Asia can’t fully absorb Moscow’s shrinking oil market」。
   7月15日までの4週間の、ロシアからアジア向け(=対支&対印)の原油輸出は、過去4ヵ月間(すなわち開戦いらい)で最低となった。開戦後のピーク量からすでに30%減っている。

 開戦以来、中共とインドはロシアからの原油輸入を増やしたはずなのに、この結果が出ているということは、中印は、開戦前にロシアが欧州向けに輸出してきた原油量の全部を消費するほどの「大需要者」には程遠かったことを意味する。

 インドの場合、開戦前には輸入実績ほとんどゼロだったのを、6月には、日量100万バレル輸入するようになった。
 中共の場合は、開戦後にロシアからの原油輸入量を2倍近くに増やした。しかし6月がピークだった。

 ロシアの石油収益は4月がピークだった。4月からは下降が続いている。

 げんざい、ロシアが輸出する原油の半分以上を、アジア市場が買っていると見られる。そのアジアの需要がシュリンクしている。

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 Eve Watling On 記者による2019-1-14記事「How Did Bruce Lee Die?」。
   ブルース・リーは4年間にたった5本の映画を完成させただけだが、その短いキャリアでアクション映画に新世界を築いてしまった。彼は32歳で不審な急死を遂げた。

 生まれはサンフランシスコで1940年だったが、すぐに両親の祖国である香港に戻った。父は広東では有名なオペラ歌手兼映画俳優だった。

 ブルースは18歳で米国に戻り、ワシントン州立大学に進学。

 最初に注目されたのはテレビシリーズの『グリーンホーネット』で覆面のカトー役を演じたことから。彼の動きが鮮やかすぎるため、主役の存在感が翳るほどだった。これは製作陣も全員が感銘を受けていた。

 なんとこれが、西洋において「カンフー」がフューチャーされた最初のフィルムなのである。

 だがリー本人は、漫画のようなキャラ設定が不満であった。
 『グリーンホーネット』が26話をもって打ち切られると、リーは香港へ戻った。
 一連の「ドラゴン」映画が、そこで作られた。『ビッグ・ボス』と『フィスト・オヴ・フューリー』は1972年に立て続けに製作された。次の『ドラゴンへの道』はリーがプロデューサーで且つ脚本も書いた。

 ※いちばん知りたいのは作曲家のラロ・シフリンを第一作でどうやってつかまえることができたのか? あのテーマ曲なくしてどうして世界的ヒットがあり得よう? シフリンの理解力が高すぎくね?

 ハリウッドが彼を香港から呼び戻した。そして第四作が作られた。1973リリースの『エンター・ザ・ドラゴン』。その時点ですでにリーは死んでいた。この第四作で米国にマーシャルアーツのブームが起きた。

 ※映画タイトルに「ドラゴン」と付くのは第三作目からなのか。ということは第一作と二作目のタイトルに「ドラゴン」と付けたのは誰? つまりそれは日本だけのタイトル?

 リーが死んだのは女の家で、それは米国で結婚していた妻とは別人であった。
 リーには息子がいたが、1993年に『ザ・クロウ』の撮影中、ステージ・ガンの暴発で死亡している。

 公式には彼の死因は脳浮腫である。検死では外傷はいっさい認められなかった。しかし大脳は13%膨張していたという。

 1973-5に彼は頭痛と癲癇の症状のためじぶんから病院にかけこんでいる。診断結果は脳浮腫。
 その数週間後に死亡した。

 死の直前の7月20日、彼は次作『ゲーム・オブ・デス』の打ち合わせを、真夏の香港でしていた。
 そして女の家へ赴く前からハシシをキメていたという。
 女の家でも頭痛が起こり、鎮静剤と鎮痛剤の混ぜ物を服用。横になっていたが、そのうちに死んでしまった。


★《続・読書余論》 児島襄著『悲劇の提督』昭和42年刊・ほか

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