台湾は国産の空対地巡航ミサイル「萬剣」の量産に入った。

 「空対地視程距離外弾薬」と名づけられていて、わかりやすい。射程は200kmらしい。げんざい、さらに射程をその2倍にする改善型の研究に進んでいるそうだ。
 弾頭はクラスター。攻撃対象はシナ本土の航空基地なので。

 発射母機は、公表写真を見るかぎりでは、ミラージュ。F-16ではない。

 射程200kmと聞けばどうせハープーンのマルパクかと想像しがちだが、違う。外見はむしろJASSMに似ている。ただし中味のエンジンはハープーンのコピーだろうと私は勝手に想像する。

 本気モードに入った台湾政府がこうした空対地ミサイルを量産するだけでも相当の抑止力になってくれるだろう。「萬」の字は、おそらく伊達じゃないだろう。

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 Kamil Galeev 記者による2022-9-25記事。
   ロシアではこれまで、州知事のような地方長官が、ボディガードとして数十人規模の「私兵」を擁していた。今年、プーチンは、その私兵組織をすべて解散させて、国内の予備軍に強制編入してしまった。

 地方反乱はぜったいに許さないぞというモスクワの意志を示しているのだろう。

 ※モスクワ市内限定動員ではなくて、全国総動員の挙に打って出たのは、地方反乱防遏のための先手を打ったわけか。つまり北朝鮮の真似だ。20歳から45歳までの男子をことごとく兵営にぶちこんでおけば、庶民に反モスクワの叛乱はできなくなる。地方に「軍閥」の育つおそれもなくなる。プーチンは戦争に勝とうとしているのではなくて、国内反政府運動の芽を摘むために徴兵制度を利用し始めたのだ。兵営を大衆予備拘置所にする。まず東條の同類だね。

 このロシアの《予備軍》は通称「シロヴィキ」といい、国内治安専門の部隊で、推定、数百万人規模。常備軍をも凌ぐ人数ながら、具体的な統計数値が表に出たことは過去に一度もなし。

 「シロヴィキ」にはかなりのPMC(ワグネルやRedut)が含まれているようで、誰もその実態・全容を解明した者はこれまでいない。なにしろ「根拠法」も公式には存在しない、蜃気楼のような組織なのだ。
 ひとつたしかなことは、これはモスクワの命令だけを聞く忠犬機関である。そして、酒場の門番のようなレベルのアマチュアも相当混じっている。ピンキリな集合体。

 ※イランの新事態を幇助する方法を日本人も全力で考えねばならない。今のイラン政体が世俗政府に更新されれば、核武装路線は引っ込められ、イラン産のおびただしいガスと石油が再びふつうに国際市場へ供給されるようになるので、世界の物価はまた下がり、ロシアはますます少ない外貨しか得られなくなって詰む。すると残るは中共だけとなって、中共が終れば北鮮もまた自動的に消滅する。なお、具体的な対イラン人民幇助策を真っ先に打ち出したのがイーロン・マスクであったことを、われわれは記憶するべきだ。ウクライナ支援に続いて、一起業家の私人が――政府の要人ではないのに――世界史を変えた、と言われるかもしれないのだ。

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 ドイチェヴェレの記事「Ukraine war: How to repair the Ukrainian army’s modern weapons」。
    ウクライナとポーランドの国境地帯に、西側から援助したさまざまな高級兵器を修理する工廠が新設される。

 ポーランド南東に位置する「Rzeszow」飛行場の近くに。
 もとは地方の一民間空港だったのが、いまやNATOの前線航空基地のような趣きだ。ここは欧州の「フォート・ノックス」に昇格するであろう。

 すでにそこには、米軍が仕切っている有志連合キャンプができあがっている。50ヵ国以上が支援している。
 現場一帯はペトリオットSAMで厳重に防空されている。

 ここにドイツも加わって兵器修理拠点が築かれることをマスコミに対し最初に語ったのは、ベーボック国防大臣で、9月半ばのこと(『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング』紙)。しかしポーランド政府としては、そんな話が大々的に報じられるのは、迷惑だったようだ。

 ※殺人罪その他で懲役25年に服していたロシア犯罪組織の大ボスがPMC入隊と引き換えに出獄し早速ウクライナ戦線へ送られたが、早速榴弾破片に当たって戦死を遂げた。遺骸は故郷に戻されて埋葬された。悪党ながらローカルでは顔役の親分らしいので、露政府としては、後ろから銃弾で射ったのではないという証拠を示す必要があったのではないかと想像する。

 ※ロシア動員令は地方役人に人数のノルマが課されているらしく、若者が逃亡逃散してしまったところでは60代の老人や弱視者、慢性病患者までドシドシと徴兵されている。

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 Defense Express の2022-9-25記事「Iranian Shahed-136 Have a Feature that Makes Usage of Radar-Reliant Air Defense Against Them Problematic」。
    軍事専門サイトの『The Drive』が、おかしな記事を載せている。イランの「シャヘド136」には地上レーダーを攻撃する能力があり、それは「アクティヴ」だという。
 レーダー輻射源にホーミングするセンサーなら、それは「パッシヴ」だろう。ミサイル用語の基本だろう。

 そして現段階で得られている「シャヘド136」の残骸に、対レーダー・ホーミング能力が備わっている証拠はない。

 ※イランには「ハーピィ」「ハロプ」の模倣はできなかったのだ。その模倣ができているらしいトルコは、じつにあなどれない。

 イラン製のシャヘド136とシャヘド131の投入は、9-24の戦況報告によって初確認された。使用された場所は、オデーサ、ドニプロ、ミコライウである。

 レシプロ偵察機の「モハジェ-6」も1機、海上に墜落したのが回収されている。

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 Defense Express の2022-9-25記事「Officially: American Anti-Aircraft NASAMS Already in Ukraine」。
   すでにNASAMSがウクライナ領内に届けられ、活動していることが確認された。ゼレンスキーがCBSインタビューに答えて明かした。

 もしAMRAAMを発射するなら、最大射距離は20km。もしAMRAAM-ERを発射するなら、40kmになる。どちらでも使える。

 ※雑報によると、スロヴァキア製の155ミリ砲弾がウクライナに供給されつつあり。これは私見だが、米国は砲弾のグローバル・サプライ・チェーンを構築しようとしていないか? 平時に世界中の小国にカネを払って少量ずつ、砲弾量産を続けていてもらう。そうすれば、有事に急速増産をかけられるから。日本政府が急に弾薬増産に意欲的になったのも、その背景があるからではないか?

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 Defense Express の2022-9-25記事「Ukraine’s Military Ready to Strike on Railway Coming from Crimea ? Operational Command “South”」。
    南部ヘルソン州の、ドニプロ川東岸の鉄道に対してHIMARSを発射するかもしれないという「予告」。
 その鉄道はクリミア半島から延びているものである。

 ※東岸と言うとわかりにくい。ありていはドニプロ川の「南岸」だ。
 ※クリミア半島北端のアルミャンシクから、ほぼまっすぐヘルソンまで北上している1本の鉄道線が、南部露軍の補給路の主軸なので、さっさとそれを砲撃しろよ、という話だった。

 『NYT』報によると、ロシアの将軍たちはヘルソン州の「右岸」からは退却して左岸地区の防備を強化したいと欲しているのだが、プーチンがそれを厳禁しているという。おまえはヒトラーかよ!