北方四島を即時返還したなら、ロシアの「対宇戦後賠償」の一部は日本が肩代わりしてやってもいいぞ――という非公式アナウンスを日本政府は早めにリークしておけ。

 これにロシア人が反発すればモスクワ政府は極東での「動員」を止めるしかなくなるので、どちらに転んでもウクライナを助けることになる。

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 RFE/RL の2022-9-24記事「Russia Struck Dam On Siverskiy Donets River, British Intelligence Says」。
   ロシアはシヴェルスキー・ドネツ川の「ペチェニィ」ダムを短距離地対地ミサイル×複数発で攻撃した。
 9-21から9-22にかけて。

 その前には9-15に、別な河川の「カラチュニウスケ」ダムを攻撃した。

 露軍はこうした水門を破壊することで流域に洪水を起こしたいらしい。それによってウクライナ軍の渡河を邪魔し、東岸防禦のための時間を稼ぎたい。

 ※広軌鉄道を利用した露軍の再侵略を根絶するためには、宇軍は東進と同時に「改軌」を進めなくてはならない。これはいきなり標準軌にしようとしてもカネが足りないから、条間60cmの「軽便鉄道」か、それが無理なら、もっと幅の狭い、手押しのトロッコ線に変えてしまうとよい。すなわちロシア広軌鉄道の単線が、複線の軽便鉄道もしくはトロッコ線に化けるのだ。もともと複線だったのなら、そこは「複々線」となる。トロッコなら最少エネルギーで最大輸送力が実現する。石油資源貧乏なウクライナには好都合。しかも、将来露軍が捲土重来してきても、そんなトロッコ線など何の役にも立たない。侵略者を利することがないのだ。他の兵器を援助するときも、これを考えることがとても重要である。万一、それを侵略者が奪うことになっても、けっして、侵略軍がそれによって強くなるようなことがあってはならない。そういう兵器はいくつもある。詳しくは兵頭二十八の次著に書いておいた。10月発売だ。

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 Maria Korenyuk, Lucy Swinnen and Jack Goodman 記者による2022-9-24記事「Undercover with Russia’s fake arms dealers」。
    BBC国際サービスのディスインフォメーション対策チームは、ダークウェブのマーケットプレイスで「ジャヴェリン」を販売しているとする人物に接触した。

 ロシア国営TVによる宣伝報道。ウクライナ人たちは米国から寄付された兵器をダークウェブで転売しているぞと。

 そこでBBCが調査してみたところ、それらの兵器はフェイクであった。

 ロシア人はウクライナ人のことを「ウクロプス」と蔑称する。
 NATOから供与された対戦車火器をウクライナ軍の上層が転売しているぞという宣伝はまず6月2日に「ASB軍事ニュース」というプロクレムリンの英語アカウントに投稿された。

 このアカウントは今、ツイッターでは凍結されてしまったが、テレグラムではまだ生きている。登録読者10万人。

 同じ日、ロシア語のテレグラムのチャンネル(フォロアー70万人)に、別な投稿が。いわく。米欧から支給された、ジャベリン、機関銃、戦車までが転売され、世界のテロリストや犯罪者の手に渡るだろう、と。

 そこにジャヴェリンの写真が添えられている。3万ドルで売るという。引渡しの場所は、ウクライナとポーランドの国境、もしくは国外にて。

 BBC調査班は、どことも紐付けられていないラップトップ端末を用意し、特別なブラウザーを使い、ダークウェブ内の犯罪に肉薄することにした。

 まず笑かしてくれるのが、売人はウクライナ人で、これらの販売元はキーウにあると主張されているのに、ウクライナ語の都市名のスペルが間違っている。

 この売り手は、すでに32の商談を成立させたと主張する。米国製M4カービンやその他の小火器だ。
 ところがいずれの商品写真もずいぶん古いものばかりで、しかも画像加工されていた。(特別な探知ソフトウェアを使ってブラウズすると、そういうインチキが自動警告される。)

 M4カービンの画像の初出を辿ると、ロシアのウェブサイトに2014年に掲載されたもののコピーと分かった。
 他の銃器写真も、2014年に銃器オタクのサイトに投稿されたもののコピーであった。

 ダークウェブのマーケットプレイスで自爆ドローンの「スイッチブレード300」を2機、売りますと言っているサイト。その写真はフォトショップ加工されている。

 間抜けにもシリアル番号がそのままであるおかげで、それらはシリアの戦場で2015年から2016年にかけて拾得されたものだと判明。

 自称ウクライナ人である販売人に問い合わせたところ、商品は、ある隠れ家に置かれるので、そこから持って行け、という。その前に代金を「管理人」に預けなければならない。

 キミの使うウクライナ語は文法の間違いだらけだと指摘したところ、販売人は、わたしはポーランドから来たのである、と言い訳した。

 そこで、3ヶ国語のチャットの文体を解析できるプロ翻訳家に調べてもらったら、この「売り手」はロシア語が母語であることは確実だという。癖が出るのだ。

 しかもそのプロの翻訳家氏いわく。この売り手は、グーグル翻訳ソフトを使って、ロシア語からウクライナ語に直しているのに相違ないと。

 というのは、チャットの中に、ロシアではふつうによく使う言い回しが登場する。それはポーランド語圏には存在しない言い回しである。それがそのままウクライナ語に訳されている。

 オンライン翻訳ソフトは、どうにもわかりかねる語についてはオリジナル入力をそのまま残す。杜撰にも、そのようにして訳されそこなったロシア語が、いくつもチャット文中に残存している。

 レビュー投稿も人工的なものである。ポーランド人多数が投稿しているように装っているが、ポーランド人ならこのような話し方はしないという文法になっている。つまりロシア人工作員が、オンライン翻訳でロシア語原文をポーランド語に変えては、せっせと書き込んでいるわけだ。

 ロシア国営のサイトRTは、ポーランドの国境警備隊がグルになっており、ウクライナ人がミサイルをポーランドに持ち出している、としきりに宣伝。

 BBCは、このロシアの宣伝工作を承け売りする投稿者が、英国、日本、ベトナム、トルコ、米国等に存在することも発見した。

 露骨な「偽ニュース」にはもはやロシア国外の人々はひっかかってくれない。そこで、マーケットプレイスへの「偽商品」出品を通じて、誰も証明し難いルーモアを流布させてやろうという、新手の間接的な宣伝作戦のようだ。

 ※雑報によると満洲上空で民航機の飛行がまったく止まっている。
 ※一部雑報が、熊プーが身柄を拘束されただとか、党軍事委員会のポストを剥奪されただとか、騒いでいる。

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 Defense Express の2022-9-24記事「Not Only Shahed-136: a Detailed Study of Another Iranian Shahed-131 Kamikaze Drone Used by russia」。
   「シャヘド131」は、「シャヘド136」の小型版である。推力は電動。
 幅2.2m、長さ2.6m。離陸重量は135kg。弾頭重量は10~15kgだろう。これで900km飛翔する。

 かたや「シャヘド136」の弾頭重量は、15~22kgだろう。

 誘導はまったく市販品のGPS受信装置に頼っている。つまり、座標が既知である固定目標に対してしか、シャヘド136/131 は、使えない。だからオデーサの建物を狙ってくる。

 飛行制御用の基盤は5枚。すべてテキサスインスツルメンツ社製の一般市販品であった。
 簡略なINSも搭載しているので、GPS電波が遮断されても飛行は続く。

 横風にもよるのだが、もしこのINSだけを頼りに飛んだ場合、5km前進するあいだに最大250m、横にずれる可能性がある。しかし、再度GPS信号を受信できれば、また正しいコースに復帰はできるのである。

 ※雑報によるとカスピ海上空を露軍の「イリューシン76」が何度も南北方向に往復している。これで無人機をイランから買ってくるのだろう、と。