露軍は新占領地で刑務所から囚人を徴兵し、火力支援をまったく与えずに小銃だけで前進を命じて、それら囚人兵がウクライナ軍に大量投降するようにわざと仕向けている。

 捕虜交換交渉では、ロシア側は、それら罪人の引き取りは拒否するという。不良人口の厄介払い戦略なのだ。

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 Nick Mordowanec 記者による2022-9-26記事「Will Putin Impose Martial Law? What We Know」。
    リトアニアの国防大臣は、プーチンはじきに戒厳令をロシアの一部国境線地域に敷くだろうと見ている。実施時期は、ウクライナ占領地での《国民投票》の結果が出た直後であろう、と。

 一ロシアメディアによると、ロシアは水曜日から、兵役適齢者の国外旅行を禁ずるであろうと。

 ※国内の将軍たちからはさんざん罵られていたショイグだが、こんどの総動員は「ショイグの逆襲」だろう。このおっさん、じつは恐ろしい人材なのではないか? ロシアが核を使うには、プーチンの他、国防大臣と参謀総長の3人が同時に「鍵」を使わねばならない。つまりショイグには核の拒否権がある。ショイグがいなかったら、とっくに、もっとムチャクチャなことになっていた可能性は大なのだ。この戦争が終って10年くらい経つと、じつはショイグが問題解決のヒーローであった、という新事実が明らかになる可能性もあると思う。ここで予言しておく。

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 Thomas Escritt and Stine Jacobsen 記者による2022-9-27記事「Gas from Russia’s Nord Stream 2 pipeline leaks into Baltic Sea」。
    デンマーク政府は月曜日に通航船舶に呼びかけた。バルト海のボーンホルム島から5海里以上離れて進めと。前夜から、海底の「ノルドストリーム2」パイプラインから水中に天然ガスが漏れ出しているため。

 この島はデンマーク領だが、場所はスウェーデンに近い。真南はポーランド領である。

 月曜の夜には、「ノルドストリーム1」のオペレーターが、やはりパイプラインのガス圧が下がっていることを発見した。

 原因は、調査中。

 ドイツはすでに液化天然ガスの備蓄量が、タンク最大容量の91%にも達しているため、もしノルドストリームの機能がすべて止まったとしても、この冬のエネルギー供給に問題はない。

 ノルドストリーム2は、105バールの送圧で運転されていたが、それが7バールにまで落ちてしまったという。

 デンマーク国会は2017年に、ノルドストリーム2を領海内に敷設させるな、と決議していた。
 そこでノルドストリーム2は、領海の外のデンマークEEZ内を通すことになった。これなら国際法上、デンマークは敷設を拒否できないのである。

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 Alexander Preker, Gerald Traufetter, Stefan Schultz und Claus Hecking 記者による2022-9-27記事「Berlin Not Ruling Out Possible Attack on Nord Stream Pipelines」。
   「ノルドストリーム1」が陸地に上がる岸は、ドイツの「Lubmin」にある。現在、ロシアからの天然ガスは、まったくパイプラインを送られて来ていない。

 「ノルドストリーム1」と「ノルドストリーム2」は合計すると4本のパイプライン。そのうち3本が水中で爆破された。
 ただし「ノルドストリーム2」は、ガス充填の試験に入った段階で事業凍結され、その後、運開はしてない。「ノルドストリーム1」の2本が破壊された時点で、ドイツはガスを受け取れなくなった。

 デンマーク政府によると、「ノルドストリーム1」の2本のうち1本はデンマークEEZ内で爆破されている。1本はスウェーデンEEZ内で爆破されている。
 また、「ノルドストリーム2」の2本のうち1本は、デンマークEEZ内で爆破されている。
 計3箇所である。

 ボルンホルム島の付近の水深は、70mだそうである。

 水中点検ロボットの専門家氏は語る。パイプラインは同時に複数本が事故でやられぬように考えられている。同時にやられたということは水中爆破工作なのである。

 ノルドストリーム2からのガス漏出を月曜日に発見したのは、デンマーク空軍の「F-16」編隊であった。

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 Anna Ringstrom and Stine Jacobsen 記者によるロイターの2022-9-28記事「Gas leaks in Russian pipelines to Europe trigger sabotage probe」。
    ドイツの地質調査センターGFZいわく、ボルンホルム島の近くで2度の爆発震動が発生したのを月曜に検知していると。

 ※9-26にまず島の南の「ノルドストリーム2」のうち1本が爆破された。しかし誰も気付かなかった。ついで9-27に島の北側で「ノルドストリーム1」の2本が2本とも爆破された。デンマークが事態に気付いたのは27日だった。

 デンマークのエネルギー局長いわく、「ノルドストリーム2」の漏れを止めるには1週間かかるであろう。

 もし、パイプラインからの多量の天然ガスが海面まで達している海面に船舶が進入すれば、浮力を喪失して沈没する危険があるという。

 また、メタンガスが海面空気に充満するので、爆発火災の危険もある。

 ヨーロッパのガス市価は、10月のベンチマークが火曜日には10%上がったが、これは今年の最高値というわけではない。しかし、2021-9にくらべれば、全体で2倍の高値で推移中である。

 ノルウェーの石油安全局は月曜日に、石油企業に警報した。所属不明の無人機がノルウェーの海底油田掘削プラットフォームの近くを飛行しているから、〔ロシアの〕攻撃に備えよ、と。

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 The Maritime Executive の2022-9-26記事「Video: Nord Stream 2 Gas Leak Prompts Warning to Baltic Shipping」。
   ウプサラ大学の観測。震度2.3の揺れを月曜日の19時04分に探知している。

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 AFPの2022-9-27記事「Ukrainian Geeks Turned Guerrillas Make Frontline Drones」。
   ドンバスの前線に近いところ、一軒家の地下室で、若いオタクたちが、ゲリラ用の特殊ドローンを改造している。
 戸外では大砲の遠雷が聞こえている。

 製作工房の隣室は、破損機体の修理センターである。戦争前は、そこは洗濯場であった。

 19歳のゲリラエンジニア。小口径擲弾の弾頭を改造し、ドローン用の投下爆弾に仕立てている。
 空力フィンを取り付けるほか、着発信管を取り替えねばならない。

 リモコンで発射ができる「無人機関銃座」の改造工事も、ここでは、やっている。

 キエフに「イゴール・シコルスキー技術大学」がある。彼らはそこでロボット工学を専攻していた学生たちだ。

 爆撃型ドローンの発進は、ロシア軍の最前線から2kmの場所から行なう。

 改造母機は米国製。2900ドル=3000ユーロで市場調達できる。

 爆弾投下高度は300mである。爆発が起きると、露兵は自動小銃を空に向けてドローンを撃墜してやろうとする。しかし、まず小銃のタマが当たることはない。

 ※雑報によると米国は、ついに「HMMWVとTOWの組み合わせ」を援助し始めたらしい。TOWを1500発提供すると8月に公言していたそうだ。トレーニング体制さえ整えば、TOWやミランのような前世代の対戦車ミサイルも、供与オプションになるのだね。ミランはひとあしはやく、一部欧州諸国から寄贈されている。

 ※ジープのような車両プラットフォームと組み合わせるなら、旧式の「無反動砲」のような装備も、こうした援助用として有望なはずである。援助専用の安価な汎用火力システムとして、先進国でもあらためて研究しなおす価値があるだろう。むろん、最大射程が「カールグスタフ」にも劣るような無反動砲ならば、そんなものをこれからわざわざ製造する意味は無いだろうが……。

 ※雑報によれば、100ミリの対戦車加農である「MT-12」を、装軌装甲トラクターであるMT-LBの車上に載せ、仰角を増すことで、最大射程を3km伸ばした自走砲を、ウクライナの国営のガス会社の工場で改造している。オープントップなのだが、とても格好良い。防楯が側面まで囲んでいるので、砲手は耳が痛くないだろう。背面はガラ空き。

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 Boyko Nikolov 記者による2022-9-26記事「France tests domestic AVATAR ? a mini drone armed with HK416 AR」。
    仏軍の兵器調達局が、正式に、アサルトライフルHK416をとりつけた6軸マルチコプターである「AVATAR」の試験を開始した。

 このシステムの当面の目標。150m離れた空中から敵歩兵を射殺できるようにする。
 実弾射撃試験は年内から開始する。

 数年前、仏軍は、DJIの「マトリクス600」で類似の試験をしたことがあった。しかし、満足な結果は得られなかった。

 「Matrix 600」は、6kgのペイロードしかなかった。AVATARはもっと余裕がある。

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 Maciej Szopa 記者による2022-9-27記事「1,000th Piorun MANPADS Comes Off the Production Line」。
    ポーランドの国産MANPADSである「ピオルン」が、量産1000発を達成した。2016年から製造を開始している。

 昨年までは年産300発であった。今年は600発に拡大される。2023年には年産1000発となる。

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 SOFREP の2022-9-27記事「China Unveils Boron-powered Supersonic Missile Blueprint」。
   ボロンを使うとハイパーソニック開発がはかどるという。しかしボロンの主産地は合衆国。中共はそれを輸入するしかないという。