爆薬満載の自航式バージに、道路橋の下をくぐらせた。その瞬間に自爆させた可能性が有力に。

 Howard Altman, Stetson Payne, Tyler Rogoway 記者による2022-10-8記事「Explosion Rocks Russia’s Prized Kerch Strait Bridge Leading To Crimea (Updated)」。

 爆発は土曜日の早朝に起きた。

  ※夜間のケルチ水道通峡は出入りともに禁じられているはずなので、荷舟を装い、夜明けまで黒海側で堂々と待機していて、夜明けと同時に許可を得てアゾフ海へ進入。そのさい、徐々に微妙に規定水路から逸脱して、道路橋が海面から高く上がってはいないところ――太鼓橋スパンの袖――の下を意図的にくぐらせるようにし、バージが道路の下にさしかかった瞬間に起爆させたと想像される。オペレーターはフロッグマンで、直前に水中に飛び込み、水中スクーターを使ってピックアップポイントまで離脱。そこにて仲間の高速ボートもしくは偽装漁船に拾われたのか?

 ※油脂タンク車が炎上したのは、まったくの偶然だと思う。貨物列車の通過時刻に、超低速のバージのタイミングなど、合わせていられたはずがない。そんな複雑な計画を立てたら必ずや失敗する。偶然、タンク列車が通りかかっていて、そこに引火したのだ。おそらく、はるか高架になっている鉄道橋上のタンク貨車に、こんなに簡単に引火するとは、計画者も実行者も、思いもよらなかったことであろう。珍しい衝撃波の遠達現象だろう。


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 雑報によると露軍は「Diatone Roma F5」というレーシング用ドローンを自爆機に仕立てている。いちばん安い物で300ドル出せば買える市販商品だという。

 ※この商品を検索すると、18000円、360ドル、420ドルなどの価格で通販されているのがわかる。操縦は、ファースト・パースン視点で行なう。すなわちドローンの機載カメラの映像が無線リンクされて、操縦者のVRゴーグルにそのまま表示される。それで標的を上空から見つけて降下・突入するのだ。直線見通し距離内通信だから、文字通り、敵前で操縦する必要があるだろう。建物の裏側に隠れている敵を発見して背後から突入するのは簡単。塹壕トンネルに突入させるのも容易。おそらくAFVの開いているハッチにも突入させられる。難しいのは、爆発させる手順のようだ。数十グラムのプラスチック爆薬を電気雷管で起爆させる方法が採られているようだが、衝突衝撃で自動的に起爆するわけではないので、発火タイミングが遅れると、機材の回路が壊れてしまって通信が途絶し、そのまま不発になってしまう。さりとて過早に発火させれば敵兵を殺傷できない。この発火メカをあまり簡略化すると、こんどは操縦者の手の中で自爆する事故が起きてしまうから、厄介なのだ。しかし武器進化の常道として、すぐにシンプルで確実な安全装置や、実用的なインパクト・フューズを、誰かがこしらえるだろう。そうなるのは時間の問題である。