いよいよアルマタが引き出された。

 『Military Watch Magazine』の2022-10-8記事「T-14 Armata In Luhansk: Russia’s Most Capable Tank Finally Deployed For Combat in Ukraine – Reports」。
   2020-4に露軍に配備開始された最新型の「T-90M」は、2022-4にウクライナ戦線に出現した。
 既存のすべてのロシア戦車よりも防護力強化が図られているはずのモデルだが、すでにそのうち1両は戦場で撃破された。また別な1両は9月に完全な状態で鹵獲され、今、NATOが仔細に検分しているところである。


 10月8日、1両の「T-14」が、ルハンスク州のミジンスカヤ(Midginskaya)村で目撃された。

 特別な通信能力と指揮能力が買われ、「指揮官車」として投入されてきたと見られている。

 砲手と車長が別個にカプセル状の装甲で囲まれているので、被弾によってどちらかが死傷しても、もう1人は生き残るようになっているという。

 さいきん、露軍の旗色が悪いので、士気振作のために、味方向けに宣伝を試みようとしているのであるかもしれない。

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2022-10-9記事「Russia’s newest T-14 main battle tank deployed in Ukraine ? source」。
   T-14が戦場に出現したという上掲の報道には写真が添えられているが、それがロシア本国の訓練場で撮影されたものでないという確証は無い。

 T-14の製造数は、最多の可能性として10両。ありそうな現実値としては、8両以下しかまだ存在しない。

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2022-10-6記事「Watch: ‘They agreed on the phone’ ? Russian BMP-2 crew surrenders」。
    BMP-2が白旗を掲げて投降するビデオ。最後に車両内から出てくるのが車長である。なぜそう断定できるかというと、露軍のAFVクルーのうち、小火器を持っているのはコマンダーだけなのだ。

 ウクライナ軍は、AFV乗員にして手向かいをいっさい為さずに投降した露兵たちに対しては報酬を与える――という宣伝を展開している。それも効いているかもしれない。

 チェコの「idnes.cz」によると、このBMP-2のクルーたちは、無線交信によってウクライナ側にあらかじめ、車両を手土産に降参する意思を伝えていたのだという。

 次。
 Kamil Galeev 記者による2022-10-9記事。
   イーロン・マスクは、彼の帝国のセキュリティを、ことごとく「アウトソーシング」してきた。
 それゆえ、ひとたびプーチンや中共から脅迫を受けると、もはや自力では何の防衛もできない。防御力ゼロ。
 それゆえ、彼にできることといったら、独裁者の言うなりに行動することしかなかったのである。

 「非暴力ビジネスマン」(=マスク)が、「暴力ビジネスマン」(プーチン&習)から脅されたときに、それまで「自衛力」を構築してこなかった非暴力ビジネスマンは、「ディール」を探そうとする。
 笑止だが、それしか彼には考えることはできないのである。

 ※モンテスキューいわく。金銭によって平和を買った者は、さらに幾度でも、おなじ平和をカネで買わされることになるだけである。

 わたし(グリーフ)が米国に行ったときにいちばん驚いたことは、暗号通貨資産を保有している個人が、「俺は暗号資産を持っているぞ」とSNSに書き込んで天下に広告していたことであった。自宅の写真を添え、概略の居住地を報知している御仁も多い。わたしは唖然とさせられた。

 これがロシアや中国だったならどうなるか。ただちにその者へは脅迫の手が伸び、暗号資産へのアクセス暗証を白状させられ、そのカネは奪われてしまうであろう。
 イーロン・マスク氏は、そうした暴力がありふれた通常世界からは隔絶された温室育ちのお坊ちゃまだったのだ。

 ロシアでクリプトカレンシーを運用して儲けている者たちは、全員、公的な露出を最低ギリギリに自粛している。すこしでも目立つことは、ただちに死の手が迫ることを、意味するのだ。

 ロシアには、世間に公知されている刑務所の他に、秘密の地下刑務所がある。
 秘密刑務所は、地上部は「豪邸」なのだが、地下空間があり、そこは、公知の有名な刑務所と、なにからなにまでそっくりに建造されている。

 いったいそこで何をするのか?
 公知されている刑務所内から、たとえば個人資産を隠匿しているような収監者をこっそりと移転させ、その地下刑務所にて、機微な情報を聞き出すのである。

 被尋問者は、じぶんがどこにいるのか、わからなくなる。なにしろ、それまで収獄されていた場所と、細部にいたるまで、そっくりなのだ。

 ひとつだけ、違いがある。その地下刑務所には、人体焼却炉が付属している。ロシア人は、当局の意向により、誰でもいつでも収監され、ひそかに地下刑務所に身柄を移され、もしクリプトカレンシーの暗証番号を白状しなければ、誰でもいつでも煙にされてしまう。

 なぜロシア軍には世界最先端のドローンが無いか、わかります?
 そのようなドローンを開発した民間起業家氏が登場したとしよう。するとたちまち彼は「暴力団」の餌食にさせられてしまい、マスクの「テスラ社」のようには大成することは、けっしてないためです。「暴力団」は政府と一味である場合も多い。

 ※台湾を香港のようにすればよいとツイッターに書き込んでしまった投資家がツイッターを買収することを、米政府が公認できるわけがない。自滅への迷走を始めているね。

 次。
 Grace Kay 記者による2022-10-8記事「Elon Musk says Beijing disapproved of him sending Starlink to Ukraine, wanted him to promise he wouldn’t sell the satellite internet in China」。
   イーロン・マスクは『フィナンシャルタイムズ』に語った。中共はスターリンクのサービスをウクライナに提供することを容認しなかったと。
 また中共政府はマスクに要求した。スターリンクを支那では売るな。

 テスラ車の製造プラントが上海にあるため、マスクは弱みを握られている。2018に建設したその工場から、昨年は、テスラ車の全生産数の半分が、送り出されている。

 スターリンクは40ヵ国でサービス展開されているが、中共にはまだ売り込めていない。

 次。
 Sylvie LANTEAUME 記者による2022-10-8記事「US ammunition supplies dwindle as Ukraine war drains stockpiles」。
    米国はその保有する弾薬の三分の一をウクライナに与えた。ロケット弾は1万発に達する勢い。
 ところが米国内の年産量は5000発である。

 ジャヴェリンは8500発以上を送り出した。これは年産が1000発である。

 155ミリ砲弾は80万発を送り出した。これは全西側軍の保有弾量の「三分の一」だという。
 米国内での155粍砲弾の月産量は、1万4000発である。ペンタゴンはこれを3万6000発に引き上げさせたい。いまから3年後までに。
 しかしそれが達成されたとしても年産43万2000発だ。少ない。

 次。
 ストラテジーペイジの2022-10-8記事。
   スロバキアがウクライナに28両進呈した「M55S」は、なんと「T-55」の焼き直しである。
 さすがにエンジンは、オリジナルの580馬力ではなく、600馬力に換装してあるが。

 ウクライナ軍の評判はよい。「M55S」は50トンもあり、主砲は120/125粍である。装填は手動だから被弾しても安全。4人乗り。



ウクライナの戦訓 台湾有事なら全滅するしかない中国人民解放軍