ウクライナ空軍は、「ストームシャドウ」を「スホイ24」から空中発射しているらしい。

 昨日の雑報。
  TOW発射型HMMWVに乗っていた人(Jack’s House)が、ツイッターで、ロシア発表の「ベルゴロドのHMMWV」とやらの写真は演出されたジオラマだと断言している。説得力あり。

 理由。
 まずタイヤに泥がまったく付着していない。

 つぎに、壕にノーズダイブしてスタックしたという設定なのに、車体前端によって土がすこしも押された痕跡がない。重い車体だ。時速10マイルで突っ込んだとしても、こうはならぬ。

 つぎに、左側車両の左前輪が位置的にトレンチを越えて宙に浮いているのに、その轍がトレンチ縁のどこにもついていない。そもそも、1輪が壕を越えたのなら、他の3輪もついてくるものである〔デフロックできるからね〕。

 先行の1両が壕にハマッたとしたら、僚車はそのすぐ隣に来るか? 穴を避ける余地はいくらでもあるのに。

 この2台のHMMWVは、トレーラーか無蓋トラックに載せられて現場まで運搬され、クレーンで丁寧に吊り下ろされたものだろう。2台の由来を詮索すれば、もともとイラクで走っていたものがシリアのゲリラの手におちて、それをまた露軍が鹵獲したというところだろう。
 自動車保険を騙り取ろうとする犯罪者たちの方が、もっと手のこんだ細工をするぜ。――ですと。

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 Hope Seck 記者による2023-5-23記事「The Marines want to make their secret beach-swarming drones autonomous」。
   米海兵隊は、将来の上陸作戦を、海からのロボットのスウォームで実施しようと構想している。
 FY2024の予算要求文書を深読みすると、それが分かる。研究は極秘で進んでいる。

 「無人スウォーミング強襲上陸クラフト」=USAAC というものを開発する気だ。そのコンセプトは2016からあった。

 音頭取りはONR(海軍研究局)。

 有力な一案があって、それはミシガン州にある「Gibbs Sports」社が2013年からてがけている《4脚のジェットスキー》。いわば水陸両用車の4輪が水上スキーへ変化するもの(2018以降、クワッドスキーとも称す)。

 ※ロシアの哨戒艦を宇軍の爆装無人ボートが襲撃しようとして、けっこう敏捷に水上機動しているのだが、機関砲で返り討ちされて木端微塵になっている、最新ビデオが、露側から公表されている。米海兵隊がここから教訓を汲めないとしたら、深刻なことになりますぜ。ではどうするのがBESTか? 私には腹案があるのですが、ちょっと今日は、語らないことにしよう。

 ※代わりにライフハックをひとつ。合成樹脂製の安物の黒靴を磨く靴墨がないとき、フローリング掃除用のワックスシートを使うと、わずか1分間にして、ピカピカですよ。

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 David L. Stern 記者による2023-5-24記事「Despite war, Ukraine allows Russian oil and gas to cross its territory」。
    ウクライナ政府の矛盾した態度。西側諸国に、シビアな対露制裁を要求しておきながら、自国領内を横断するロシアの天然ガスパイプラインや原油パイプラインの稼動については、そのまま許している。そしてロシア企業から土地施設使用料金を得ている。

 しかしディスコードのリーク文書によれば、ゼレンスキーは、ドルジバ原油パイプラインについては、今年、爆破してしまえという意向だったそうだ。

 このパイプラインに死活的に依拠しているのが、ハンガリー。

 もしガスの流量が開戦前と同じならば、ロシアのガスプロム社は、ウクライナ国営の「ナフトガス」に対して、毎年、10億ドルから15億ドルの土地施設利用料を払い込まなくてはいけない。この収入をウクライナは捨て難いのだという。
 じっさいには流量はかなり減っている。

 ロシアはそれで、振込み金額を削減し振込みを遅らせているようだ。どのくらい減らしたのかは、ウクライナも非公開にしていて不明。しかしナフトガスは、「ガスプロムは約束どおりにもっと払え」という訴えを、パリの「国際仲裁裁判所」に起している。

 ドルジバ原油パイプラインの通過料として昨年、ウクライナがロシアから得た金額は、1億8000万ドル弱であったという。

 ※雑報によるとチェコ政府は、イスラエル製の長距離無人偵察機「ヘロン」の調達をキャンセルし、代わりに、もっと安価な小型の無人偵察機を200機、どこかからか買うという。これも、ウクライナ戦争を観察して得た最新の教訓反映であるという。

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 ストラテジーペイジの2023-5-24記事。
   中共でも最大級の武器メーカー、ノリンコの1年間の売り上げは、輸出を含めて800億ドルという。
 得意分野は、陸戦兵器である。

 たとえば、ノリンコがナイジェリアに売った戦車「VT-4」(別名MBT3000)は、T-72の発展型のようなもので、単価は500万ドル。

 しかし後進国相手の武器ビジネスは楽じゃない。2022年にナイジェリア軍はノリンコに対してクレームをつけた。この戦車の125粍砲に砲弾を装填しようとしたら30分もかかったぞ、と。
 どうも、自動装填装置の使い方を教習してなかったようである。

 中共軍が正式採用した戦車はこの系統ではなく、重さ54トンの「99式戦車」。2001年のこと。2011年には装甲が強化されて58トンになっている。今も製造中。これまで1200両以上、納品されたであろう。

 「99式戦車」の納入単価は300万ドルから400万ドルだろう。
 これはしかし中国軍としては大きな負担なので、200万ドルで調達できる「96式戦車」(43トンでほぼT-72)もいまだに現役なのだという。

 比較して西側製の戦車は、1両が700万ドル未満ということはないだろう。

 ※砲塔バッスル内に弾薬を完全隔離している最新世代の西側製戦車が、ロシア製のATGMやドローン攻撃に対してどのくらいの防護能力・生残性を、ウクライナ戦線で示してくれるのか、わたしたちは、固唾を呑んで注視しているところです。その成績によっては、西側諸国内で「MBT不要論」が駘頭するのは必然ですから。敢て「戦車不要論」とは言いません。AFVは将来も必要。しかしMBTの地歩はもう危うい。