英国の前の首相ボリス・ジョンソンは、米国の前の大統領トランプを木曜日に説き伏せて、ウクライナの勝利は死活的に重要だとトランプに言わせたらしい。

 ロイター報道。ジョンソン・サイドのスポークスマンが金曜日に発表した。

 ※先のCNNの独占インタビューではトランプはロシアの勝利を望んでいるかのような含みを残していた。ジョンソンがそこをハッキリさせた。この責任感は見上げたものだ。

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 Mary Ilyushina 記者による2023-5-24記事「Prigozhin says war in Ukraine has backfired, warns of Russian revolution」。
    プリゴジンは警告した。対岸の火事と眺めているロシアの金持ちどもが、もっと直接に今次戦争に協賛をしないならば、1917革命と同じことが起こるぞ、と。

 この発言を引き出したインタヴィアーは、コンスタンティン・ドルゴフ。

 プリゴジンの主張。不評であろうとも、国民総動員令が必要なんだ。戒厳令の施行も。働ける人間は皆、弾薬工場で働かせろ。

 プリゴジンいわく。秣小屋用の三叉フォークを手にした民衆が、カネモチどもの大邸宅に押し寄せるぞ。このままでは。

 たとえばショイグの娘のクセニアを見よ。婚約者でフィットネスブロガーのアレクセイ・ストリャロフとドュバイでバカンス。それを世間に見せびらかして……。ロシア国民はこれを見てどう思うんだ? 1917革命は、まず兵士が立ち上がった。同じことが起こるぞ。

 このインタビューは、プリゴジンの知られざる真実を明かした。彼は、料理はできないそうである。なので、「プーチンのシェフ」というあだ名は正確ではない。マスコミからは「プーチンのブッチャー」と呼ばれたいのだ。

 プリゴジンのするどい指摘。今回の侵略をやったおかげでウクライナ軍は世界最強の陸軍の一つに急成長してしまったし、いまや世界中の人がウクライナについて認知するようになった。

 ざっくり言うと、開戦前、ウクライナ軍の戦車は500両だったのが、今は5000両だぞ。
 開戦前は、まともに戦闘できる宇軍兵士は2万がとこだった。今は40万人いるぞ。

 幾万もの戦没兵士遺族の怒りが、政府に向かうだろう。

 金満特権階級の連中が、その若い息子を戦場へ送り出し、その息子たちのなきがらが続々と戻ってきて、毎日墓地に埋葬される、そうなって初めてロシア国民は「これでフェアーだ」と思ってくれるであろう。

 プリゴジンの立ち位置はあまりに異色だ。ロシア政府は政府批判は一切許さぬ法規制を次々打ち出していて、ショイグの昨年9月の公式発表では、露兵は5937人しか戦死していないことになっているのに、プリゴジンは、バフムトのみでワグネル兵2万人が陣没したと公言したり、真っ向からの政府批判を続けて、恐れ気が無い。

 ※外野の観測者の中には、バフムトだけで5万人くらい死んでいてもおかしくないという者もあり。

 ロシアのテレビ局は、いまや、プリゴジンのことについては、極力言及しない。

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 Mary Ilyushina 記者による2023-5-25記事「Russian blogger says he was fired over interview with mercenary boss」。
   上記のプリゴジンの独占インタビューを包み隠さずインターネット公開したコンスタンチン・ドルゴフ君は、哀れ、所属するオンラインメディア会社を馘になったそうだ。

 ロシアには「Rutube」〔笑〕という政府翼賛限定の動画投稿ウェブサイトがある。

 そしてコンスタンチン君はテレグラムのチャンネルである、政治談論番組「テレガ・オンライン」というのを任されていた。

 ちなみにロシア国内では今でも「ユーチューブ」は規制がかかっておらず、誰でも視聴できる状態。

 プリゴジン・インタビューは火曜日の午後に公開された。そして水曜日の午前中に、ドルゴフは馘を言い渡された。
 どうやら、プリゴジンから批判された特権階級の者が激おこで会社に電凸クレームしまくったらしい。

 ドルゴフいわく。この連中はプリゴジンにはちょくせつに反論ができないものだから、かわりに私を解雇させたのだ。

 ※なんという奇観! 今のロシアで言論の自由を持っているのは、プリゴジンただ一人なのだ。暴力を極めた者だけが、言論の自由を得る。それが今のロシア。《ポスト・プーチン》は、もうこいつで決まりかも?

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 Joseph N. DiStefano 記者による2023-5-26記事「Boeing needs more Chinook, Osprey orders to keep Delco helicopter assembly lines running」。
    ボーイング社のチヌーク(今はCH-47F)の組み立て工場は1960年いらい〔ペンシルベニア州の〕デラウェア・カウンティ(略してデルコ)にある。2021年と22年には、年産60機だった。しかし23年には20機くらいに落ち込んでしまう。

 副社長氏にいわせると、これよりも数が落ちると、もう製造ラインを保持して行くことはできない。ちなみに20機製造に必要な従業員は4100名。

 フィラデルフィア中心の地域には下請け企業も多い。たとえばチヌークの断熱ならびに機内騒音抑制のために、ファイバーグラスを泡状に形成した特製素材がブランケットとして内張りされている。その部材メーカーの「エムケ製造」も、チヌークの先行きを案じている。

 ボーイング社は、他方では年に80機くらいのアパッチを製造中である。その工場はアリゾナ州メサにあり、従業員4600人。チヌークよりアパッチの方が4倍も受注残が多いわけだ。
 ちなみにメサでは特殊部隊用として「AH-6 リトルバード」の製造も再開した。

 ボ社は訴える。いったんアッセンブリが止まってしまったら、もう、あとからそれを再開させようとしても、即座にはどうしようもない。なにしろ数千人の優秀工員をふたたび募集し、仕事を変えてしまった下請け企業に前の仕事を再開してもらわねばならない。そんなことがすぐできるわけがあるか?

 2018年に、米国の安全保障プランナーたちは、これからはヘリコプターやAFVなどの整備数は減らし、浮かせた予算で長距離戦術ミサイルや衛星、無人機、AI系ソフトウェアを強化して、中露に対抗しなければならないと決意した。9.11いらい長きにわたった「対ゲリラ討伐」の時代は、終ったからである。

 オスプレイの工場は「リドリーパーク」にある。23年には36機を組み立てるであろう。これはラインをあと2~3年は維持するのに十分な受注数である。

 チヌークは米国以外にも20ヵ国以上に採用された。オスプレイは、米国以外で採用したのは日本だけである。ボ社はこれはまずいと考え、FAAに対して、オスプレイの民間バージョンを提案しているところ。

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 Bill Gertz 記者による2023-5-24記事「New strategic threat emerging as weapons seek to target brain function, inflict neurological damage」。
    中共は2021年から「ブレイン・ウェポン」を研究している。弾丸を使わずに、敵兵の脳神経を直に破壊できる装置だ。

 戦闘に勝つためには、敵兵の肉体を物理的に破壊する必要などない。脳神経を麻痺させてしまえば、それで目的は達成されるのである。

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 Mario Del Pero 記者による2023-5-26記事「Super-K: The myth of Henry Kissinger」。
   この27日にキッシンジャーは100歳になるそうだ。

 インドシナ戦争の泥沼から米国が抜けられなかったのは、キッシンジャーが、米国は世界中の紛争に介入しなくてはいけないという信念から。この信念はベトナム後も変わっておらず、40年後、キッシンジャーは、米軍はイラクからすぐに撤退すべきではないと説いた。

 中国を「開国」させたのは、じつはニクソンの発案であり且つ手柄であって、キッシンジャーは対支では懐疑的だったことが、今ではあきらかになっている。

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 Megha Shrivastava 記者による2023-5-23記事「Decoding China’s Escalation of the Chip War」。
   中共国内で製造されている集積回路。その量は、世界の半導体市場の16%である。
 メモリーチップのDRAMにかぎれば21%、またNANDチップ(論理回路素子)に限れば、世界の15%を製造している。

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 施欣妤記者による2023-5-25記事「紐西蘭接收首批巨蝮蛇輪型裝甲車」。

  ※まあ記事タイトルどおりのニュースなのだが、「ブッシュマスター」とは「巨蝮蛇」のことだったとはこの記事で初めて知った。動物の呼称は独特だね。ニュージーランド国軍が、豪州(台湾語では澳洲と表記する)製造のブッシュマスターを受領開始した。

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 2023-5-25記事「Dronamics Cargo Drone Takes First Flight, Paving the Way for the Future of Deliveries」。
    「ドロナミクス」社は、世界で最初の、無人の貨物輸送機を運航しようという航空会社である。
 その主力機体は「ブラック・スワン」という。固定翼機。

 荷物350kgを、2500km先まで届けることができる。従来の航空便と比べ、料金は半額にするとぶちあげている。