豪州の方から米国に対して、ウチの砂漠を、お宅のハイパーソニック弾の実験場にしてもいいですよ、と呼びかけている。AUKUSの枠組みで。米陸軍長官は、乗り気。

 David Hambling 記者による2023-8-9記事「How Have Ukrainian Drones Beaten Russian Jammers ―― And Will It Last?」。
    市販されているマルチコプタードローンは、リモコン周波数が既知であるため、ジャミングに弱い。

 英シンクタンクのRUSIが見るところ、今次ウクライナ戦争の初盤では、露軍はウクライナ側の民間ドローンの9割をジャミングで墜落させた。

 現況はガラリと異なる。ウクライナ側で何らかのミステリアスな技法を用いて、露軍の「対ドローン・ジャミング」能力は一時的に無効化されているようだ。ただしEWの世界では、勝利は永続固定しない。敵はすぐに対策を講じてくるだろう。

 『ガーディアン』紙の取材によると、昨年後半、宇軍のドローンは味方の位置から6km離れた敵陣上へ飛ばすことができた。しかし最近のバフムト前線では、1km以上は飛ばすことはできないという。それ以遠では露軍のEWが優勢なので。

 ことし3月の報道で某ウクライナ軍大佐が語ったところでは、歩兵用のドローンの寿命は「半日」、砲兵用のドローン〔おそらく固定翼観測機〕の寿命は1ヵ月であると。どうも、歩兵用のマルチコプターは、飛ばすとすぐに敵のEWにかかり、未帰還にされてしまうらしかった。

 5月のRUSIリポートによると、宇軍は敵EWのせいで月に1万機のドローンを喪失している。
 ドローンの喪失そのものはウクライナにはあまり痛くない。すぐに補給がつくからだ。大問題なのは、ドローンが飛ばないと、大砲は当たらないのである。今は、砲兵は、ドローンとコンビでなければ、すべて無駄弾になってしまう。

 ロシア製のジャマーは、一時、確かに、米国供与のJDAMやエクスカリバーすらも妨害することができていた。これは両陣営の報道が一致している。

 ロシアからの報道によく登場するようになったのが、「スーツケース」状のジャマー。これを最前線部隊が持っている。

 しかるに直近の数週間、俄然、ウクライナ軍のFPV特攻ドローンが、露軍の車両などに対してまたよく当たるようになった。

 その理由のヒントは、「テラ」ドローン部隊の長であるミコラ・ヴォロコフのビデオ投稿にある。そのビデオの中でヴォロコフは、最近、FPVドローンを、自爆特攻ではなく、急降下爆撃機として使うようになった、と語っている。

 彼の経験では、ヘルソンでは「LUNA」無人機は8km以上進出するとすべて未帰還になった。次に転戦したバフムトでは、ひどいときには2km飛ばすとEWでやられた。すべて、リモコン信号がジャムされるのだ。しかし今は情況が変わったという。克服方法を知ったという。

 記者の想像。おそらく宇軍は、DJI社が市販していた「AeroScope」という探知装置を、独自に改造したのではないかと思う。

 「Olga」という、宇軍が最近、装備するようになった「黒箱」の正体は、それだろう。
 この黒箱と、これから飛ばすドローンのUSBポートを結線すると、ある「仕様変更」が自動でなされる。
 おそらくそれによって、DJIドローンの搭載チップが飛行中に自動送信する座標データを改変するのだ。ソフトを書き換えているのかもしれない。

 この下細工をしたあとにDJI製のクォッドコプターを放てば、それはもはや露軍が持っている「AeroScope」ではその位置をまったく追えなくなる。緯度も経度も「ゼロ」と表示されるので。

 このほかに考えられる宇側の対策としては、リモコン電波の飛来方向だけにナローに感度を維持するように受信アンテナを指向性化したり、リモコン電波とは違う周波数をノイズとしてカットする回路を組み込む、などの方法もあるはず。どれが採用されているかは、今はわからない。

 いずれはHARMの廉価版もできるだろう。敵のドローン・ジャマーに向かってホーミングする特攻自爆ドローンだ。

 ※記者のデヴィッド・ハムブリング氏には『スウォーム・トルーパーズ――いかにして小型ドローンは世界を支配するか』という著作があるそうだ。

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 David Brennan 記者による2023-8-8記事「Ukraine Drone Tsar Reveals Plans for Fleet Expansion」。
    2022-2の露軍の全面侵攻開始いらい、ミハイロ・フェドロフ副首相は、ウクライナ軍のドローン戦備の総責任者である。彼は毎朝起床するや、宇軍が前日に破壊した露軍を写したビデオを視聴するのが日課であるという。数千ドルの無人機が、数百万ドルの露軍装備を次々に破壊し続けている事実は、真に感慨深いという。

 彼は戦後のことをもう考えている。ウクライナは、世界屈指のUAV先進国になっているはずで、輸出も期待できるだろう。

 世界中の国々が、ウクライナ人が実戦場で得たドローン関係のノウハウを、吸収したがるはずだ。

 開戦前、ウクライナ国産のドローンは7種類のみ。今は40モデルがウクライナ軍によって駆使されている。
 数週間前にモスクワに特攻した国産の自爆機は「the Beaver」として知られる、と記事は書く。

 われわれが「ドローン軍」を立ち上げて、すぐに理解したこと。無人機をただ前線へ送っても、無駄である。必ず訓練されたパイロットに扱わせなくてはならないということ。

 熟練操縦者は、敵のEWに遭っても、機体を喪失しないで帰投させられる。被撃墜も少ない。

 英国の一シンクタンクの推計。宇軍は毎月、1万機のドローンを消耗している。これは2023-5時点の話。
 フェドロフは、損害統計は公表しない方針だ。

 すでに、1万名のドローン操縦兵を育成し終えた。教程は10ヶ月である。そのための私学校×26の協力を得ている。学生は全員、宇軍からの出張。修了すればすぐ原隊復帰。

 2023-6にあらたにさらに1万名のパイロットを育成するプロジェクトがスタートしている。パイロット需要は、増える一方だ――とフェデロフ。

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RFE/RL’s Russian Service による2023-8-9記事「Putin Signs Decree Suspending Double-Taxation Treaties With ‘Unfriendly’ Countries」。
   プーチンは、個人や法人が二重課税されるのを免除する国際協定を西側諸国と結んでいたが、その協定を停止して遠慮なく二重課税せよという大統領命令を発した。対象国として日本も含まれる。

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 2023-8-8記事「Russian Exports to China Drop in Wartime First」。
    中国の通関統計によれば、7月のロシアから中国への輸出は92億ドルで、前年同月よりも、8%減った。減少するのは、2022-2以降、初めてである。

 なお、ロシアから中国へのエネルギー輸出は、今年は去年より40%多いという。

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 Thomas Fazi 記者による2023-8-8記事「Niger and the collapse of France’s empire」。
  サヘルには、石油、金、ウラニウムが出る。にもかかわらず、世界最貧。

 フランスの電力は70%が原発である。その燃料のウランの20%は、ニジェールで掘り出されたものだ。
 それでニジェール国民はどうなっているか? たったの7%しか、電灯線が利用できない。田舎地方に行けば、4%である。全人口の40%が、極貧の生活水準にある。

 ニジェール国内のウラン工業の資本は85%がフランスの国営機関と仏私企業に握られている。ニジェール政府の出資率は15%にすぎない。

 そうなのだ。
 他のいかなる旧宗主国とも違い、フランスは、旧植民地を形を変えて今も支配し搾取をし続けている。マリ、ブルキナファソはそれに抗議して蹶起した。それにニジェールが続いているのだ。

 いかにしてフランスはアフリカ植民地の支配を戦後も延長できたか。通貨である。
 1950年代には他の欧州諸国も、本国で刷った通貨を、植民地で流通させていた。
 フランスが異常なのは、その通貨支配を、植民地が独立した後まで続けたことだ。

 CFAフランというやつだ。今も14ヵ国が使わされている。マリ、ブルキナフアソ、ニジェールが含まれる。これらの国は自国で紙幣を刷らないのである。通貨奴隷だ。

 フランス政府は、サヘル諸国がこの通貨機構から脱退しないように、あらゆる甘言で説得してきた。それどころか、暗殺や政権転覆工作までやらかしてきたのだ。

 今日まで、サヘル諸国の財政が健全でなく、政府が無責任なのは、この仕組みのあるがゆえなのだ。

 パリ政府はここを「フラン圏」と呼ぶ。
 通貨を通じてフランスは、サヘル諸国の自主性を阻み、フランスの利益のため奉仕する経済政策を維持させた。
 CFAは現代の搾取帝国主義そのものであり、サヘルの異常な貧困の原因はフランスにある。

 ニジェールには、仏兵1500名の他、米兵(アフリコム隷下)が1000名も駐留。

 マリの反仏感情がどれほど強いか。フランスとの外交関係は断絶。国内では仏語を公用語から外した。

 ニジェール政変は、130億ドルを注ぎ込む予定の、ナイジェリアから欧州向けの天然ガスパイプラインを北上させる事業も脅かしている。

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 Alison Bath 記者による2023-8-9記事「1,100 US troops in Niger to remain for the time being, Pentagon says」。
   ニジェールの中央、Agadez基地には、C-17が楽々と離着陸できる滑走路があり、米陸軍将兵ら1000人が駐留し、政府軍兵士を訓練してやっている。

 またニジェールの拠点からは米空軍が対ジハーディスト用にリーパーなどを飛ばしている。

 今のところ、ニジェールでは反米運動は起きていない。※というか、叛徒の幹部は皆、米軍が訓練してやった人材だ。

 ※叛徒はワグネルをマリから呼び込みたがっているが、米軍が基地化しているので、さすがに無理だろう。

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 Hlib Parfonov 記者による2023-8-8記事「Ukraine’s Slow-Moving Counteroffensive: Problems and Solutions (Part One)」。
   2019年から2021年のウクライナ軍は低調だった。定数では31両なければいけない、1個戦車大隊の戦車数が、22両にされていた。というのは、あと8両に乗せる兵員が、みつからないので。
 同様に、1個砲兵バッテリーは定数が6門なのに、4門しか動かせなかった。

 ドイツ国内でのブラドリー乗員訓練は、おざなりなものだった。乗車と下車しか教えなかったという。

 英国内では、チェルニヒウの本物のロシア軍の塹壕と寸分たがわぬ塹壕を再現して、そこを攻略する演練を反復させた。ドローンからペイントボールを投下させ、擬砲火を多用した、本格的なものだった。

 宇軍では、下級将校の質が低下している。7月時点で、下士官として最前線で6ヵ月過ごした者は、誰でも少尉になれる。士官学校での教育はゼロである。

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 「mil.in.ua」の2023-8-9記事「A powerful explosion damaged the Zagorsk Optical-Mechanical Plant in the Russian Federation」。
   現地の午前11時、モスクワ郊外の光学兵器工場で大爆発。ところが爆発とともに、砲弾の弾殻が近隣に降って来た。どうやら、その工場では砲弾を製造していたらしいのだ。そのための火薬庫が吹っ飛んだという。

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 Sofiia Syngaivska 記者による2023-8-6記事「Chinese Companies Produce Flying Mortar Drones Capable of Carrying 120 mm Shells for russia, Defying Export Restrictions」。
    中共の零細企業が、ロシア向けの、爆撃型マルチコプターを開発した。1発16kgの120㎜迫撃砲弾を2発、投下できる。ユーチューブで公開している。

 「Ural Drone Hub」というところから受注してこしらえたことは明白である。

 ※内燃機関エンジンで発電して、各ローターを回すのは電動モーターにしているようだ。こうすれば、クイックリスポンスの姿勢制御とパワーを両立させられる。しかし、搭載力を欲張りすぎると、EWで未帰還にされたときの精神的ダメージが大きいだろう。1機がかなりの高額になるはずで、大量消費できるアイテムではないから。

 中共中央は7月に、ドローン輸出を厳しく制限することに決めた。その規則は9月1日から施行される。

 にもかかわらず、有力な武装ドローンの輸出は可能である。パーツをバラバラにして、部品の形で輸出し、買い手がそれらをガレージで組み立てればいいのだ。

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 2023-8-9記事「Ukraine will receive Satcube terminals for satellite communications」。
    スウェーデンの「Satcube」社は、静止衛星を経由するインターネット通信を可能にするポータブルな地上端末を100個、宇軍に納品する。
 その資金はドイツ政府が出した。無料提供だ。

 地上ターミナル(受信アンテナ込み)は8kgである。

 衛星との距離が遠く、電波が弱まるから、通信速度はスターリンクよりも遅い。スターリンクは100Mbpsなのに対して、サトキューブは70Mbpsである。
 しかし、ジャミングを受けにくいというメリットが大きい。これは静止衛星通信のメリットだ。

 静止衛星は、米国のインテルサット社のを使う。

 地上ポータブル局の1個の値段は6万5000ドルくらい。