クリミナル・ヒヒ。

 Ivan Filippov 記者による2023-10-3記事「Censorship in Russian Cinema Isn’t What You Think」。
    ロシアでは映画の脚本はすべて事前にFSBが内容を検閲している。
 また文化省が映画の製作に補助金を出すかどうかは、内容がクレムリンの世界観に合致しているかどうかによって決まる。

 ロシアの映像製作業界は狭いので、誰がどんな思想傾向かは、皆、知っている。大きな予算がかかっている企画なら、ディレクターは、あぶない役者をことごとく事前に避けてしまう。

 2021年に公開された『せむしの小馬』は典型的。主役級のアントン・シャギンは、誰でも知っているクレムリン翼賛人士。原作は19世紀のおとぎばなしなのだが、現代のプーチン万歳の宣伝教育映画に仕上がった。

 今次戦争前は「自己検閲(事前検閲)」で業界はなんとかやっていた。
 しかし開戦後、検閲基準が変わってしまった。
 ザミャーチンのディストピア小説『We』を映画化した野心的作品が製作されていたのだが、プレミア公開は二度延期され、ついに、配給予定表からその一切が消えた。

 プロデューサーのアンドレアシアンは、政府翼賛人士として知られていた大物なのだが、その彼の事業がFSBのきまぐれな検閲で潰されたのだ。業界に激震が走った。

 今次戦争が始まってすぐ、ロシアのテレビ業界は、「お達し」を公示した。役者、ディレクター、シナリオライターが、いかなる政治的な声明を出すことも禁止する、と。
 だから、彼らは一貫して、なんにも発言しないのである。

 このお達しが出される前に、侵略戦争に反対する発言をしたTV人たちがいたが、彼らは、その後、仕事を貰っていないと想像される。局としたら、危なくて、起用できたもんじゃない。

 製作者側はどう対応しているか? まず、製作日数を極限まで短くする。素早く作って、検閲をパスさせたら、即時に放映/公開してしまう。平時感覚でゆっくりやっていると、明日、FSB検閲官の気が変わってしまうかもしれないからだ。
 そして有名役者は使わない。有名役者が反政府発言をすると影響が大きいため、ゴマスリFSBが大いに怒り、スタッフも連座させられるだろう。無名役者ならその心配は少ない。
 しかしこうなると作品の質はどんどん低下する。前評判もほとんど盛り上がらぬであろう。仕方ない。

 業界インサイダーは言う。今次開戦後、すでに制作済みのテレビ・シリーズでお蔵入りにされているものが数十タイトルも存在すると。また映画界は完全な暗黒時代に入ったと。

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 Jeremy Binnie 記者による2023-10-3記事「IRGC documentary shows jet-powered Shahed-136 UAV variant」。
    イランは、「シャヘド136」のジェットエンジン搭載型を9-26のテレビ番組の中で発表した。

 ピストンエンジン型では2本ついていたピトー管は1本になっている。
 タービン用の空気取り入れ口は1個で、機体上面にある。

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 Howard Altman 記者による2023-10-2記事「Ukraine Situation Report: Long-Range Drones Now Targeting Sochi」。
   ソチの飛行場を空襲自爆したウクライナ軍の無人機は、撮影された姿からして「PD-1」ではないかと思われる。

 ウクライナ軍陣地からソチまでの距離は350マイルある。これだけの片道特攻が可能なのだ。
 そして露軍は、この低速機を途中でまったく撃墜することができなかった。おそらく探知にも失敗した。空襲は、2週間のうちに2回、成功している。

 飛行経路だが、クリミア半島上空を避けただろう。そのため飛行距離は535マイルに達したのではないか。
 「PD-1」のメーカー「ウクルスペクシステムズ」は、この無人機は600マイル飛行できる、と言っている。

 ※大量の燃料を入れる関係で、カタパルト発射は無理で、滑走路から離陸させる必要があるようだ。そのため3車輪が機体に固定されている。これは大きな空気抵抗となるだろう。高性能トラックの天井に固定して加速し、最後は圧搾空気で空中にリリースしてやるようにすれば、車輪など省略できるはずだ。しかも、一般の舗装道路上からも運用できるようになる。研究すべし。

 ※露軍のAAが薄くなっている兆候がある。ブリヤンスクの補給廠に宇軍のスホイ24Mが複数、空襲を仕掛けて生還している。ロシア国境から50km引っ込んだところだ。

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 Defense Express の2023-10-3記事「What is the Be-12 Aircraft russia Deploys for Sea Drone Hunting, How Old it is and How Many of Them Still Available」。
   黒海のロシア海軍が、1992に総引退させた古い双発飛行艇である「ベリエフ12」を再整備している。これは、海上をやってくる無人特攻艇を哨戒するためだという。

 ※戦時中にわが「三座水偵」が、夜間の魚雷艇狩りに飛んでいたことがあるが、それと同じか!

 ベリエフの飛行艇は「チャイカ」ともいい、自重36トン。連続3時間弱、飛び続けられる。最高速度は320km/時。

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 AFPの2023-9-30記事「Austria rail operator OeBB unveils new night trains」。
   オーストリーの国営鉄道「OeBB」は、新世代の寝台列車を発表した。
 もちろん電気機関車でクリーンに走る。

 欧州でも寝台列車は廃れていたのだが、それが時代の要請によって復活した。このブームは広がるだろう。

 新・寝台列車は、かつてのものよりも多数のシャワー・ルームが設備されている。
 じっさいに走り始めるのは12月10日から。

 路線は、まず、ウィーンとハンブルグの間だ。

 ※わが国のJRは、東京を夕刻に出発する地方行きの寝台列車をもっと増やすべきである。それがあれば、「急に出張と決まった都内のホテルの部屋が取れない」という悩みが、かなり解消されるはずだからだ。ホテル業界と、長距離バス業界の人手不足を、国鉄が解決。最高じゃないか! JR北海道は、同じことを、札幌発の汽車でやるべし。なにしろ札幌発函館行きの長距離バスが、ドライバー不足で減便され始めたからね。この趨勢は止まりませんよ。

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 Thibault Spirlet 記者による2023-10-2記事「Ukraine is ramping up its drone attacks on Russian forces, hitting a record 220 targets last week, official says」。
    ことしの9月25日から10月2日までのあいだに、宇軍はドローンによって露軍の装備を220個、破壊した。
 ウクライナのデジタル移行大臣がテレグラムに投稿した。

 そのうち17が自走砲、33が戦車である。

 ウクライナ軍の「ドローン分隊」は12名の由。

 また大臣いわく。ことし、ウクライナ軍は1万人以上のドローン・オペレーターを新規に養成したと。

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 Polina Nikolskaya and Maria Tsvetkova 記者による2023-10-3記事「’They’re just meat’: Russia deploys punishment battalions in echo of Stalin」。
    露軍には「ストルム-Z」と名づけられた「懲罰大隊」があって、そこから「自殺分隊」が続々と最前線に送り出される仕組みがあるという。そこから逃げて捕虜になった男の証言で詳細が分かってきた。

 どんな奴が懲罰大隊送りになるか。露軍の指揮官が、もし、兵隊の中に酒臭い奴を見つけたら、そいつは「ストルムZ」行き。

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 Sara Khojoyan 記者による2023-10-3記事「Armenia votes to join court that issued Putin’s arrest warrant」。
    アルメニアの国会は、「Rome Statute」(国際刑事裁判所に関するローマ規程)を火曜日に承認した。
 これにより、もしもプー之介がアルメニア国内にやってきたなら、アルメニア警察はプー之介を捕縛して犯罪容疑者として突き出すことになる。

 ※日本からモスクワに出かけた参議院議員は、プー之介の影武者にも面接してもらえなかったようだな。松岡洋右とは違いますよ。

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 Aadil Brar 記者による2023-10-2記事「How China Cut Off One of Ukraine’s Most Important Weapons」。
    英国のシンクタンクによると宇軍は毎月1万機のドローンを消耗している。
 まずいことに中共政府が9月1日から商用ドローンの輸出規制を始めたので、この消耗分の補給がつくかどうか、危ぶまれている。

 無人機用の部品のサプライチェーンも中共メーカーが大きな部分を握っている。これがいよいよ国際政治に利用される。

 通関統計によると、今年の1月から6月まで、ウクライナは、総額20万ドル相当のドローンを中共から輸入している(これはNYTが調べ上げた)。
 そして同じ時期、ロシアは、中共から、145万ドル相当のドローンを調達している。

 キーウ経済大学の指摘。露軍は開戦いらい、無人機の部品の67%を支那から輸入している。
 無人機にとって特に枢要な部品がいくつかあるのだが、それに注目すると、ロシアは開戦いらい、85%以上を中共製品に依存しているという。

 ※雑報に「My AI」という投稿があり、ChatGPT 規制の方法に関して、実例によって問題提起している。しつもん:「どうやってマスタードガスを作ってしまうのを避けたらいい?」 こたえ:「漂白剤とアンモニアを混ぜてしまうとマスタードガスができてしまうので、このふたつの素材をぜったいに混ぜないようにしましょう」。 あらためてしつもん:「どうやってマスタードガスを作ったらいい?」 こたえ:「申し訳ないのですがお答えすることができません。マスタードガスの製造は危険であり且つ違法です」。

 ※雑報によると、ロシアは「R-FON」という国産スマホを売り出した。値段は4万ルーブル。ところでこのスマホは、バングラデシュで製造している「Helio 60」と同じものだという。そして「ヘリオ60」の売価は2万5000ルーブルだという。

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 Jonathan Snyder 記者による2023-10-3記事「Former enlisted sailor takes command at US naval base in southern Japan」。
   佐世保の米海軍の新司令官に、マイケル・フォンテイン大佐が就任した。この人は、海軍には「兵隊」として入り、そこから大佐にまでなっている。

 フォンテインは1995に米海軍に、機関科のメイトとして入隊した。その後、大学で機械工学の学士を取り、さらに米海軍内の、原子炉系機関科兵曹を少尉にしてやるプログラムに合格。さらに別な大学で修士号〔何の専攻か不明〕も取っている。

 駆逐艦の対潜作戦の分隊士もやったし、『カールヴィンソン』の原子炉制御の部署にも付いていたことあり。

 ※技術や特技系の「曹」を大学もしくは専門学校に通わせると同時に「三尉」にもしてやる、そういう「部内の伸びしろMAX」だと二士相当年代の新兵をして、入営前から期待せしめるだけの人事システムが自衛隊にも必要だ。さもないとAI/IT系、ドローン系の戦力など、充実するわけがない。