雑報によると、1950年代設計の空挺AFVである「ASU-57」がウクライナ戦場に出てきたという。もちろん露軍。WWII中の突撃砲をペラペラにしたような外見の愉快なアイテムだ。

 Ellie Cook 記者による2023-10-1記事「What Are Fateh-110 Missiles? Russia Eyes Iran’s Answer to ATACMS」。
  ロシアはイラン製のSSMを買えると期待している。それはATACMSの同格品なので、たくさんこれから必要になる。
 「Fateh-110」は1990年代後半に開発され、当初は命中精度が低かった。

 しかしイラン人は地道に改善を続けて来て、最近では精度が十分に良くなっている。
 ペイロードは500kgと推定されている。

 レンジはバージョンによるが、最長で500kmという。

 値段が不明である。おそらく安い。

 オスロ大学の研究者のホフマン氏によると、カリブル、Kh-101、Kh-555は、いずれも、製造コストが170万米ドルだという。こんなものをバカスカ毎日発射し続けられない。

 CSISのウィリアムズ研究員によれば、Kh-101は単価が120万ドルくらいじゃないかという。

 「シャヘド136」なら安価だから毎晩発射できるが、低速機ゆえ、迎撃される確率が高い。
 弾道弾のSSMなら、シャヘドのようにはAAでやられない。

 イラン製の短距離弾道弾を、ウクライナのあちこちに向けて発射すれば、ペトリオットでも防ぎきれない。ペトリオットは、特定都市の狭い空域を防護できるだけなので。

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 Sakshi Tiwari 記者による2023-10-2記事「It’s Official! Russian MoD Confirms Using Iran’s 122mm HE-FRAG Rockets Used For Its BM-21 Grad MRLS」。
    とうとう動画で証拠があがってきた。露軍のBM-21ラーンチャーは、今、イラン製の122㎜ロケット弾「アラシュ-1」を運用している。

 2022-9時点でのロシアとイランの武器取引のドキュメントがあり、それによると、T-72の備砲である「2A46M」の単価が8万5750米ドル。122ミリ野砲であるD-30は単価が5万4750米ドル。

 ※なんと牽引野砲の方が、125粍戦車砲のバレルと砲尾だけのパーツ値段よりも安いのか。然るに、現場でやっている仕事はどっちも「間接照準の榴弾砲」なんだから、援助のための量産を最高に合理化するためには、戦車なんか忘れた方がいい。

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 ストラテジーペイジ の2023-10-2記事。
    空軍戦力の比は今、どうなっているだろうか。
 米軍は1万3000機の軍用機を擁し、圧倒的である。全世界の軍用機が5万3500機なので、その四分の一が米軍機なのだ。

 露軍は衰えたりといえども4100機の軍用機をもっている。中共軍の3200機よりまだ多いのである。

 中共の空軍戦力は、台湾+韓国+日本の空軍戦力合計にも、わずかに劣っている。
 また米軍は太平洋戦域にすぐに数千機を集中できるので、米軍が出てきたら、勝負にはならない。

 露軍は極東に航空戦力を移動させることはできない立場である。北方以外のすべての国境が、ロシアの敵ばかりだからだ。

 1943のクルスク戦(7-4~8-27)について、庶民の皆さんは認識をあらためて欲しい。あの会戦の途中まで、ドイツ軍は頑強だった。なぜか? 途中まで独軍戦闘機が、数が少なかったのに、善戦していたためだ。ところが7-10にシチリア上陸作戦が始まり、イタリアがまずいこと(8月にシチリア陥落、9-9バドリオ政権が降伏)になってきたので、ヒトラーはルフトヴァッフェをロシア戦線から抽出してイタリア方面に移動させた。それでクルスク会戦の流れが逆転したのだ。空軍戦力は、露軍相手の地上戦に大いに影響するのである。

 ところで米空軍は納税者に向けて強調したい。戦闘機パイロットは「累積飛行時間」が肝腎なんだと。朝鮮戦争で北鮮マークの「ミグ15」を操縦していたソ連パイロットは、それまで「ミグ15」で訓練なんかしていなかったのに、北鮮人パイロットよりもはるかに優秀だった。これはWWIIのベテランだったからだ。

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 ストラテジーペイジの2023-10-2記事。
    今次戦争で露兵はすでに20万人以上死んだ。さすがにロシアの田舎地方でも人々はそこに気付いている。

 1970年においてソ連の人口の半分は、田舎に暮らしていた。狩猟や釣りを日常的にしている連中は、徴兵としても頼りにできた。
 しかし近年では田舎住人は全ロシア人口の37%である。都市以上に、田舎から兵隊を徴募しにくくなっている。

 都市住民は、強制されなければ露軍などと契約しない。田舎よりも情報が多いからだ。

 ※雑報によると、ガブリチェンコという名のロシア軍の戦闘機パイロットが家族とともにUAEに旅行し、そこで米国大使館に亡命した。ウクライナ戦争に行きたくないからだという。彼は米軍特殊部隊への協力を申し出ているという。この一件を承けて、ロシア政府は、空軍パイロットや軍の将校の海外旅行を、その家族ともども、禁止したという。

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 Kamil Galeev 記者による2023-9-25記事。
   2022年の夏、誰かが記者に「10イーサリウム」(ブロックチェーン通貨で、250万円相当)をめぐんでくれた。

 じつは記者が追いかけたいネタがあった。
 2017年にこういう記事があった。《ドイツ人とチェコ人がロシアのサルマトICBMと、SS-N-23SLBMの開発を手伝ったのである》というもの。どちらもKrasmashミサイル工場で製造している、液燃ロケットだ。

 「クラスノヤルスク機械製造プラント(クラスマシュ)」はICBM製造のためにロシアに2つある重要工場の1つ。

 2016年に、クラスノヤルスクの地域テレビ局「エニセイ」が、クラスマシュの近代化について番組を放映した。その中に映っていたのは、チェコの TDZ Turn 社製の「VLC 4000 ATC」と垂直旋盤「C1」であった。

 そのチェコの企業は、クラスノヤルスクにある「KRプロム」という現地商社と提携して納品していた。
 その事実を外国からインターネットで簡単に調べることができた。
 またこの番組はサプライチェーンも具体的に教えてくれている。

 こういう話を、記者は、調査チームをつくってもっと掘り下げたいのである。そのため「rhodusinc」を立ち上げた。貰った資金を使って。

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 Isabel van Brugen 記者による2023-10-2記事「Russian Kh-59 Missile Factory Struck by Multiple Drones: Ukraine」。
   週末、「Kh-59」空対地巡航ミサイルを製造しているロシアの工場に複数の特攻無人機が突入した。これはウクライナ側からの発表。

 日曜日に3機突入したのはスモレンスクの工場。

 「Kh-59」のレンジは280kmである。1970年代に開発された。

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 The Maritime Executive の2023-10-1記事「Report: Lack of a Police Force Leaves Deltaport Vulnerable to Crime」。
    メキシコからカナダのバンクーバーにメタンフェタミンを船舶で大量に密輸する闇ルートがあり、その荷揚げ拠点が、河口港である「デルタ」市。この埠頭の拡張ペースが早くて、警察の人数がぜんぜん足りておらず、あちこちに多国籍犯罪組織のアジトが営業している状態だという。
 ※梁山泊かよ。

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 The Maritime Executive の2023-9-27記事「Vietnam Protests China’s AIS Ground Stations in the Paracel Islands」。
   ベトナム政府は北京に抗議した。
 船舶用のAISの陸上局を、中共がパラセル諸島に2箇所、建設したので。それらは2週間前に運開したという。
 北斗の信号を使う。また、本土のAIS局とも接続しているという。

 ※ウクライナ支援団体が、2022-1-24~2023-7-31の期間の各国の対宇支援金額を、軍事と非軍事でトータルして集計した。そのグラフが印象的である。一位はEUで、米国より多い。三位はドイツで米国の三分の一くらい。それに、英国、ノルウェーと続く。ノルウェーの本気度と実質貢献量が印象的だ。日本の総額よりも多いのだ。ノルウェーはEUにも醵出しているはずだからね。日本の次がカナダで、以下、ポーランド、オランダ、デンマークと続く。これがベストテン。ここで大きな疑問を抱く。台湾のGDPはポーランドより大きいことになっている。その台湾がなぜこのグラフに入って来ない? ふざけてないか?