米海兵隊は、4連装型のHIMARSをラインナップに加えた。従来型より2発少なくした。

 Joseph Trevithick 記者による2024-12-4記事「F-35A’s 25mm Gun Still Needs Tests To Verify It Works」。
   F-35A の固定武装である 25mm ガトリング砲(4銃身。GAU-22/A)のタマは、狙ったところへなかなか飛んでくれないという。この問題が何年も解決していない。

 この弾丸には炸薬は入っていない。高速の貫通力だけで、空中目標も地上目標も破壊する設計だ。

 F-35の胴体左側に、このガトリング砲は内臓されている。実包は180発。レートは、3300発/分。
 変わっているのは、撃たないときには銃口の前には機体外鈑がある。撃つときにだけ、蓋が開く。

 F-35B と C型には、固定機関砲は搭載されていないが、「GPU-9/A」というガン・ポッドを吊架できる。その中味は、A型と同じ「GAU-22/A」で、実包は 220 発。

 この機関砲が当たってくれぬ理由は最初から判っている。F-35にはヘッドアップディスプレイが無いのだ。代わりに、パイロットのヘルメットの前面を構成するバイザーに照準点が映示される。しかしこのヘルメットはパイロットが頭を動かせばそれにつれてグラつく。機体軸に対して非固定である。だからとうぜんに信号補正のディレイがあり、それをゼロにはできない。

 またそれとは別に、この機関砲を使用すると、F-35の機体構造にヒビが入ってしまうという大問題まで浮上している。

 A型にそもそも機関砲は無用だろうという議論も勿論あるのだが、米空軍はポンコツ単機能のA-10をなんとしても早く退役させたい。而してその抵抗勢力(関連工場がある州選出の政治家たち)を黙らせるためには、A-10に遜色のない対地銃撃がF-35にもできる、という建前が不可欠なのだ。

 ちなみにA-10の機関砲は口径30mmで、実包1174発搭載。
 F-22の機関砲は20mmで、タマは480発。F-16Cは500発。

 F-35の機関砲の弾丸はFAPという。敢えて割れ易くしてある徹甲弾。タングステン芯なのだが、そのタングステンが、物に当たると破片化するようにできている。よって対地銃撃で歩兵を攻撃できる。製造は、ラインメタル社。1発が131ドルする。ちなみに、20mmの機関砲弾(半徹甲弾)は34ドルくらい。

 ※エグい対人弾薬をこしらえさせたらドイツのメーカーの右に出る者はない。ラインメタルは全く情報を出していないが、米軍が買っているのはまさにそこだと思う。

 ※炸薬充填の炸裂弾ならば、時限自爆機能がつくから、逸れ弾が地上に毀害を及ぼす確率は低いだろうけれども、この25mmの特殊弾は、純然たるAPでもないので、人家の近くに落ちたときに、ちょっと困った事態を惹き起こしはしないか?

 ※F-35ユーザーの空自にとって、頭の痛い問題。領空侵犯機に銃撃で警告しようとしても1発1万9659円(12/5の円ドル為替レート)。しかも3秒で弾切れになり、帰投後、〆て353万8708円也の始末書のようなものを書かされるとしたら? それと、これからは、低速~中速ドローンを洋上で何十機も撃墜しなくてはいけないという仕事もあるはず。この機関砲は、別なモノに換えた方がいい。理想はレーザーだが……。

 次。
 Juan King 記者による2024-12-5記事「Physically fit sailors may be exempt from body standards next year, Navy says」。
  米海軍は、体力がほどほどで、肥満でなく、病気でもなければ、従来は入隊を認めなかった低身長者や高身長者も、来年からは採用することにした。

 次。
 Defense Express の2024-12-5記事「Swedish Norma Finds the Best Shotgun Round Against FPV Drones: Which # They Chose and Another Key Factor」。
   ノルマ社は、市販機材をベースにしているFPVドローンに対して、一般的な粒径2.25mmの散弾(#8 ショット)では威力が足らないことをまず実験でつきとめた。銃は一般的な「12ゲージ」を使う。

 粒径は2.75mmにする必要がある。すなわち「#6 ショット」だ。
 それ以上、粒を大きくすれば、粒数が減ってしまって、数十メートル先の空中で散開したときにドローンに粒が当たりにくくなる。よって、「♯6」が、最善のバランスだ。

 ノルマ社はその上で、1粒のパンチ力を増すために、鉛粒ではなくタングステン粒を採用した。
 ※鉛の比重は、立方センチあたり11.36グラム。タングステンの比重は、19.3グラム。

 かくして、「AD-LER」弾=対ドローン用の大射程実包 ができあがった。
 1発で350粒のタングステン・ペレットを前に飛ばす。有効射程60メートル。実包の重さは34グラムである。

 同社は、テスト用の銃として、ベネリ社のM4ガスオートをカスタム。バレル・チョークは特別あつらえ。

 ※さらにパンフレットから補足する。ケース長は70mm。初速は405m/秒。チョークは「1/2」以下であること。


(管理人より)

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