Defense Express の2025-5-2記事「Ukraine’s War Experience Shows Balloons and Satellites Can Fix the British Watchkeeper Drone Problem」。
英軍がプレデター級を目指して開発してきた「Watchkeeper WK450」無人機が、大失敗プロジェクトとして了ることが確実になった。13億5000万ポンドもこれまで突っ込んでいる。少数生産されたうちの7機がすでに喪失。
英陸軍は過去7年間、「ウォッチキーパー」を使ってきた。
しかしとうとう2025-4に、この無人機に代わる、別な無人機を模索することに方針を定めた。用途は、戦域のISRである。
これについて英国シンクタンクの RUSI (Royal United Institute for Defense Studies) は、むしろ高高度気球とか、低高度のマイクロサットを使うことにしてはどうかと提言している。ISR用の気球はウクライナ軍が現用していて、それが参考にできるという。
ウクライナ戦線で立証されていること。軍隊が前線に持ち出す戦術偵察用無人機は、1機が20万ドル以上するものではダメ。高額な無人機は、その1機が落ちたときに、おおごとになってしまうから。
「高性能である」ことよりも「廉価に大量生産ができる」ことの方が、今日の無人機戦場では、重い価値が認められるのだ。
これは難問だ。英陸軍は、縦深50km以上のリモコン偵察機を欲している。しかも、米軍提供の通信アセットなどには、一切、依存したくない。そんなシステムをどうやって廉価に製造する?
「MQ-9 リーパー」を米軍は2023年後半よりこのかた、イエメンのフーシのためにすでに15機も撃墜されてしまっている。こいつは1機が3000万ドルする。かつては、長時間、長距離を飛ばしたかったら、どうしてもそのくらいになってしまったのだ。
そこで米空軍は「ULTRA」という無人機を開発した。単価は875万ドルに抑えられている。
しかし英陸軍は、その単価でも高すぎると考えている。
ウォッチキーパーを更新させるISR無人機のために充当できる英軍の予算は、1億7300万ドルである。
この難問を解こうとしてRUSIは、固定翼の無人偵察機というコンセプトから脱却すべきことを説いているのだ。高高度気球も、LEO衛星も、イランが提供するSAMでは、撃墜できない。そこが重要なのだとRUSIは言う。
※雑報によるとバリ島で大規模停電発生。ジャワ島からの送電ケーブルが切断された疑いがある。