スペース・コマンドの司令部を、アラバマ州のロケット・シティへ移してしまうと決めた背景は、コロラド州の郵便投票制度に対するトランプの嫌悪があるそうだ。

 Seva Gunitsky 記者による2025-8-25記事「The Two Mearsheimers」。
  2001年にミアシャイマーは『The Tragedy of Great Power Politics』を公刊し、「オフェンシヴ・リアリズム」という概念を国際政治学に導入した。

 これは、大国はナチュラルに攻撃的になるものである、という歴史からの帰納。
 あるところに大国があり、その隣にとんでもなく弱っちい地域があったとする。善意や悪意にはほぼ関係なしに、その大国は、当該の隣接地域に対する侵略活動やそれに準ずる活動をスタートするであろう。動機は、そうすることで大国は、今以上に安全になると思うからである。

 2014のロシアの対ウクライナ侵略も、これでクリアーにすべて説明される。〔兵頭いわく、大正期~昭和前期の日支関係もね。〕ところがミアシャイマーは突如として、2014のプー之介の作戦は、アメリカが原因で、アメリカが悪いのだと叫び始めた。

 事実は、ウクライナが、大国ロシアの隣国として、あまりにも弱すぎていたので、プー之介の侵略を自動的に誘ったのである。つまりミアシャイマーの2001理論で全く説明可能なのに、なぜかミアシャイマーは2014を境にして、自説の破却に全力投球し始めた。今もそれを続けている。

 ※漠然と思うに、ミアシャイマー理論は「イスラエル帝国」の建設を後押しすることになる。それが迷惑だとご本人が思い始めたのではなかろうか。あるいはもしかすると、米国のカナダ侵攻を予感しているからか? 別報によれば、メキシコでは資金潤沢な麻薬カルテルがIEDや特攻ドローンを駆使するようになっているので、もし米墨戦争になれば、カナダより手強い相手かもしれない。

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 Robin J Brooks 記者による2025-8-31記事「Lessons from 3 years of Russia sanctions」。
   記者は対露経済制裁の専門家である。
 ブルックスの小括。EU内の企業こそが、西側政府の最悪の敵になっている。

 金融制裁は、ロシアには利かない。その理由は単純。ロシアはゆるぎのない経常黒字国だから。

 2018に米国はトルコに金融制裁を科した。たちまちトルコの景気は後退させられた。トルコはもともと経常赤字国である。いつも海外の資本市場からカネを借り続けねばならぬ立場の国だから、そうなるのが当然だ。

 ※バイラクタルTB-2が異常に安いのは、トルコの通貨が極端に安いから。そうなった背景でもある。

 西側はロシアの中央銀行CBRに制裁を課したが、石油輸出代金を受け取る銀行が、CBRの支配下にないアングラ金融機関に移行することで、ロシアの経常収支にはほとんど悪影響がなかった。

 この回避をゆるさないためには、対CBR制裁ではなく、すべての銀行をターゲットにする「完全禁輸」制裁を西側が発動するしかなかった。しかしそうすると、西側の誰もロシアから石油やガスは1滴も買えなくなる。西側には、それはできなかったのである。

 そこでG7は、ロシア産の石油を買う場合の価格上限を設定しようとした。理論上、ロシアに対して確実に効き目がある正しいツールである。
 しかし、ギリシャの船会社が大反対し、EU内で拒否権を有するギリシャ政府を動かした。その結果、2022-12の設定上限額(バレルあたり60ドル)は、ロシア原油の市価をただ追認しただけの、無意味なポーズとなった。

 のみならずギリシャの船主どもは、ロシアにおんぼろの石油タンカーを大量に売ってやり、シャドウ・フリートを育てるのを幇助した。EUはそれを禁ずるべきだったのに、却ってギリシャのロビー活動に負けて追認している。

 バイデン政権も、ロシアの石油タンカーに対する制裁を、選挙に敗れるまで実施できなかった。なぜなら原油価格が上がると米国内のガソリン価格も上がり、庶民が腹を立てるので。

 後知恵だが、今、こう言える。もし2022のうちにG7が1バレルあたり20ドルの上限を策定できていたなら、ロシアは経常収支が赤字に転落しただろうから、初めて真の金融危機に直面しただろう。それが、ウクライナ戦争を早期に終息させる、最善の打撃になったはずだ。
 経常収支が黒字であるうちは、その国の経済が崩壊したとは誰も思わない。戦争でも何でも続けようという気になのである。

 EUガバナンスが危機にあるのは、イタリアとドイツの商品がキルギスで大量に消えている貿易データから立証できる。英国はそうした私企業の「対露の抜け荷」積み替えを自国領土内において有効に禁止できているのに、他のEU諸国にはそれができないのだ。つまり、EU内の少数の大企業と船主たちが、私欲のために、ロビー活動を通じて諸政府の手足を逆に縛り、EU27ヵ国の長期的な安全保障をおびやかしているのである。それを誰も止めることができないのである。これではプー之介に足元を見られてしまうのも尤もだろう。

 ※Robin Brooks 氏の2005-9-1「X」投稿。IMFデータによると中共からキルギスへの輸出は毎月25億ドル。GDPが200億ドルでしかないキルギスが最終消費者のわけがあるか? 中共こそ対露の最大の支援国である。

 ※Robin Brooks 氏の2005-9-3「X」投稿。中共は、カザフ、ベラルーシ、ウズベキスタンを経由するルートでも、莫大な対露輸出を続けている。EUは第19次制裁として、これら抜け荷の中間積み替え国への開発援助を一切、停止せよ。

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 The Maritime Executive の2025-9-1記事「Royal Navy Uses Drone Deliveries for STS Transfers for the First Time」。
  空母『プリンスオヴウェールズ』は、艦隊内の某艦と他艦とのあいだの荷物運びに、「Malloy T-150」という無人のクォッドコプターを使い始めた。
 まずは空母から、駆逐艦『ドーントレス』へ、小荷物を届けた。 ※おそらくインド洋上にて。

 これまでは有人のヘリがこんな雑用をしていたものだが、これからは、やらない。
 飛行距離は片道1マイルである。
 また、駆逐艦に着艦させるときのリモコン操縦は、駆逐艦側のクルーが引き継いで実施した。