開戦してヨシ

 軍隊の一般的な通信では、相手通信所からの無線電報をちゃんと受けとったかどうか、発信元へ知らせてやらねばなりません。
 しかし、受信したともしないとも、一切返事は出さずともよいぞ、とする通信もあります。そのメリットは何か? 各部隊からの返電を敵が傍受することによって味方全部隊の位置関係や規模、ひいては全軍の企図がバレてしまう心配がありません。デメリットとしては、受信し損なった下級部隊は、おいてけ堀となるでしょう。
 これで有名だったのが旧ソ連軍でした。上級司令部から下級司令部に同時一斉に命令の電報(もちろん軍隊ではヒラ文ではなく暗号に組んである)を送信するのですけれども、それを受け取ったか、正しく翻訳(デコード)できたかどうかの返答は原則として無用──というスタイルが好まれていたんです。こういうのを「放送」と呼びます。
 さいきん兵頭は定収入が半減してしまい、「貧乏暇なし」にますます磨きがかかっておりますから、この新コーナーを立ち上げるにあたっては、管理人さんに「放送形式で」とお願いしました。
 ではひとつ、テストの放送をしてみましょう。宛:北朝鮮軍の全部隊。発:影の首領ポチ。緊急度:特別緊急。乱数帳開始行:ヒラブン。本文:一、日本は北朝鮮に経済制裁することに決めた。手順に基き12160130開戦せよ。二、各部隊厨房は犬鍋を給食せよ。電報おわり。