嗚呼、一冊数百万円もかかるとは……!

 月刊誌『正論』12月号はそろそろ九州地方でも店頭発売されたでしょうか?
 そこで呼びかけている翻訳英文ホワイトプロパガンダ事業の立ち上げについてですが、1冊の本をまるまる英訳すると、翻訳の実費だけで数百万円(税込み)かかることが判明しました。
 じつはわたくしはせいぜいこの経費は壱ヒャクマン未満で済むんだろうと思っていまして、個人レベルの力を糾合すればどうにでもなるじゃないかと甘く考えていたのですが、やはり将来はNPOにしないと無理なのかもしれません。しばらく、読者の皆さんからの反応を聞こうと思います。
 和文英訳の三つのグレードについて現在わたくしの知っていることをお話しします。
●ランクA:ネイティヴが日本語から直接下訳し、それをベテランの日本人チェッカー(翻訳会社の筆頭レベル)が読んで校正意見を付け加えて、それを元に再びネイティヴが最終英文に仕上げる。
●ランクB:日本人訳者(翻訳会社の雇われ人レベル)が下訳し、ネイティヴがプルーフ・リーディングし、ベテランの日本人チェッカーが最終校閲して仕上げる。
●ランクC:ランクBの手順だが、訳者のスキルの程度を気にせず、修整も略式で済ませてしまうもの。
 ──で、ランクAは400字につき1万円程度。ランクBはそれが5000円程度となるのが料金の相場であるようです。(ランクCはバイトの時給に色がつく程度なのでしょう。昔わたくしもドクターの論文を英訳する事務所で雑用係のバイトをしていたことがありますが時給は1200円以上だったと思います。もちろん翻訳会社によってバラバラでしょう。)
 スピーチ、契約書、論文などになりますと、現在、400字につき、¥12,000円から\18,000円はザラだそうです。プレゼン資料、一般文書等では、\9,000円から\12,000円が多いようです。
 したがいまして、いちばん愛国的な料金の翻訳会社さんに頼んでも、一般的な書籍(400字×500枚)を説得力のある英文に直そうとすれば、ざっと500万円かかるわけです。これは個人が出せる額ではないですね。
 わたくしは個人がこういう事業に出す気になる金額とはせいぜい100万円が上限であろうと漠然と思っていますので、「五分の一以下の抄訳指定」をしていただくのが現実的なのだろうなと考えます。
 つまり醵金をする人が「この本のここからここまでを訳せ」と指定するわけです。
 この事業をNPOにすれば、以下のようなメリットがあることは確かです。
○特定寄付金控除の対象になる.
○零細翻訳会社のスタッフなどがメインになっているよりも社会的な信頼感が出る.
○したがって支出する法人の会計係は後難を心配せずにハンコをつける.
○したがって1冊まるごと翻訳のラインナップが増やせるだろう.
 その代わりに面倒なこともあります。信頼できる有名人を「長」に据えなければいけません。これまで財団等の理事にもなったこともない、プータローの兵頭ではダメなんですね。誰かになって貰わなければいけないでしょう。
 そしてそういう相談や根回しを延々とやっている時間が兵頭は惜しいのです。「敵」の攻撃は今すでにたけなわなのですからね。