拝啓 エンリケ航海王子(おきらく軍事研究会)さま

 このたびは貴メルマガ上におきまして望外の長文の過褒にあずかりまして、喫驚し且つおそれいりました。
 「軍事情報(本の紹介)」は、いつもですと、困った性能のわがメール・ソフトめが勝手にハネてしまって見損なうことも多いのでのですけれども、こんかい、偶然に発見して拝読することができました。
 小生はかねてから「自衛隊ニュース」は定期的に読ませていただいております。特に過去の《オマケのコメント》の数々にはしばしば膝を打ち、幾度も啓発されて参った一読者でございます。ちょくせつお目にかかって、もっとつっこんだ「講義」を聴けないのが、本当に残念です。
 「誤字の無い、こんなてまひまのかかるテキスト打ち込み作業を、代価もなしにずっと継続されているエンリケさんとは、どういう人なのだ? かなりの高学歴者で、しかも海上自衛隊のインサイダーだった人なのだろうか……」などと妄想することしきりであります。
 プロの先達者の方からの評価が不肖の身に沁みました。ありがとう存じます。
 以下のコメントにも「全然同意」です。
 ――【私エンリケは、本を文化文明の中核にあるとても大切なものと考えています。
ですので、本作り・流通に関わっている方々を心から尊敬しています。《中略》出版社さんもそうですが、われわれにとって最も身近な本屋さんにも元気になっていただきたい。そのためにできることがあれば何なりと協力したいと考えています。】――
 これに関して、兵頭にも何かできることがありましたら、無代でできる範囲で、うけたまわります。
 ところで、ひとつだけ誤解を解かせてください。
 防研の所蔵史料を全部読みきれる人間は、この世にはいないだろうと思います。物理的に、無理です。(制度的にも無理なのです。遺族の許可なくしては一般利用者が閲覧できない一次資料がゴマンとありますゆえ。)
 ただ、公開史料にのみかんしましても、防研図書室資料の分類整理の悪さについては、いつかぜひ建設的な批判と提案をしなければならぬと思って参りました。
 小生のような部外者は、東京都内に居住して、目黒に朝から日参し、(昼飯もくわず)カードを総めくりして、片端から引き出してもらって、斜め読みして内容の摘録を自分のノートに書き写す……。このような作業を1~2年もやらないと、おぼろげな全体像すら把握できないシステム。きっと、いまでも大して変わりはないのではありますまいか。
 わが国の軍事図書情報の総合環境を、すこしでも改善するために、広く皆様のお知恵をあつめたいものと念じております。
 末筆ながら、エンリケ様のますますのご健勝とご健筆を祈り上げます。