さいきんのニュースから

 CNNが伝えました。日本時間08-2-21-12:30ころ、ハワイ西方から米巡洋艦『レイクエリー』がSM-3を1発発射して、重さ2.3トンの偵察衛星の残骸に命中させてバラバラにした。大気圏内に細かい部品となって落下させて燃焼させるのが目的だ。
 迎撃高度は247kmだと発表された(隠そうとしても宇宙マニアには分かってしまうので)。
 いままで、SM-3の実用射程や有効射程が公表されたことはなかった。
 ただし目標物体は大型自動車サイズであったから、多少のコース誤差があっても命中は確実であった。
 この作戦で証明されたことが2つあります。
 ひとつ。247kmより低い高度の偵察衛星は、SM-3から無事ではない。つまりSM-3輸入国である日本はASAT用ハードウェアを手にしている。(ソフトウェアを含めた中枢システムは驚羅大四凶殺と同様、すべてアメリカ人の手の内にあって、日本独自には満足に運用はできない。)
 ひとつ。SM-3を1発発射すると、65億円が消えてしまう。湾岸戦争のスカッド迎撃のときのように、念を入れて同一目標へ向けて2発発射すれば、130億円。3発発射すれば195億円。(湾岸戦争のときは、3発発射しても半数以上は地上に落ちてきた。)
 この作戦で、依然として分からないことがあります。
 7分前もしくは10分前に発射された、高度150km前後、もしくは高度250km以上を飛んでくる直径80センチのRV(弾道弾の再突入体)を、SM-3がどのくらいの迎撃率で破壊してくれるのかは、誰も知らぬことです。
 米国の『タイム』誌の電子版が伝えています。米空軍はF-22を政府(ペンタゴンの文民組)が決めている183機ではなく、もとからの最低要求量である380機買うようにとの声をますます大きくしている。
 その理由として空軍の調達部門トップの制服軍人、ブルース・カールソン将軍は、21世紀には「インド」および「シナ」が、かつてのソ連空軍のような強敵になるので、それに対して必要なのだと明言。
 F-22の部品を製造する工場は全米の44の州にあって、その雇用は2万5000人にのぼっている。
 空軍は、F-35も要求しているし、C-130とC-17も、もっと必要だという。
 グローバルホークも増やしてもらいたいという。この無人機は1機が120億ドルするのだが。
 さらに空軍は、空軍兵33万人のために、人間工学的に進歩したデザインで高威力弾〔9mmより小口径でボディアーマーを貫通しちまうやつか〕を発射する拳銃10万600梃も買いたいと要求中。その単価は1157ドルだと。
 これとは別に21万梃のM-4カービン(M-16のみじかいやつ)を単価1747ドルで調達すると。
 『タイム』はこの記事を皮肉なコメントで結ぶ。――前々から米空軍は、米陸軍が独自の航空機部隊を整備しているのはいかがなものか、と言い続けてきた。けれども、ついに今や、空軍が独自の陸戦隊をもつようになるんじゃないか――。
 以下、兵頭のコメントです。
 アメリカ空軍が懸念しているのは、米国経済の崩壊が間近に迫っており、その余波で、F-22のような主要装備を必要なクオリティで製造してくれる工場が、軒並み全滅してしまうんじゃないかということでしょう。
 だから空軍が発注主になってこれらの最低限の製造ラインだけは近未来の大恐慌の中でも維持し続けよう、と訴えているんじゃないでしょうか。(各州選出の連邦上下両院議員に異存はないはずです。)
 そうでもしないと、10年後(?)に大恐慌を抜けたあとに、米国内の軍需産業が空洞化している……というまずい事態もあり得る。
 しかしまあ、米国経済の崩壊は止められないでしょう。
 その替りにシナやインドがスーパー・パワーになるというシナリオも夢物語でしょう。この両国は産油国じゃないですからね。
 どちらかというと、ロシアを除く世界経済の大混乱がそれに続く、というのが、あり得そうな話でしょう。
 これは日本の政治改革を願う者にとっては、好ましい外部環境の激変です。アメリカには日本の心配などをする余裕がなくなる。もともと存在しない核の傘が、虚構の演出としても信じられなくなるでしょう。廃憲と核武装以外に、極東で自由主義政体が生き残る道がないという現実が、いま以上に多数の代議士および政党人の口から語られるようになるでしょう。あと一歩です。
 ところで拙著『逆説 北朝鮮に学ぼう!』は、げんざいパイロット版(取次店に収める前に、何千部刷るかを決める参考として試しに書店で反応をみる目的の印刷製本で、だいたい全部で100冊)が池袋のジュンク堂や東京駅近くのナントカいうマニアックな書店にごく少数残っているだけで、神保町の書泉グランデでは数日前にとっくに売り切れた模様です。
 おそらく25日以降に本格的な印刷配本があるものと思われます。
 書店に行かれる方は、光人社の『日本の戦争 Q&A』(1月刊)もお忘れなく。
 余談。
 メールソフトで、削除したメールを、通信を終える都度、控えのメモリーからきれいさっぱり取り除いてくれる機能を使ってない人。あとでまとめて削除しようとするとフリーズすることがあるそうですぜ。スパムの量はすごいですからね。
 「ツール」の「メンテナンス」の「オプション」を開くと、チェックボックスでかんたんに指定できますぜ。
 これをやっておかなかったためにPCを買い換える羽目になったという人が最近いたので、老婆心乍ら……。
 もひとつ余談。AVGを使っている人で、最新データの更新を、手動ではなくて自動ダウンロードに設定している人。わたしの体験では、これは手動を選び、毎日一回、適宜のタイミングに自分でクリックするようにした方がいいです。自動にしておくと、いつのまにか通信が不調に陥ることがあるように思います。
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