清水政彦氏著『零式艦上戦闘機』(新潮選書)を読了す。

 いきなり古典が出たぜ……。
 本書はWWIIおよび一般戦史の研究者にとってはもう必読の好資料となるしかない運命にあります。
 ですので「旧軍機マニア」を誇る人なら、他人より一刻も早く買って読了しておくべきでしょう。一日それが早ければ、一日無知を晒さずに済みますけん。これは老婆心であります。
 いま韓国の衛星打ち上げロケット(サイズとしてM-Vそっくりだというところが、もうね……。中共の軍事新聞はこれがハッキリとSSMだと看破してるよ)がなかなか上がらないので韓国人が半泣きなんだが(次の予定日は25日だと21日に発表したそうですけど…)、少数の技術者や当路者が優秀だったり頑張ってみたって、国家の全局の趨勢は一挙に変えられるもんじゃないんだという、あたりまえな「戦訓」が、清水さんのこの本から明瞭に得られるはずですよ。
 これは政治や選挙でもそうだけど、戦史研究でもまったく同様に言えることで、一人の著述が突出して良いことを言っていても、それだけじゃ社会が聴く耳を持ってくれない。全体の水準が上がらねば、「戦史の教訓学」も進歩しないのです。その意味で本書は、日本の戦史研究が着実に前進しているというひとつの心強い指標でもあります。
 (それにしても新潮社内の担当編集者は誰なのだろう? 「おわりに」で全然ふれられていないので気になる。名編集者なくして名著なし、ですからね。)
 あ、そうそう……皆さん、これを書店で購われるついでに、是非、拙著『たんたんたたた――機関銃と近代日本』(光人社NF文庫)のお求めも、ひとつお忘れなく!