読書余論 2010-8-25配信分の内容予告

▼小島直記『洋上の点――森恪[つとむ]という存在』S53-4
 田中義一内閣の実質外相だった、元・三井の商社員。S18の山浦版伝記が不満なので一から調べなおした評伝だという。山内万寿治は57ミリQF閉鎖機など発明しておらず、それは英国メーカーの贈賄の手口だった、等々面白し。
▼A・H・S・ランドー著、戸田祐子tr.『エゾ地一周ひとり旅』1985、原1893
 M23に146日間で単身北海道一周をやってのけた冒険野郎。20年前の箱館戦争当時の交通事情がどれほど劣悪だったかを推知するよすがとして貴重な証言。アウトドアズマンも必読。
▼金田一京助『古代蝦夷[えみし]とアイヌ』平凡社ライブラリー 2004
 東北のえみしと北海道アイヌは同じであったことを論証。それがいつしか別民族としか思われなくなった理由は、大和朝廷が完全同化策をとったのに対し、松前藩が最悪の差別支配を続けたから。地名語源詮索も面白し。
▼山辺安之助・述、金田一京助ed.『あいぬ物語』大2
 京助は春彦の父。
▼日本歴史地理学会ed.『奥羽沿革史論』大5-6
▼鳥居 民『昭和二十年 第一部=6 首都防空戦と新兵器の開発』1996
▼善波 周[まこと]『弾巣』S18-3
 青龍刀のシナ兵と真剣勝負した体験談あり。
▼会田雄次ed.『世界の名著 16 マキアヴェリ』S41
▼『太田耕造全集 第一巻』S58 亜細亜大学pub.
 平沼内閣の書記官長(今の官房長官)。英字新聞を読んでいた反戦家は多くとも、英字新聞を読む攘夷家は稀少であったから、いろいろ参考になる。「三S」は遅くとも昭和5年には言われていたようだ。
▼防研史料 『和田秀穂史料』
 海軍のマッドマックス型の「號星拳銃」など。
▼防研史料 『爆撃精度向上ニ関スル研究(第三回報告)』S14-9~S15-10
 中攻による公算爆撃に関する、数字てんこもり資料。
▼竹長 吉正『日本近代戦争文学史――透谷・漱石・花袋・伝治を中心に』S51
▼(社)日本ねじ工業協会『日本におけるねじの始まり』S57
▼(社)日本ばね工業会『日本のばねの歴史』S59
▼陸軍文庫『砲兵陣中必携』M8
 4斤砲について詳しく分かる。
▼防研史料『大東亜戦争以前に於ける陸軍鉄兜に関する技術資料綴』
▼山下弥三左衛門『潜水奇談』S39
 米軍が戦時中に、酸素とヘリウムの混合気をホースで送り、200mでの長時間作業を可能にしていたこと。
▼黒石茂喜『潜水記』1966
 WWIに地中海で沈められた八阪丸の金塊をどうやって引き揚げたか、など。
▼坂ノ上言夫『拷問史』大15-8
 手術道具がないときにどうやって手足を苦痛なく切断し得るかが分かる。
▼田口【迎のシンニュウをサンズイにした字】三郎『音と戦争』S18-12
▼『史論叢録 上』大7、興亡史論刊行会pub.
 エリス・バーカー著の「和蘭興亡史論」の抄訳を収載。オランダは民主主義ゆえに没落した、とする。
▼森鉄之助『ゴム製造法』S18-9
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