「読書余論」 2011年3月25日配信号 の 内容予告

▼竹村忠雄『戦争経済学入門』S18-1
▼沖中恒幸『インフレーションの常識』S15-10
 名著。戦前にも正確な情報は大衆に提供されていた。
▼熊平源蔵『積極的に消費せよ』S7-7
 米澤藩と同じ財政改善は日本国としては無理。その理由とは?
▼斎藤眞『アメリカ革命史研究 自由と統合』1992-6
 米軍と州兵の関係を知るためには必読の基礎資料。
▼椎川五郎ed.、参本tr.『クロパトキン回想録 其一~其三』M43-6偕行社pub.
 評価の低いクロパトが如何にインテリだったかが分かる。
▼相馬基『殊勲の荒鷲――少年飛行兵物語』S19-6
▼三省堂出版部ed.『祖国のために』S16-11
 9人の作家によるオムニバス。全部書き下ろしである。
▼防研史料 陸軍技術本部調査班『満州事変ニ於ケル兵器ニ関スル報告ノ概要』S7-6
 自軍の兵器の欠陥をあますところなく指摘しまくり。
▼乃木神社社務所ed.『乃木希典全集 上』H6
 H6-5末げんざい入手可能な日記と文書をぜんぶ収めてある。当時の肖像写真の意味が分かる。
 18年式村田銃の制定には相当の審査があり、外国銃に決まる可能性もあったことが推知できる。
▼和辻哲郎『日本の臣道 アメリカの国民性』S19
 ベンジャミン・フランクリンが創始した「新聞」ジャーナリズムが米国文化を造っている。
▼滝川政次郎『日本法制史の特色』S23
▼東京大学出版会pub.『日本歴史講座 第八巻 日本史学史』1957
▼大久保利謙『明治憲法の出来るまで』S31
 兵頭いわく。米国新聞の創始者ベンジャミン・フランクリンはすでに西洋的教養人。対して、福地源一郎の『東京日日新聞』と野党的新聞の論争時代は、近代憲法精神の何たるかを誰もしかと把握していない段階でなされていた。この顛倒が、日本のジャーナリズムを永遠の未熟児童にする。
▼『明治文学全集 14 田口鼎軒集』S52
▼八代国治『吾妻鏡の研究』S16、原大2
▼森本二泉『手技 錬成 防空戦と兵器の作り方』S17-1
▼福永恭助『僕の兵器學』S16-7
▼小川菊松ed.『最新化学工業大系 第6巻』S12-10
 激ヤバの内容。どのくらいヤバイかは、配信されてのお楽しみ……。
▼『銃砲正價報告書』年不明、金丸謙次郎pub.、非売品
 商品カタログである。かなまる氏は横浜市本町2-21の銃砲店主。
▼横浜市金丸銃砲店『銃砲正価報告書(明治30年10月改正)』M30-10
▼渡辺宗吉ed.、pub.『銃砲正價報告書』M32-10-15発行
 13年式歩兵銃の機関部を流用した村田式猟銃について知りたくば、この資料が重宝です。
▼グンテル・ブリッショー著、若林&広政tr.『青島から飛出して』大7-1
▼天野隆雄『アメリカ合衆国中立の研究』S40
 著者の関心は、潜水艦にあるようだ。
▼森武夫『米国戦時計画経済論』S17-8
 著者は陸軍二等主計。1925~27に在米した。
▼高石末吉『覚書終戦財政始末〈第3巻〉』S45
 S12-7以前と以後の物価は、もう別物なのだ。
▼田中鐵軒『薩藩戦史考証』大2、皆兵社pub.
 合伝流の始祖について。村田経芳は熱心にこれを学んでいた。
▼田中惣五郎『近代軍制の創始者 大村益次郎』S13
▼所荘吉「ナポレオン戦争の余波と幕末の日本」(年報『洋学 4』1996・所収)
 日本では砲術(タマを命中させること)と用兵術が分かれてしまい、軍制改革はちっとも進まなかった。
▼白柳秀湖『明治大正國民史』明治初編~第3巻 S11
 英国は外交難題のおかげで2回、大改革した。
 病根をあきらかにしつつ反体制と呼ばれぬ方法は、自国の昔を語るに限る。
▼マイクロ資料『新聞雑誌』第六十八号(明治五年壬申十一月)
 国際スポーツ競技会ではじめて日本人が優勝し日の丸を掲揚した事実。
▼十文字 信介『銃猟新書』M24~M25
 この本の前半の摘録メモが見つからぬ。とりあえず後半だけ転載。村田連発銃の開発経緯を知るための一級資料。
▼十文字 信介『銃猟新書 続篇』M25-11
 この本には村田は参与していない。
▼山本三生ed.『ゲーテ全集 第十九巻』S11-8
 小牧健夫訳の「マインツの攻囲」「滞仏陣中記録」を収める。この知識があれば、箱館戦争の防禦はより靭強であったろう。
▼陸大教官・歩兵中佐・金谷範三・口述『普墺戦史講義録』M44〔?〕
 金谷が特定の欧州戦史には通暁していたことが、遺憾なく分かる。
▼『元帥公爵大山巌』S10
 出てくる数字をよく読めば、大山の商才と、洋銃を横浜で安く調達できたこととは、じつは関係がないことが、逆に分かる。
▼深尾芳弘『私は騎兵だった』S50
 静粛夜襲では「シューッ」と言うこと。
▼平尾信子『黒船前夜の出会い――捕鯨船長クーパーの来航』1994
 当時の米国捕鯨船のシフトが具体的によくわかる。東海岸の母港に戻るまでに3年も太平洋でうろつくということもあった。帆船だから、可能だったのだ。
▼佐藤昌介・校注『崋山・長英論集』1978イワブン
 「戊戌[ぼじゅつ]夢物語 付 渡辺崋山朱注」を収載。
▼佐藤昌介『洋学史研究序説』S39
 徂徠の「けん録」の「けん」の字が特殊文字としてしかワープロ上で出せないのはじつに困ったものだ。
▼陸軍省『兵器沿革史 第一輯』大2
 vol.1は小銃と火砲である。大砲のすばらしい写真は、たいてい、この資料にあるのである。
▼防研史料 砲兵監部ed.『砲兵学講本 第二版 巻ノ一』
 発行年が不明だが、メチャ古い。
 13年式村田銃の撃針バネが図入りで分かる。
▼防研史料 小森田親玄『比島航空に関する一私見』S19-1-1
 クラークの滑走路は8箇所に散開造成して「基地群」とする構想があった。
▼兒島富雄『運動大講座 射撃』
 著者は、日本帝国小銃射的協会の者。
▼瀧本誠一ed.『日本経済叢書 巻十三』大4・所収「鐵炮格式僉議條目」
 強薬で発射したときに尻餅をつく射手があらわれる境い目が6匁だった。だからゲベール銃には台尻があるのだと理解ができる。
▼ジー・ローラン著、佐藤市郎tr.『戦略研究序論』S4、水交社、原1927
▼西田茂次ed.『言行彙鑒 第二編 第一套』M21-11
 成田仏教図書館蔵だが、第一編は無し。倶利伽羅峠以外のすべての東西の火牛計を転載紹介している。
▼大谷孝太郎『支那国民性と経済精神』S18-1
▼永尾幹三郎ed.『兵器技術教育百年史』S47、工華会pub.
 史料を提供した有坂純一は、成章の孫。
▼櫻井忠温ed.『国防大事典』S7原、S53repr.
▼濱部源二郎『農工用小型ヂーゼル機関』S12-11
 焼玉エンジンの長所と短所。なぜ漁船に好都合だったかが分かる。
▼内田秀雄『日本の宗教的風土と国土観』S46
▼船尾栄太郎『欧米新聞界の秘事』大11-10
▼堀河美哉『英国の経済的勢力』大5-12
 木造船時代には木材資源豊富な米国が英国を圧倒しそうであった。ところが鉄船時代になるや、鉄と石炭が隣接して採れた英国が米国を圧倒する。だから1860年代の米国は英国に追いつくべく必死だったのだ。
▼平木貫『朝鮮社会文化史研究』S62
 1886まで世襲の奴隷身分があったこと。
▼薩摩文化月刊誌『さんざし』10月号所収・池田兵右衛門「村田銃の発明者――村田経芳将軍と合伝流の兵法」
▼栗原隆一『幕末諸隊始末』S47
▼栗原隆一『幕末海戦物語』S46
▼(財)文明協会ed.、pub.『明治戊辰』S3
▼『横浜開港資料館紀要 第14号』H8-3pub.所収・中武香奈美「幕末の横浜駐屯フランス陸軍部隊」
 横浜駐留フランス軍の正体は、アフリカの犯罪者を集めた懲治隊だった。
▼農商務省『狩猟図説』M25
 槍で熊を狩る方法とか、とにかくネタの宝庫。
▼南日本新聞社ed.『郷土人 中』S44repr.、原M27-12pub.
 これも村田経芳についての資料。
▼『国乃礎 後編 上編』
 村田経芳についての基礎資料。
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