●読書余論 2013-10-25 配信号 の 内容予告

▼防研史料『大正12年 関東地方震災関係業務詳報』
 小石川の造兵廠は大震災からどのように立ち直っていったか。製造ライン毎に被害と復旧過程がわかる。
▼防研史料『大正13年 陸軍造兵廠歴史』
 「拳銃附軍刀」なる珍兵器を試作していた。
▼防研史料『大正14年度 陸軍造兵廠歴史』
▼『偕行社記事 臨時第11号』M38-5
▼『偕行社記事 136号』M27-7
 軍刀か拳銃かの議論。どうもまだ26年式拳銃は、影も形もないらしい。この拳銃は本当に謎に満ちている。
▼防研史料『昭和20年度 生産状況 並に 金額表(火砲・光学)』
 高射砲などを月に何門製造していたの数値が製品ごとに分かる。
▼防研資料『重点兵器生産状況調査表(S20年度)』造兵課
 S20-4~8月の期間である。
 高射砲が最も必要なときに、高性能戦車砲のためにその生産資材資源が無駄遣いされていたことがよくわかる。
▼防研史料『地上兵器 生産状況調査表(S20)』
▼防研史料『S16~20 月別兵器生産状況調査票』
 100式機関短銃の生産数の正確な数字が部内には無いということがこれで分かる。燃やしちまったのか、記録そのものがなかったのか。
▼和田頴太[えいた]『真珠湾攻撃 その予言者と実行者』1986文藝春秋Pub.
 ビリー・ミッチェルが実施した実艦撃沈実験の詳細。TNT1000ポンド充填の2000ポンド爆弾は至近弾にすれば数発で戦艦を転覆させられることがわかった。信管は、水中10mで起爆するようにセット。
 それで山本五十六は双発の陸上大攻に賭けた……が……。
▼遠藤敬二『TV・FM放送アンテナ』S41 NHK刊
 テレビ送信アンテナは高ければ高いほど得だが、中波ラジオアンテナはそうではない。
▼箕作元八『西洋史講話』開成館M43-7-10pub.
 M34のパリ万博で懇談した日本の外交官や官僚や事業家や留学生たちが、西洋史の教訓に無知すぎることに唖然とした著者が、東大で教える傍ら8年がかりで書き上げた、1300ページの、旧制高校生&高等師範学校向けの圧巻通史。近代ほど詳しいので、社会主義(共産主義)や無政府主義の淵源など、当時の日本ですでに最先端の問題になりつつあったことの経緯がよくわかる。石原莞爾は発売直後のこの本のナポレオンのところだけを読んで、しきりに感心し、トンチンカンな「教訓」を汲んでいることも見当がつく。石原は「要領主義」の「ノートまとめ屋」にすぎなかったことを察するには、本書を1冊通読するだけで十分かもしれない。
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 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
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★★★謹告★★★
 『新潮45』の10月号の記事の著者プロフィールで予告してます草思社からの農業安保論の単行本は、この10月ではなく、11月の発売にずれ込みました。スイマセン。