北海道にエスケープしたミドリガメの運命について

 函館市街からクルマで数十分の距離にある、七飯町 大沼町 1024-1 の「大沼自然ふれあいセンター」さん(電話 0138-67-3477)から、貴重な情報を教えて貰った。このセンターは、JR「大沼公園駅」の近くにあって、冬でもオープンしているようだ。国定公園などの動植物関係の情報については、全国ネットをもっている財団の運営であり、いちばん頼りになるらしい。
 その御教示によれば、大沼公園では、夏に、ミシシッピアカミミガメの成体を、みかけることは、あるそうである。
 小沼(大沼と接続している沼。JR線よりも西側にあって、水深は大沼よりもさらに浅い)でも、夏に、ミシシッピ赤耳亀の成体が、ひなたぼっこしているそうである。
 しかし、幼体(ゼニガメ)を見た人は、いないようだ。漁師の人も、幼体のカメを目撃したことはないのだそうだ。
 それから、他の種類の亀、たとえば「泥亀」も、大沼周辺で野生化しているものを目撃した人は、いないそうである。
 以上の情報から、だいたい推定できたこと。
 函館市周辺の水温では、ミシシッピアカミミガメの幼体は、屋外では越冬はできずに凍死している。よって自然増殖は、しない。
 成体のミシシッピアカミミガメに限っては、冬眠によって越冬できる個体もある。しかし栄養と体力が足りなければ、長期の水底冬眠中にエネルギーが尽きて、死ぬであろう(冬眠失敗例は屋内飼育の個体でも観察される)。
 よって、多数の人々がこのカメを成体まで屋内で育てた上で意図的に大量に野外(それもおそらく川や用水路では水温が低すぎるので、一定以上の水深のある沼か湖)へ放流し続けるという事態がない限りは、このカメが北海道南部の自然界で個体数を増すようなことは、ないのではないか。
 なおこうしたエスケープ動植物に関しては、2014年2月18日発売予定の『新潮45』誌上にて、新刊の『兵頭二十八の農業安保論』の補論として、言及するつもりです。