さすがに四回も放射性塵が捕捉されないのは怪しいと世界が疑い出した。

 Vanya Eftimova Bellinger記者による2016-1-11記事「Five Things You Didn’t Know About Carl von Clausewitz」。
 クラウゼヴィッツはあまり自己の戦場体験については書き残さなかった。しかし親しい知人たちにはかなりのことを喋っていた。
 こうしたことは、ドナルド・ストーカー著『クラウゼヴィッツ――その生涯と著作』の出版のおかげで、知られるようになった。クラウゼヴィッツの個人情報がずいぶん掘り下げられつつある。
 彼の時代、個人史、執筆の習慣について新発見が続いている。どうやら、マリー未亡人や友人たちが、本人の死後、クラウゼヴィッツのキャラクターについては世間に対して隠蔽することにしたようなのである。個性的な軍人としてではなく、純粋な軍事理論家として、歴史にとどまらせたいと、遺族や関係者は、望んだのだ。
 マリー夫人の手紙多数が発掘されている。そこからわかることは、クラウゼヴィッツは「物の整理」の悪い男だった。ゴタ少年だった。大事な書簡、それどころか、参謀勤務将校として絶対にうっちゃらかせないはずの軍用地図まで、どこに置いたか忘れてしまうのであった。マリー夫人はこの亭主の性格については、ず~っと腹を立て通しだった。
 クラウゼヴィッツは、著作中に自分が思いついたことについてマリー夫人と話し合うことがあった。ところが、そうした構想や討論結果などを、きちんと紙に書いておくということはしなかった。
 また彼は自分が書いた草稿にしじゅう手を加えたが、そのやり方がゴタ。余白に書き入れたまま、清書はしない。あるいは、長い「サシカエ原稿」をつくって、やはり、それをそのまま放置。死後に原稿整理する者たちとしたら、どっちの文章を決定稿として採用したらいいのか、どこに何を挿入または差し替えまたは消去をしたらいいのか、判断できない。
 1826年よりあと、クラウゼヴィッツは、公刊されていた『ユルザン公女に宛てたメントノン夫人の書簡』の内容に依拠しながら、スペイン継承戦争についての分析を試みた。
 クラウゼヴィッツは、〈女の言葉だからといって価値が無いわけじゃない〉と弁駁している。しかし別なところでは、このルイ14世の仏宮廷中枢を知っていたメントノン夫人につき、「国家や戦争については何も分かっていない」と評してもいる。
 1815年のベルギーでの作戦の準備にかかっていたときクラウゼヴィッツは、アマチュア画家でもあったマリー夫人に、「当地の田園風景はすべて絵のようです」と手紙を書いている。
 ジョン・キーガンはかつて、クラウゼヴィッツが祖国では受け入れられず、生前に名誉も与えられなかった、と書いたものだ。これは間違いだ。
 1820年代を通じて、彼は陸大の一室にひきこもって執筆していたわけではない。彼とマリー夫人は、ベルリンの錚々たるサロン複数に頻繁に出入りしていたことがわかってきた。クラウゼヴィッツはベルリン政界の中心で意見交換の機会を常続的に持っていたのだ。
 1820年代後半に書かれたクラウゼヴィッツから親戚に宛てた手紙。とうじ、彼の「貴族身分」が国王フリードリヒ・ヴィルヘルム3世から公式に承認されたのだが、クラウゼヴィッツ本人は、正式身分が何だろうと拘泥はしていなかった。むしろ陸軍少将にして陸大校長という地位は自分には過分だと思っていた。だが、彼の姪の将来のことを考えて、貴族身分の公証を欲したのだということが、手紙から分かるのである。
 1815にグナイゼナウに宛てた手紙。クラウゼヴィッツの部隊は当初、ルマンの市民から歓迎された。しかし、百年戦争いらいひさびさの、徴発、接収、将兵による市民への侮辱が続いた結果、これら住民の心はたちまち進駐軍から離反し、いまや暴動、反乱の気色すら示している――と。
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 ストラテジーペイジの2016-1-12記事「The Quiet War In The Internet」。
   アラブ語のインターネット空間を観察していると、面白い事実が読み取れる。
 ほとんどの書き込みは、スンニ派による、シーア派の悪口なのである。
 まあ、世界のイスラムの8割はスンニで、シーアは1割だから、とうぜんなのだが。
 そして書き込みによれば、イスラミック・テロなどという報道はすべてシーア派のプロパガンダであり、事実無根の嘘デタラメであるらしい。
 もちろん、世界のイスラムテロの90%はスンニ派によって起こされているのが現実である。
 ちなみに、投稿者たちの住所のほとんどは、アラビア半島。すなわちGCC諸国からである。
 この両派の闘争をけしかけているのは、両派の聖職者たちである。かれらは、どぎつい、耳障りなメッセージを、テキストや、音声、そしてビデオ形式で信者たちに配信し、自派を擁護し、他派を攻撃している。
 テロリストは西側諸国内におけるツイッターが最高の宣伝道具だと発見した。テロ扇動の文言が発信されたとき、それにレスするのには、何のおとがめもないのである。これを使えば鉄砲玉もリクルートできるわけだ。
 ようやく米国務省は、これは問題だと認識し始めた。
 そして、アラブ語のできる人材を雇い、「釣り」のレスをさせて、テロリストの捕捉に結びつけるようにしつつある。
 すなわち、スンニ派を嘲罵するレスをわざと書き込ませ、それに釣られて書き込む奴らの発信源をぜんぶ、当局が把握するという寸法だ。
 テロ組織はフォロアーに対し、こうしたツイッター内の異教徒の挑発には応ずるなと警報しつつある。
 しかし、それは無理な注文。ツイッターの本質に反するからである。
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 Thomas Gibbons-Neff記者による2016-1-12記事「New DARPA chip could give US a leg up in electronic warfare」。
   今のデジタル通信は、妨害電波に弱い。そこでDARPAは、超広帯域のアナログ信号を、超高速プロセスでデジタル化して利用できる新チップを開発中。これができれば、ロシアお得意の戦場通信妨害を、ほぼ無効化できる。
 スペクトラム拡散による対妨害は、昔からあるアイディアだが、「アナログ→デジタル」変換の発想は、無かった。
 従来とかく、妨害に強い「冗長通信」は信号伝送量が少ないという欠点があったが、超高速プロセシングのブレークスルーにより、そのネックを乗り切る。
 ※ちょっとまてよ。このチップが完成したら、携帯電話や地上波ラジオ放送だって、まるで違う次元へ突入できるんじゃないか? ……ちなみにわたしはいまだに携帯電話を所持したことがなく、フェイスブックのようなSNSにもノータッチです。