実戦経験では誰にもひけをとらないイスラエル軍が、十五榴/155mmSPなどを廃止しつつある。

 ストラテジーペイジの2018-7-3記事。
   2011年いらい、イスラエル陸軍は、155mm榴弾砲のほとんどを、GPS誘導の長距離ロケット砲類で置換しつつある。
 その成果として、かつてはF-16や攻撃ヘリがガザ地区のテロリストアジトをピンポイント攻撃しなくてはならなかったのが、最近ではほとんど、地対地ロケット弾で精密打撃がなされている。
 ガザのゲリラの間には肩SAMが行き渡りつつあるから、これは味方パイロットにとっては朗報だ。
 イスラエルは米軍のGMLRSが高額すぎるというので、径175ミリで射程35kmの「ロマク」というGPS誘導ロケット弾を自主開発している。ちなみに本家GMLRSは径227ミリ、射程70km。
 またイスラエルの戦車大隊は、その編制の中に、GPS誘導砲弾を発射できる120mm迫撃砲を数門、混ぜるようになった。これによって実戦における砲弾の必要量が9割以上も減ってしまい、多くの砲兵部隊が用済みとなって解散されている。
 径306ミリで射程150kmのGPS誘導ロケット弾もイスラエルは開発している。「EXTRA」という地対地型が2016年に完成。いまではその艦載型もある。そして2019年には、空対地型も実用化するという。
 イスラエル軍が、15榴なんてダメだと悟ったのは、2006年だった。ヒズボラの塹壕陣地に対して155mm砲弾を12万発以上も叩き込んだのに、僅かな実害しか与えていなかったことが調査で判明したのだ。
 かたやイラクとアフガニスタンにおいて米軍のGMLRSの効果が抜群であると知られていた。
 そこでイスラエル軍はまず、径160ミリの「アキュラー」というロケット弾をGPS誘導に改造した。レンジ40kmで、ひとつの塹壕陣地をただの1発で粉砕してくれた。
 ついで2007年にはATCMSもどきである「LORA」を完成。径610ミリなど諸元ほぼ同一。
 普通の弾頭だとレンジは300kmだが、この弾頭をチョイと軽くすれば400kmまでも届くのである。※これは重大情報だ。
 2017年にイスラエルは、このLORAを、ふつうの船荷用コンテナの中から発射できるようにした。
 つまり、そのコンテナを搭載した大型トラックまたはトレーラー、またはコンテナのみを、輸送艦船の上甲板に繋止しておいたら、そのまま輸送船や無蓋フェリーやバージが、対地攻撃用のロケット砲プラットフォームとなってくれるわけ。
 ただしコンテナ1個ではシステムとして機能しない。コンテナは最低でも2個必要だ。
 1個のコンテナにはLORAが4本入る。ロケット弾に仰角と射角を付与するのは電動モーターによる。油圧は使わない。※その電源としてトラック等が必要になるわけか。
 発射時のブラストによって船舶の甲板が傷つくことはない。
 もうひとつのコンテナは射撃統制センターである。発射員がその中に入って操作する。
 ※陸自がLCUを導入するのかLSTを導入するのかハッキリしないが、HIMARSもしくはそれもどきのシステムを、車両甲板上からそのまま発射するのにより不都合が少ないものを選ぶことが大事だ。LCU2000タイプよりもLCU1600タイプの方がフレキシブルかもしれない(ex.イタリア最新のLC23型もLCU1600の縮小型だろう)。硫黄島では小型揚陸艦に107mm迫撃砲を搭載したシステムが、日本兵の夜間の移動集合を終夜不可能にして、極めて有効だった(照明弾、榴弾、黄燐弾)。この使い途があることも忘れてはならぬ。
   コンゴでポリオ(小児麻痺)がアウトブレーク。これはソマリアやナイジェリアのが移ってきた。
 今年だけでも28件の報告あり。ウガンダ国境近くの症例もあり。
 これら内戦が止まない地域へは、予防接種の医療チームも危なくて足を踏み入れることができない。というわけでポリオは根絶されることはない。
 ソマリアとナイジェリアでは、イスラムテログループが「ポリオワクチンは西側世界がモスレムの子供たちを毒害せんとする企みだ」として反対もしている。ますます近づけない。
 ボコハラムは2016からナイジェリアでのポリオワクチン接種を許さなくなった。
 2016前半にナイジェリアからはポリオが撲滅されたと発表されていたが、元に戻った。
 2006年にナイジェリアで新規ポリオ罹患者は1200人以上いた。2014年には報告例がゼロになったが、それはボコハラム支配区での感染症調査ができなかったためである。
 やっと調査できたら、たちまち新患が発見された、という次第。
 かつてはパキスタンとアフガニスタンが、ポリオで悪名高かった。タリバン蟠踞区域には医者がまったく立ち入れなかった。しかし彼らですら近年は、子供にポリオワクチンを打つことは良いことなのだと学びつつある。
 ボコハラムはまだそれを学習していない。
 ポリオと天然痘のウィルスは、ヒトの細胞の中でしか生きられない。したがって、撲滅は科学的に可能なのである。
 ソマリアとコンゴでのポリオ流行は、ナイジェリアのウィルスが伝染したものだ。
 エボラウィルス熱は2014~2015にサブサハラでアウトブレークして11000人以上が死んだ。2017-5にコンゴで再流行したものの、今は沈静化しつつあり。
 2008に中共はコンゴ政府に対し、銅とコバルトを掘らせろ。見返りに90億ドルのインフラを工事してやる――ともちかけた。
 ところがカビラ大統領が約束した電力が供給されなかった。しかたなく中共の建設会社は2012年、隣のザンビアから電力を私費で買う羽目に……。
 これではコストがたまらんというので、予定にはなかった水力発電所をまず建設することになった。それもシナ側の負担なのだが。
 さらにショック。権利を買った鉱区の銅埋蔵量は、当初信じられた1000万トンではなく680万トンに下方修正された。
 銅の国際市価も2割下がった。
 トドメ。カビラが下野。これでコンゴ政府内に中共の友人はいなくなる。
 コバルトの市場価格はまだ高い。だからカビラは2018-3月に「過剰利益課税」を採掘企業に科す新法を導入した。