困ったときの核だのみ。

 ストラテジーペイジの2018-10-18記事。
  イスラエルがイランの金庫から持ち出した大量の機密文書。
 モサドによる文書窃盗作戦は2018-1-31に実行された。その事実は5-1に公表された。内容は核兵器開発に関する最高機密であった。
 ただちに米大統領に対して直接に梗概が説明されている。
 イランのファルシ語を読める核エキスパートが、イスラエルにはたくさんいる。彼らの英訳作業(およびヘブライ語訳作業)は、まだ進んでいる。文書は半トンもの分量なのだ。
 この逐次に届けられる英文資料を見て、3月までにトランプ政権は、イランが2015合意を破っていると確信したのである。
 イスラエルが5月に公表したのは、それによってトランプが合意から脱する説明に苦しまなくて済むから。
 他の5ヵ国は、資料の全容が知らされるまでは態度保留の方針。
 イランは核物質や機材を国内に徹底分散させている。イスラエルは、部品を組み立てればセベラル個の核爆弾がすぐできあがるという段階に、すでにイランがなっていると疑う。ただ、実験はしていないというだけなのだ。
 ※原爆のために全外貨を投じているのだとしたら、革命防衛隊が2015合意直後に外国製の新品の戦闘機を輸入させなかった理由が、整合的に説明される。運搬手段としてはSSBMがあるので、戦闘機はいらない。ロシア製の対地攻撃機は、訓練飛行時間が足りないので使えないだろう。じっさいシリアではイランは有人機を1機も作戦させられぬありさま。
 モサドは2016前半に、イランが密かに原爆開発を進めている倉庫を特定した。そこで、その倉庫に忍び込んで文書を持ち出す作戦が立てられた。
 だが倉庫の中には巨大な金庫が32もあり、そのうちのどれに核文書が入っているのか、特定するのに、時間がかかった。
 この盗み出し作戦では、1人のイラン人も死傷しなかった。だからニュースを聞いてもイラン人は別に怒っていない。イラン国民のあいだには特に対イスラエル敵愾心や対米敵愾心はない。その逆にテヘラン政府と革命防衛隊は、対イスラエル戦争しか考えていない。
 5万5000ページの紙と、写真を含む5万ファイルが入った183枚のCDが、イスラエルに持ち去られた。
 モサドは2台の車両で500km走り、アゼルバイジャン国境を越えた。
 イランは、サダムのイラクが原爆開発を進めているので、それに対抗して原爆研究を始めた。ところがサダム体制が崩壊してわかったことは、サダムは去勢を張って嘘をついていただけで、核爆弾など開発してはいなかった。こうなるとイランの開発の正当化が国際的に難しくなったとテヘランは判断した。
 次。
 Scott Stewart 記者による2018-10-18記事「A Sting Operation Lifts the Lid on Chinese Espionage」。
    オハイオ州のGE社の新エンジンの複合材部品の技術を盗み出させようとしたシナ人公安幹部Xu。
 設計に通じているGE社員に眼をつけて誘い出した。
 まず南京航空宇宙大学の副学長と結託して、GE社員を南京に旅行させた。旅費等の経費はもちろんすべてシナ側で精算してやった。
 この社員は大学で講演した。2017-6-2のこと。
 謝礼金は別途、3500ドルであった。
 ここで副学長は、GE社員を工作幹部Xuに引き合わせた。もちろんXuは架空のアイデンティティを偽装する。江蘇州の某技術研究所の者であると名乗った。
 Xuは、講演料を出したのはじつはウチの研究所なのだよとGE社員を食事接待しながら告げた。
 Xuは、このGE社員を手下として取り込む。
 帰国したGE社員にメールで、技術情報を漏らしてくれれば、次の講演旅行を用意しようとオファー。
 Xuは、GE社が設計部の社員たちに支給しているラップトップのHDの中味に何が書いてあるのかに、強い関心があったようだ。
 GE社員はしかし、とっくにこうした誘いかけについて会社に詳細を報告していた。
 GE社は、社員たちが中共側からこのような誘いかけをうけたときにどうすべきか、しっかりと教育をしていたのだ。もちろんすぐにFBIへも知らされた。
 GE社員は会社によって巧みにクリーニングされたハードディスクの中味をXuにコピーして与えた。囮捜査の開始である。
 このラップトップは中共へ持ち出すことは許されていなかったが、西欧へなら持ち出せた。そこで、ベルギーで会おうということになり、ベルギー当局がXuを逮捕し、国外追放し、米国がその身柄を確保した。
 次。
 Victor Abramowicz 記者による2018-10-18記事「Beware of Fighter Pilots Bearing Gifts」。
       9月後半、退役したロシア戦闘機パイロットを装うインスタグラム投稿者が、シリアでスホイ35によって退けられたF-22の赤外線写真なるものをアップロードして、ロシア機の優越を宣伝した。
 怪しい点。スホイ35に搭載されている Infrared Search and Track (IRST) 装置、固有名「OLS-35」は、在空の敵機(赤外線源)の位置を点で示してくれるもので、写真のようなイメージを示してくれるものではない。
 百歩ゆずり、IR写真が撮れるものだとしようか。
 この投稿写真、F-22の機体背景に道路が写っているので、俯瞰撮影とおぼしい。そしてなぜか、片側の主翼下のエンジン吸気口部分が見えていて、もう片方のエアインテイクは、掻き消えている。
 合成だと疑える。
 さらに怪しい点。
 ロシア機と擬似空戦に近い空中接近があったのなら、米軍はロシア側の「アンプロフェッショナル」な行為だとして公式に非難するのが常なのに、この「一件」に関しては米側からそのような声明がなされた記録はない。
 もっと怪しいこと。ロシア軍人が、最先端センサーで得られた画像を世間に初めて公開しようというのであれば、上級組織から正式の許可を得てこれを掲載するのだ、という説明表示が付いているのが至当であるのに、それも皆無。
 センサー画像を公表すれば、敵陣営はその性能を察知してしまい、対策も立てやすくなる。それはただちに味方パイロットを危険にさらす結果につながるかもしれない。
 だからセンサー技術で米側に対して圧倒的な優越を誇っているわけでもない露軍は、そんな資料をみだりに部外に公示することを許さない。
 もし君が戦闘機パイロットなら、フェイクであっても、こんな画像付きのニュースには喰いつくのは当然だ。もっと見たいであろう。が、得体の知れないファイルを開くときには気をつけてくれ。それはトロイの馬になっている可能性がある。
 ※イランが2013年に公表した国産なんちゃってステルス機もいっこうに現物が登場せず、イラン国民すら、あれはフェイクだと理解するようになっているそうだ。
 次。
 Charlotte Jee 記者による2018-10-18記事「There has been a dramatic slowdown in getting the rest of the world online」。
   インターネットアクセスの増加趨勢が減速した。
 いま世界で、インターネットに接続していない人口は、38億人である。
 かつて国連は、2017年までに世界人口の半数がインターネットにアクセスすると予言したが、その実現は2019-5までずれこむだろう。
 次。
 Sandra Erwin 記者による2018-10-17記事「The next battleground: What do we really know about what adversaries do in space?」。
        敵国のたくさんの衛星が軌道上でいったい何をしているのか、平時から詳細に把握しておく必要が生じているのだ。これが宇宙軍創設の背景。
 あくまでセンサーや情報の戦いであって、レーザー砲の戦いではない。
 敵国は、敵国の衛星からどんな軍事情報を得つつあるのか。それをこっちで正確に知っておきたい。写真偵察衛星だけではない。さまざまな電波傍受衛星がある。
 ※そのために、敵衛星と地上受信局(または中継通信衛星)の間に傍受スパイ衛星を割り込ませて、敵衛星から地上へリポートされている信号内容を宇宙において盗聴する必要があるのか。しかしマイクロサットのスウォームになったらどうする?