太平洋は明朗化する。米国のINF脱退で。

 中共が、多国間条約としての「New-INF」条約に加盟することは、査察問題だけを考えても、ありえない(ICBMですら、それを認めたことはない)。したがってこれから世界はINFフリーの状態がずっと続く。大朗報だ。
 たとえば米軍が南九州の陸上基地から南支沿岸全域を巡航ミサイルで狙うこともできる。おなじことは、ブルネイやベトナムやフィリピンについてもいえる。ベトナムは米国から通常弾頭の「対艦弾道ミサイル」を買って海南島を照準することができる。フィリピンは楽々とパラワン島を防衛できるようになる。
 ついに、A2/AD構想は破綻し、終わった。いままでが、おかしすぎたのだ。
 この脱退通告には国務省も反対しない。中間選挙の追い風になるだろう。
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  Sam Blum 記者による2018-10-16記事「Researcher Discovers Way to Trace 3D-Printed Guns?With a Few Caveats」。
       3Dプリンターで作られた拳銃にはシリアルナンバーが無いので、犯罪捜査が不自由すると懸念される。
 そこでバッファロー大学のシナ人教授がいいこと考えた。
 この発明を「プリントラッカー」と称す。
 3Dプリンターにも微細な個癖がある。フィラメントやノズルごとに特徴的な年輪、積層パターン、皺を作り出すのだ。それをインフィル・パターンといい、1mm未満の世界の話ではあるが、検出は可能。
 かくして、プリンティングのプロセスそのものが製作者特定の識別手掛かりとなるのだ。
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  Mark Harris 記者による2018-10-19記事「Video doorbell firm Ring says its devices slash crime――but the evidence looks flimsy」。
     テレビドアホンのことを米語では、ビデオドアベルという。
 この分野に、リングという名のメーカーがある。アマゾンが今年10億ドルで買収した。
 リング社は、世界中の侵入盗を新システムによって撲滅すると吹聴している。
 リング社は2013年に、モーション・センサーとドアベルを連動させるシステムを市販し始め、それはヒットした。
 アプリをダウンロードすれば、スマホによって遠隔地から、自宅に訪問した人物の動画にアクセスできる。
 現在製品は1個が180ドルで売られている。
 しかしリング社は、もしコミュニティーが積極導入する気なら、そこから100ドルを値引きしてもいいよ、と提案している。
 すでに全米の12以上の市町村がこの提案にとびついた。
 すなわち、個人に買わせるのではなくて、コミュニティーがまとめ買いして、希望世帯に配布するのである。だから総額は巨大である。新種の商売だ。
 ところが、この宣伝方法に疑問がある。
 全戸の10%がリング社の装置をとりつければ、地域の侵入盗は半減するとかいう統計値は、大袈裟宣伝だ。
 ※玄関前を横切っただけの通行人も例外なくしっかりと録画されるから、泥棒がその地域を横行し辛くなる。したがって犯罪抑止効果があるのは確実であろう。定性的にではなく、定量的に説得しようとするから、擬似科学に堕してしまうのだ。このシステムには追加機能が必要である。市警察が必要と判断したときには、無線で、当該時刻の現場近辺のビデオ録画データを一斉収集できるようにする機能だ。もちろん世帯ごとに供出の諾否を可能にするきめこまかなオプションが用意されねばならない。たとえば、いつでもなんでもデータは取っていいよ、という事前全諾から、撮影画像はすべてクラウド保存させるけれども、裁判所命令がない限りはその提出は断る、などまでの。これによって地域の「迷宮入り強盗殺人」はゼロになるはずである。それが地域を以前よりも安全にさせないことがあろうか? 人間心理との戦いである犯罪抑止を定量的に論述しようとするのが最初から間違った態度なのだ。
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 Joe Pappalardo 記者による2018-10-19記事「The U.S. Doesn’t Want a No-Fly Zone Over the Korean DMZ. Here’s Why.」。
       11-1からのノーフライゾーンを韓国が勝手に決めたことについて在韓米軍の司令官たちは怒っている。
  ノーフライゾーン設定によって、敵のSAM陣地の位置を恒常的に電子偵察することができなくなる。
 ※最強のJ-SATRSでさえ、側方150kmのSAR撮像ができるだけだとすれば、マイナス40kmはデカい。
 北鮮がノーフライゾーンの約束を破ったときはどうする? 相手は核武装したままなのに、どうして強制が可能になるのか。