INF条約が廃止される。ロシアもこれからは中距離弾道弾をどこにでも配備し放題である。シベリアと満州の国境を挟んで、極東のINF軍拡が始まるわけだ。
これまでは、中共だけが絶東に中距離核を並べることができ、ロシアはそれに同質手段で対抗できなかった。やむをえず、S-300などの長射程地対空ミサイルに核弾頭を装着して、それを「臨時代用SSBM」とし、当面の戦術核対抗をするつもりであった(そういう演習を堂々と続けていた)。
しかしこれからは、カリニングラードに持ち込んだような車両発射式の最新鋭の各種地対地BMをシベリア鉄道沿線に展開すればよくなる。その射程はもちろん500kmなどとっくに超えてしまっていたことも、匿されなくなるであろう。
ロシアは将来は中共との間で二国間の代替INF条約を模索したいところだろう。しかし交渉の前にINFパリティを達成して立場を強くしておこうとするのがロシア流だ。
中共は、南シナ海方面からは米軍のINFにより、北方からはロシアのINFにより、圧迫され挟撃される立場に陥る。一挙にすべてが暗転するだろう。
だから、習近平が反日映画を上映禁止して安倍氏にすがりつきたくなっているのは、流れとして自然だ。
支那事変中の重慶市にはじつはかなり立派な大地下壕ができていた。全市民が退避できるぐらいの規模だった。映画がそこを再現していないとしたら、これからの時局とそぐわないから、習近平もダメ出しするだろう。
これからの中共は、国家政策として、都市の地下部分を大拡充するしかない。彼らにはABMは無いし、それを展開しても効率の悪い防禦にしかならぬことも計算できている。
核に対する合理的な防禦は、都市のリニア化と、病院や消防署や官公署枢要機能の徹底分散および地下化しかないのだ。
中共には、「地下街」「地下道」「山岳トンネル」ブームが起きるかもしれない。
マンションのブームは終わっている。
それに代わって、こんどは、地下公共退避空間を、全土に建設するのだ。これは有意義な景気刺激策となり、中共経済の破綻を数年間、先送りしてくれるだろう。鉄やコンクリートや建設資材の在庫が、だいぶ捌けるだろう。
とりあえず中共の読書人は、拙著『東京と神戸に核ミサイルが落ちたとき、所沢と大阪はどうなる』を再読研究するのが吉だろう。