不本意・生活不利な場所に大集団で取り残されると、進化が強制される。

 魚類は進化しようとして陸に上がったのではない。
 まず広大な干潟に取り残される事態に陥った。大集団が。
 そこは雨水が流入し、汽水になるので、否応無く淡水に適応するしかなくなった。結果、海にはもう戻れなくなった。
 さらに酸素濃度が減ったため、これも否応無く肺が発達した。
 では海棲の巨大哺乳類はどうして進化したか。逆の環境適応なのだろう。集団で、不利な場所に取り残されてしまった。
 いったん陸棲動物に進化した集団が、「半洪水」環境で暮らすことを強いられ、否応無く、変化するしかなかったのだろう。
 次。
 Antonio Regalado 記者による2019-1-3記事「Gene engineers make super-size plants that are 40% larger」。
     イリノイ州立大学の遺伝子加工チームが、植物タバコの株を4割も巨大化させることに成功。
 光合成をもっと活性化させるようにしたのである。
 植物は、光合成の過程で、グリコール酸塩(植物に有害)を排出しなければならない。そのために必要なエネルギーが、より少なくてもすむように遺伝子を変えた。あるバクテリアを参考にして。
 チームはこれから、馬鈴薯、大豆、ササゲ(牛の飼料になる)でも試す。が、実用化されるまでには20年かかるだろうという。
 ※去年、人から貰って読み始め、いまだに読み終わらないのが、Lizzie Collingham氏著『The Taste Of War』(原2011、ペンギンペーパーバック2012)。じつは戦略問題の半分以上は食料問題だったんだと再認識ができる。WWIとWWIIの東西両戦域と英国のアフリカ殖民地やインド、南北アメリカについてまで調べ上げてあり、とにかく御労作で、内容が濃いために飛ばし読みもできない。ナチスがある時点からユダヤ人を労働力として活用せずにとにかくすばやく殺す方針へ舵を切ったのは、食糧の逼迫のためであると考えられることをはじめ、コルホーズの最大の貢献とは、赤軍に畑の生産物の最後の一粒まで供出させられるシステムとなっていたことで、その代わりに農民はほぼ餓死した(ただし1920年代を乗り切っている体験者たちは、したたかだった)ことなども知られる。日本軍の事情も比較的に公平に調べてあり、どうして邦訳されていないのかと思ったが、ソ連軍とロシア銃後のあまりに悲惨な内情が克明に紹介されているので、日本の左傾出版社は二の足を踏んだのだなと推察できた。次の米中戦争は「ブロケイド戦争」になるだろう。その結果、Collingham氏の本に書いてある最も悲惨な飢餓地獄が、シナ大陸内に現出するだろう。その意味で本書はブロケイド戦争に関心のある者には必読と思う。