木更津駐屯地の皆さん、どうもありがとうございました。

 ちょうどヘリコプターと固定翼機の比較検討をしているときだったので大いに助かりました。
 「全縦深《迅速》展開力」がない兵科(たとえば機甲や自走砲特科)は、慢性人手不足であるわが陸自が、迫る《3国同時事態》――韓国が尖兵となってミサイル奇襲で対日開戦し、中共が西方での牽制役を引き受けて後から火事泥参戦を窺い、北鮮は韓国に対する補給役と「口だけ掩護射撃」に徹する――に対処することを難しくするだろう、と、わたしは考えています。
 この話は四月の単行本で詳細に論じますのでご期待ください。
 CH-47の「空中受油プローブ」のある機体とない機体では、おそらく価格は「十数億円」違ってしまうであろうこと、後付け工事をするとすれば、もっと高くなるだろう――といったお話は、チヌーク教育隊の所在するこの基地ならでは、聞き出せない《相場値》だろうと思っています。まさに「百ネットリサーチは一インタビューにしかず」。
 LR-2=連絡偵察機(ビーチクラフト双発、並列操縦席)は航続距離3000kmで、木更津から沖縄まで3時間で到達できます(同じ時間で回転翼機のEC-225は松山まで到達できるがそこでガス欠となる)。そのLR-2の導入時の単価が16億円だったんですよ。ヘリコプターへのプローブ取り付け費用と同じぐらいなわけ。考えさせられますよね。(ちなみに離島の800m滑走路を利用するとすれば燃料の重さを限りなくゼロに近づけておく必要があり、やはり平時には1000mのR/Wが必要だそうです。)
 連絡偵察飛行隊にはナンバーがありません。つまり陸自でただ1隊だけ。このパイロットは皆、回転翼機パイロットが、教育の途中から固定翼へ(本人希望により)コンバートした人たちです。コンバートには何の支障もないのだそうです。
 たとえばOH-6は2020-3末で全機引退します。他にも帳簿上だけ維持されているAHのパイロットが多いはずだ。みんなすぐに固定翼単発複座のライトアタック(LA=軽攻撃機)にコンバートできるんですよ。木更津が狭ければ、海自の小月基地かどこかにEMB-314を2~4機置くだけでね。
 LR-2もそうだが、複座機の強みは、練習機ではない機体で常続的に新人の錬成ができることでしょう。
 まあこの話も次の本でたっぷりとさせてもらうから、どうぞお楽しみに。
 非常に面白かったのが、CH-47JAは洋上で着水した状態で「航走」したり(後脚がステアリングできるのでそれを舵に使うらしい)、さらにまたそこから飛び上がることまでできるが、VIP輸送機であるEC-225にはとてもそんなマネは無理だという話。これは馬力の関係じゃなくて、ローター軸がシングルのヘリコプターは、波の上でピッチングが起きたときに、それをパイロットの腕では制御しようがない。離水前にローターが前方水面を叩いてしまう危険が大きすぎるのです。
 CH-47JAは補助椅子も使えば55人の非武装人員をお客に載せられる……というのはカタログデータ。有事には、なんと「立ち乗り」で100人の邦人を詰め込んで韓国から飛び戻ることだって不可能じゃないらしい。聞けば聞くほど、こんなに頼りにできる回転翼機はないですよ。
 整備兵の腕前も高度に維持されており、米軍からときどき「潤滑油を入れてないのではないか?」と質問されるそうです。あちらでは、各所から液漏れしているのがスタンダードな姿らしいので……。
 後日、写真のご紹介も、このブログでしようと思います。今ちょっと忙しいので、お気長にお待ちくださいますよう……。
 次。
 KIM GAMEL 記者による2019-3-7記事「US soldiers wish for masks as air pollution smothers South Korea」。
    米陸軍のドレスコードではPM2.5が酷いからといってマスクなんかかけることは許されない。しかしさすがに烏山[オサン]の米空軍は、それを条件付で許すようになった。
 ※韓国軍だけの指揮所演習を今後はさせないように米軍がとりはからいつつあり。韓国軍だけの指揮所演習とは要するに対日開戦予行なので、勝手にさせておくわけにはいかんぞという判断なのだろう。
 次。
 ストラテジーペイジの2019-3-7記事。
  ロシア議会が新年早々にインターネット規制法案。
 露軍の軍事作戦を動画や静止画に撮影してSNSに投稿することを禁じたい。
 2018年なかばにロシア軍は、シリアにある露軍基地(フメイミム空軍基地とタルトゥス海軍基地)に対し、2Gと3Gの携帯電話の電波を妨害すべし、と命令した。これは画像投稿を予防するため。
 2018-2には、すべての在シリアの露兵は、カメラとGPS機能の無いガラケーしか使ってはいけないと命令された。2017末からISがドローンを使ったカミカゼ攻撃をしかけてきたのを承けた措置。
 ロシア軍が占領しているウクライナのドンバス地区では、ツイッターに露軍の装備等の写真を投稿した住民は最長10年間刑務所にぶちこむと布達された。2017後半に。
 次。
Niall Firth 記者による2019-2-27記事「The race to make a lab-grown steak」。
   生きている動物の筋肉から細胞を少しスクラッチし、あとはそれを人工培養して食肉にまで育てるという研究。これてもう、動物を殺す必要がない。
 過去5年、世界中のスタートアップが、この研究競争に勝たねばと、力闘中である。
 豆の植物細胞を培養して肉に代わりの食材に仕立てるという研究も。
 和牛肉の人工培養をしようじゃないかというJVもある。
  ※この流れは止まらぬ。次は人工牛乳(したがってバターとチーズまで)だ。畜産・酪農家のみなさんは、よくよく先を考えて行かないと、……。