ふたたび恐怖の大王?

 Gopal Ratnam 記者による2019-4-2記事「GPS has its own 19-year cicada problem」。
      西暦1999年の大晦日の深夜に年号末尾が00に切り替わったとき、古いコンピュータが誤動作を起こすのではないかと心配された。「Y2K」問題だ。
 じつはGPS業界では似たようなことがこの4月6日に懸念されている。
 2の十乗は1024である。1024週間は19年である。
 GPS衛星に搭載されたコンピュータは「10ビット」システムである。
 そして、1980年1月6日からずっと、「週の累積番号」を数え続けている。
 こんどの土曜日で「週の累積番号」が1024を超えてしまって、カウントがまた0に戻るのだが、24機まわっているなかの古い型の衛星は、それにうまく対応できないかもしれない。
 前回のリセットは1999-8-21になされている。1980年から19年目であった。
 UTC=ユニバーサルタイム、コーディネイテド(アナログ時代のグリニッヂ標準時に代わるもの) の時計規正を我々はGPSからの信号に頼っているのだが、これがわずかでもズレると至大の悪影響があちこちで生ずるはずである。
 たとえば欧州では証券取引所が用いる時計はUTCから100マイクロセカンド以内の誤差しか許さないとしているのだが……。
 デジタル信号の送受は、送信側と受信側の時計が一致していないと成功しない。その時計を支配できる者が現れたら、じぶんだけ特権的に解読され得ないデジタル通信というものが可能になってしまう。
 民間団体のC4ADS(センターフォーアドバンストディフェンス)は先週、欧州で起きた9883件のGPSスプーフィングについて公表した。2016-2いらい、民間のナビゲーションがいかにその迷惑を蒙っているか。
 特にプーチンの立ち回る先ではGPS電波は必ず狂わされる。暗殺を恐れているのだ。
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 Michael O’Hanlon 記者による2019-4-2記事「Donald Trump’s ‘cost plus 50 percent’ overseas base plan doesn’t make dollars or sense」。
      もし駐留米軍の費用の1.5倍を払えなどという要求をすれば、米軍はあたかも傭兵のように見えるだろう。
 英独伊日韓の5ヵ国に米軍が駐留しているその費用は、実は、安く上がっている。
 軍の費用は三つに大別できる。
 装備費(研究開発、試験、調達)。
 人件費。
 運用費(作戦費)。
 メンテナンスや基地施設のコストは運用費に含まれる。
 米軍を米本土に置くか海外に置くかで金額が違ってくるのは、運用費だ。
 RANDの試算によると、五ヵ国に駐留している米兵1人にかかっている年間コストは、米本土駐留の場合と比べて、+4万ドル。
 五ヶ国駐留米兵が総勢20万人強だとすれば、年に50億ドル~60億ドルとなろうか。
 かたやホスト国政府による思い遣り予算は総額40億ドル。
 思い遣り予算によってカバーされていない金額が20億ドルだとしても、それは米国の国防費の0.25%だ。
 また韓国の米軍基地再配置や日本の沖縄基地移転では、ホスト国が全額を負担している。
 もし日本国内の航空基地を米軍が使用できないのだとしたら、米軍は西太平洋に3個空母艦隊を維持しなければならなくなる。
 その艦隊の根拠地に対する米本土からの物資補給・人的輸送のコストは現在の十数倍となるだろう。
 また正規空母の数そのものも、いまの11隻プラス、最低でも6隻必要になるだろう。
 その空母1隻と艦上機の調達だけで300億ドル。その空母1隻の運用コストは年に25億ドル。
 空母機動艦隊の年間維持費は35億ドル。
 それが6個なら200億ドル。
 日本本土に得られている米軍の航空基地と海軍基地の穴を埋めるだけでも、これだけのカネが必要になるのだ。
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 Todd South 記者による記事「Ammo for the Marine Corps .50 caliber is getting a whole lot lighter」。
      金属薬莢をポリマー薬莢に変えて弾薬を軽量化する試み、まず海兵隊のキャリバー.50から始める。
 100発+リンクの弾薬帯を封入した箱缶の全重で比較すると、今より10ポンド〔4536グラム〕から20ポンドは軽くなるだろう。さすがに「三分の二」までは軽くならないが、すくなくも15%は重さが減る。
 ※これはすぐにはうまく行くまい。しかし長期的にはこの方向が正しいと予感させる。「自然分解素材ケース+鉛不使用弾丸+非鉛系プライマー」を当面目指すべきだ。
 これから三年間、試製弾薬を供給するメーカーは、セントルイス市郊外にあるMAC社である。
 通常弾と、AP弾の2種類を製造する。
 メーカー公募は2018-4になされ、2019-4-1に正式契約となった。
 海兵隊は「M27自動小銃」の弾倉にポリマーを用いることをすでに公認している。
 米陸軍の方は、M4の後継自動小銃に、ポリマー薬莢内部に弾丸が埋まりこんだ形の「テレスコープ状実包」を採用したがっている。開発中。