新刊は10月31日。

 さんざんに検証されているようにも思えた数々のテーマが、案外にそうでもないと知る。長生きするとこんな発見をさせてもらえるようになる。
 若いうちは、「先人は何が分かっていないのか」が、分からない。だからたまたま読んだ資料の中の鉱脈にも気づかない。
 先人が分かっていないこととは何かを把握するためには、先人が書いてくれたものを、最近刊まで含めてひととおり読まねばならない。それは参照文献として挙げられることはなくても、じつは不可欠の学習資料である。
 旧石器時代までさかのぼり、時代ごとの「進化圧・淘汰圧」の増減から、わが国独特の武器体系の秘密に迫る。且つまた、活字で公刊されていたのになぜか歴史学者たちが重視しないテキストから、合戦のリアリズムに迫る。お楽しみに!
 次。
 JON GAMBRELL 記者による2019-9-14記事「Yemen rebels claim drone attacks on major Saudi oil sites」。
    フーシがドローンで9-14に攻撃したサウジの石油精製施設。
 場所は、ブキャクとクーライスの油田地帯。アブカイク精油工場という。
 ドローンは複数機。
 フーシの放送局である「アル・マシラー」によると、10機で攻撃をしかけた。
 アラムコによると、ブキャクは、原油精製プラントとしては世界最大であると。
 1日に原油700万バレルを石油製品に変えられる。そこからパイプラインで、ペルシャ湾と紅海にある積み出し港へ送出している。
 この工場、2006-2にアルカイダが自爆テロのターゲットにしたことがあるが、破壊には失敗している。
 クーライス油田は日産100万バレル。埋蔵量はアラムコによれば200億バレル。
 事件は週末の国際油価には無影響だった。ベンチマークであるブレント原油はバレルあたり60ドルで取引されている。
 ブキャクは、首都リヤドから330km強、北東にある。
 サウジやUAEなどのGCC有志連合軍は2015-3からイエメンのシーア派ゲリラ「フーシ」と交戦状態にある。フーシのバックはイランである。
 2015いらい、イエメン国民は9万人死んでいる。餓死と空爆を合わせて。
 フーシは最初は市販のホビー用ドローンを使っていたが、やがてイランが自爆ドローンを提供するようになった。その性能も運用能力も逐次に向上しつつある。もちろんイランは関与を否定する。
 たとえばサウジの飛行場にスカッドSSMを撃ち込む直前に、サウジ領内のペトリオット基地に対してドローン攻撃を仕掛けて、ペトリが短距離弾道ミサイルを迎撃できぬようにしてやるという高度な調整攻撃も、フーシはできるようになっている。
 2019-5には、サウジにとってとても重要な、東西を横断する大パイプラインに対して、フーシがドローン特攻を試みた。これは米国の反イラン感情を刺激した。
 2019-8には、サウジのシャイバー油田に、フーシがドローン攻撃。同油田の日々産出量は100万バレルで、UAE国境に近い。
 国連の調査チームによると、フーシがここ数ヶ月、空港攻撃などに使っている自爆式の新型無人機は、飛翔距離が1500kmもあるようだという。
 ※片道1500kmのプリプログラム飛行による特攻ができるということは、韓国の海岸から発進させると、最北は稚内、最南は宮古島にある空自レーダーサイトを全部一斉に爆破して目潰しできるということだね。空自レーダーは超小型の低速機には対応してないので、お手上げだ。2020東京五輪の前に半島から関東地方各地に対するドローン攻撃が相次げば、東京大会は流会だろう。
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 Richard Schulman 記者による2019-9-8記事「Missile defense for allies but not US」。
      米軍がTHAADとペトリオットを配備しているおかげを蒙っている諸国は次の如し。トルコ、UAE、サウジアラビア、日本、韓国、グァム、イスラエル、ルーマニア。 ※ちょっと待った、グァムは米領だろ?