今日は洗濯物が乾くだろう。

 Andrew Zaleski 記者による2019-10-14記事「Meet the wounded veteran who got a penis transplant」。
    米海軍からアフガニスタンの陸戦に手伝いに派遣されていた兵士レイ(仮名)は2010年、パトロール中に待ち伏せ攻撃され、交戦中に地雷を踏んでしまい、両下肢と男性器(陰嚢もろとも)を喪った。
 しかし2013年、男性器の移植手術ができる形成外科医(整形外科医)リチャード・レデットを知った。
 そして2018-3、レイに移植ができるドナーがみつかったとの一報を受けた。

 レイは義肢については堂々とみせびらかして外出できる。しかし股間の欠損については元戦友にすら話してはいない。両親だけが知っていた。

 しばしば、レイのようなケースでは、次のような「陰茎形成術」が施される。
 前腕または大腿部から、チューブ状にまるめた組織、血管、神経を取って、鼠蹊部へ移植するのだ。これは代用ペニスであり、勃起させるためには、外部ポンプの駆動が必要である。
 
 レデット医師は、ボルチモア市のジョンズ・ホプキンス病院で外性器再建術を担当している。初め、レイ氏に対しても、この形成術をオファーした。

 だが間もなく、レディットは考えた。世界でも前例が稀な、本物の人間のペニス全体を移植してやるという手術に、レイが適しているのかもしれないと。

 男性器移植手術は形成医学の最前線である。難手術になり、費用も高額だ。

 比較するなら、肝臓移植などはむしろシンプルである。
 死者から生きている患者へ男性器を移植する場合、主な血管4本もドナーからとってこなくてはならない。そして、太さ数ミリの血管と神経を縫合しなければならない。米粒の上に経文を書くような手技が延々と必要なのだ。

 レイが2013にジョンスホプキンスを訪れたときには、世界に前例はなかった。しかしその後、4例の手術がなされている。

 2014に世界で最初にこの移植を成功させたのは南アフリカの泌尿器科医。ドナーのペニスを、21歳の患者に接木した。この患者は結節腫=ガングリオンが悪化していた。

 次に2016に、マサチューセッツ総合病院のチームが、ドナーのペニスを64歳の患者に移植成功。この患者は癌のために性器を切除していた。

 3例目は、最初に成功させたケープタウンの医師による、41歳の患者への移植。
 よってレイが成功すれば4例目となる。

 手術は14時間に及んだ。

 もげた腕を氷で冷やして新鮮に保つ方法についてはノウハウが蓄積されているが、ペニスに関してはほとんど手探りだ。

 ドナーの遺言でもないかぎり、ドナーのペニスを再利用することについては、死者の両親に拒否権もある。

 負傷から2年後、レイは義肢で歩く訓練をしていたが、ウォルターリード軍病院の泌尿器科医が、ジョンスホプキンスの再建術部門について、レイに紹介した。

 当時、ジョンスホプキンズは、血管新生複合他家移植=VCAの先導者であった。

 顔や腕や男性器の移植では、〔肝臓移植とは違い〕この技術が必要である。

 2012-12にはジョンスホプキンスの医師たちは、IEDで四肢をうしなった兵士に対する両腕同時移植を成功させている。

 南アの医師は陰嚢までは移植していない。複雑さにおいて、レイのケースが記録をつくった。

 統計によると2001年から2013年までのイラクおよびアフガンで、1367名の米兵が、性器に重傷を負わされている。

 かつてならば地雷を踏んだ兵士はたいがい死んだものだが、ボディアーマーと最新の野戦医療システムのおかげで、下半身を吹き飛ばされても生き残る兵士が増えているのだ。これは、隠れた真実である。

 2008のDoD報告。イラクとアフガニスタンで502名の歩兵が性器をうしなっており、移植手術や再建術が必要だ。

 下半身をやられた兵隊が意識のない状態でウォルターリードまで搬送されてきて、病床で朝、目を覚ます。最初に医師に尋ねることは、脚のことじゃない。ペニスのことなのだ。それは無事かと。

 専門家の中には、どうして移植だの再建だのが必要なのかと問う者もいる。腎臓や心臓と違って、陰茎がなくても人は死にはしないからだ。

 中共ではこんな噂話がある。2006年に44歳の患者がペニスを移植された。ところがそいつの女房が、誰のものかわからない男性器は困ると騒いだので、患者は医師に、元にもどしてくれと頼んだ、と。

 ペニス移植術では、ドナーは、若く健康な男子でなくてはならない。皮膚の色もマッチしていなくてはならない。サイズはアベレージでないと困る。
 そして最も大事なこと。脳死後2時間以内のペニスでなくてはいけない。それをジョンスホプキンスまで急送してもらうのだ。

 ※だめだこういうネタを読んでいると、すぐに頭の中でストーリーが走り始めてしまう! というわけでもう後半を訳すのはやめ、執筆に入る。

 次。
  Tim Fernholz 記者による2019-10-14記事「The US is rethinking the 50-plus nuclear weapons it keeps in Turkey」。
     米軍はいまもトルコのインシルリクに50発ほどのB-61投下水爆を置いているらしい。
 これを引き揚げるという話が再浮上。