よほどの特異数字でない限り、結婚記念日を覚えている亭主なんていないよね。そして、よほどの変人でない限り、それを忘れている女房もいないんだ。この世界はおそろしい。

  SETH ROBSON 記者による2019-11-15記事「Marine pilot survived in sea for nearly 10 hours after deadly midair collision, smartwatch shows」。
    2018-12-26の深夜1時44分、日本近海で海兵隊所属のF/A-18とKC-130Jタンカーが空中衝突し、双方墜落。
 このときホーネットからベイルアウトした28歳の大尉が、「ガーミン・フェニックス3」というスマートウォッチを手首につけていた。それが遺体とともに回収されており、データが分析された結果、この大尉は摂氏20℃の海面で約10時間、生存していたことが分かった。その発表が2019-9-26になされた。

 なおタンカー乗員の5人も全員死亡している。F-18の後席の男は、ゴム筏で浮いているところを救助されて、生還。

 スマートウォッチは心拍データを記録している。パイロットは毎分86拍を刻んでいた。1時45分から洋上漂流を開始し、11時30分にその鼓動が止まった。したがって9時間と45分、水の上で生きていたと分かる。

 このパイロットの漂流遺体が海自の『せとゆき』によって揚収されたのは、12時22分であった。

 大尉の遺体には切り傷や打ち傷があり、頭部も負傷していて、死因はあきらかに溺死であった。

 大尉も、後席員も、耐寒スーツは着用していなかった。

 耐寒スーツは、パイロットたちからは好まれていない。着用すると痛いのだそうだ。だから危険な夜間訓練のときも、普段着でやっている。

 後席員は、エジェクトから4時間後の5時43分に海自のSH-60によって揚収され、「コマツシマ」へ搬送された。

 生存者によると、大尉はさいしょはゴム筏に乗っていたのだが、寒さに凍え、じぶんから海に飛び込んでしまったという。
 生存者いわく、寒い海上では50分以内に救助に来て欲しいと。

 なお岩国の海兵隊航空隊は、捜索救助能力は有していない。それはすべて海自に任せている。
 その決定は西暦2000年に第一海兵航空大隊長によってなされ、海兵隊の自前の救助ユニットは、他所へ転出した。

 海自は、事故の知らせがあれば15分で捜索隊を出せる。ただし、それはスタンバイをしていた場合で、予告なしで要請されたときには、出動までに2時間かかるという。

 事故原因のひとつに、海兵航空隊内での「処方薬」の誤用/濫用もあったようだ。クスリの管理が杜撰であったとされた。

 ※記事にはハッキリ書いてないが、どうやらアメリカさんは海自の出動がノロマすぎると考えているようである。

 在日海兵航空隊は、自前の捜索レスキュー隊を岩国基地内に新編するであろう。

 また、海兵隊航空隊と海自との間に、捜索&救助に関する覚え書きをとりかわすつもりであり、今、その文書作業にかかっている。

 4月には、海兵隊航空隊、空軍、海軍、自衛隊の4者による、捜索救難の机上演習も実施された。

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 CDRSalamander 記者による2019-11-13記事「Let Kennedy be the Last President」。
    米海軍が初めて元大統領の名前を空母につけたのは1945末の『CV42』で、FDRの名であった。

 それから半世紀して『CV67』には、JFKの名が付く。
 さらに『CV79』にはまた『USSケネディ』と付ける。

 カーターの名前はSSNについた。LBJの名はズムウォルト級駆逐艦についている。

 およそ政治家は党派的なものだし、歴史は後から見直されもする。将来、敵国と戦争しようとする海軍将兵をその時点ではちっとも元気付けなくなるような、対敵通牒的もしくは愚劣だったかもしれない政治家の名前を、半世紀以上現役にとどまるかもしれない新鋭空母につけるのは、もう、やめよう。

 フォード級空母の三番艦には『エンタープライズ』とつけられる。これだよ。こういう名前が、海軍軍人の士気を高めるんだ。

 他の候補としては、ホーネット、ラングレー、レンジャー、ワスプ、キティホーク、コンステレーション、サラトガ、がある。こんなに使える艦名が空白となっているのに、くだらない政治家の名前なんか、つけるんじゃねえ!

 俺は『USSクリントン』とか『USS GWブッシュ』『USSオバマ』『USSトランプ』なんていう軍艦は、見たくはない。だがこの調子だと今から10年以内にはそれらは実現しちまうだろうな。

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  Mark Harris 記者による2019-11-15記事「Ghost ships, crop circles, and soft gold: A GPS mystery in Shanghai」。
 中共は、上海周辺で、GPS撹乱システムを2018夏から運用中である。
   そのため商船搭載のAISが上海周辺では狂わされてしまう。危ないったらありゃしない。

 上海の自転車乗りたちが使っているフィットネス目的のスマホアプリも、黄浦江の周囲では不意に妨害されてしまう。したがってこれは対船舶には限定されていない。

 ※そのへんでDJIドローンを飛ばせば、回収不能になるわけか。かわいそうにな。

 この妨害電波は、河川警察や、海警の船艇も、無差別に妨害しているようだ。

 揚子江では、砂金とよばれている資源がある。川砂だ。1980年代からの建設ラッシュは大量の川砂を需要した。それを掘りまくった結果、橋脚や護岸が崩壊するまでになった。だから2000年に、川底の砂掘りが全面禁止されている。

 違法に川砂を掘るには夜がよい。夜の作業にはAISが不可欠だ。当局は、それを妨害したいのかもしれない。

 それにじつは揚子江にも「密輸船」が暗躍している。タンカーが石油をどこからか運んで来るのだ。それを海警が取り締まろうとして、夜間の衝突事故なども起きている。

 ※案外、フロッグマンの挺進偵察防止の実験かもね。