座席回転寿司――ができるのではないだろうか?

 客のほうがベルトコンベヤで次々に流されて行くので、人の滞留による感染は助長されない。

 あと、《拘置所の接見場》型の風俗店。仕切りのプレキシグラスがあるので、お互いに安心。やはり、客側の座席がコンベイヤーで流されて行く。

 野外ツアー型イベントでは、引率案内役の人の口の中のつぶやきをマイクで拾って、客の持っているトランシーバー型レシーバーで再生してやれる、そんなデバイスが重宝するだろう。じゅうぶんすぎるくらいのソーシャルディスタンスを保ちながら、観光客をゾロゾロと案内できるのだ。
 案内人は、大声で話す必要はない。ほぼ無声でも、AIによって有声に再生されるからだ。

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 David B. Larter 記者の記事「The US Navy’s hospital ships in the COVID-19 fight badly need replacing」。
   『コンフォート』と『マーシー』はタンカーから病院船に改装されてから35年近く経つ。タンカーとしては50年前に建造されている。

 スチームタービンエンジンの保守がわかる水兵はほとんどいなくなっているし、毎年の修理代だけでも馬鹿にならないので、海軍は2018年にこの2隻を解役しようとしたが、議会が阻止してしまった。
 連邦議会は2019年の国防予算授権法の中で、もし海軍が病院船を解役する場合は、それはかならず代船を配備した後でなくてはならぬ、と法定してしまった。

 海軍はCHAMPという船型をもっている。これは補助艦艇の共通船体にできるもので、マルチミッション――たとえばサブマリンテンダーや、指揮専用プラットフォーム等――にも対応させるべく考えられている。2020年の海軍の整備計画では、CHAMP船型を採用した新しい2隻の病院船は、2036年と2037年に就役できるであろう。

 ところが新しいサブマリンテンダー案が建造費13億ドルにもなると昨年12月に知られてしまい、CHAMP船型なんてダメだとという声が挙がっている。もっとコストエフェクティヴにできねえのか、との怒りの声だ。

 海軍部内では、総計2000床の病院船なんて運用できるわけねえだろ、との本音が交わされている。2000床の患者の面倒をみるためには、陸上の海軍病院の医療スタッフを根こそぎ動員するしかない。その空白化した陸地の海軍病院は、勤務経験のある退職老人たちを再度召集し、素人を看護助手にして、埋めるしかないからだ。

 過去、『コンフォート』と『マーシー』が派遣されるときには、せいぜい250床から500床をケアできるだけのスタッフを乗船させたものである。機関室などは民間人に頼っていたが、いまどきスチーム動力が分かる民間人なんていねえっての。

 退役海軍大佐のアナリスト氏いわく。新病院船は1隻あたり500床以下のスケールでいい。そうすることで、フネの吃水も浅くなり、僻地の浚渫されていない小港へも自在に入って行けるようになるから、好都合なのだ。

 ※意外なのである。米海軍関係者からは、次のような意見が出てくるものと思っていた。「こんどの新コロ騒ぎで各国のクルーズ旅行会社が客船を手放すだろうから、その客船を海軍が安く買って病院船に改装すればいいじゃん」……と。わざわざ新造する必要なんかどこにある? 豪華客船には、内部に巨大なランドリー設備と厨房設備、冷凍庫設備、造水設備があるんだから、あとはヘリパッドを拡充し、部屋数を間引き、換気ダクトを引き回せば、500床規模の病院船には短期間で転換ができるはずだ。俺、何か見落としてますかい?

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 Michael Shurkin 記者による2020-4-1記事「Pandemics and the U.S. Military: Lessons from 1918 」。
      1918年の「スペイン風邪」(スパニッシュ・インフルエンザ)は、スペインが起源だという証拠は何もないそうである。ひとつ確かなことは、アメリカではそのアウトブレークはカンザス州の米陸軍基地キャンプ・ファンストンから1918-3に始まった。やがて、欧州戦線へ派遣されるおびただしい米兵とともにフランスに持ち込まれ、さらに全世界へ拡散したのである。

 1918年のうちに、12万1225人の海軍・海兵隊の軍人が入院措置され、そのうちの4000人以上が死んだ。海軍には精密な統計値があるのである。

 陸軍部隊はもっとひどいことになっていたが、あまり正確な数字は記録されていない。しかし、米国内外のどの駐屯地でも兵隊の25%から50%が病臥した。

 パンデミックは三波であった。第一波が1918春。第二波が1918年の9月~10月。第三派が、1918末~1919初の冬期であった。 ※夏だけは、おさまるわけだ。

 陸海あわせて79万1907人の米兵が米本土とフランスで入院。うち2万4664名は死亡。

 フランスでの最初の患者は4月に発生した。
 5月中旬までに、在仏の米兵の10%~70%が罹患。

 フランス軍将兵も罹患した。5万3000人がその病気で死亡した。つまり仏軍の6個師団分が消えたことになる。

 英国とドイツに「スペイン風邪」が広がったのは、フランスよりも後であった。

 第一波感染は比較的にマイルドなので、毎年恒例のインフルエンザだとうけとめられた。しかし第二波は殺人的だった。

 当時も今も、インフルエンザ系感染症に対する軍医の対処法は決まっている。
 日常の衛生の徹底、患者の隔離、人と人との距離は常に開けること、人ごみを形成させないこと。
 それしかないのだ。

 黒人兵部隊の罹患率は低かった。これは、黒人たちが差別されて、自動的に隔離されていたからだろうと考えられている。

 白人兵は建物内に皆で舎営していたのに、黒人兵は野営……庭にテントで幕営することを強いられていた。これが罹患率の違いを説明してくれる。

 しかし黒人兵がいったん罹患すれば、肺炎になる率は白人兵以上に高かった。

 野戦病院では、ベッドひとつひとつを天幕地のカーテンで仕切ったり、患者Aの頭が、隣のベッドの患者Bの頭とは離れるように、1床ごとに、ベッドの枕を置く端を逆転させた。

 一研究者は、米本土からフランスまでノロノロと兵隊を運んだ、過密状態の兵員輸送船がいちばんよくなかっただろうという。
 大西洋を横断するうちに、この兵員輸送船内で感染して死んでしまった兵隊がたくさんいた。フランスに上陸した時点でインフルに罹患していて、直後に死んだ者もたくさんいた。

 だから米陸軍の軍医長官のチャールズ・リチャードは1918秋に、兵員輸送船に搭乗させる前にすべての将兵に1週間の検疫隔離をさせることや、1隻あたりに詰め込む人数を緩和せよと、参謀総長に勧告している。

 しかし参謀総長のペイトン・マーチは、却下した。彼は、症状の出ている兵隊だけを乗船させなければいいと判断した。無症状のキャリアのおそろしさについて、彼は無知だったのか?

 マーチの高等判断。大量の米兵が次々に欧州に送り込まれているという現実が、ドイツの戦争指導部をして、継戦の望みを断たせつつある。ここで送り込みのペースを緩めると、敵は、調子付いて、また元気をとりもどしてしまう。不運にもインフルで死んでしまう米兵は、フランス戦線で敵弾により戦死する戦友と同じくらいに、戦争勝利に貢献する、と。ウィルソン大統領は、このマーチの意見に同意した。

 ※じっさいドイツの1918最終攻勢は、ドイツ軍の下級将兵の士気低下をまったく感じさせないものだった。キチガイのように元気満々に攻めてきた。それを押し返す必要があった。

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 Evan Bleier 記者による2020-4-1記事「Remembering the Pandemic That Nearly Killed Babe Ruth」。
      1918年5月中旬の日曜日、野球チームのレッドソックスのベーブ・ルース選手は、妻とともにボストン北部のビーチで1日休養し、自宅に戻った

 その晩、ルースの身体が痛みだした。
 発熱は、40℃に達した(華氏104度)。スペイン風邪を引いたのだ。

 パーデュ大学の史学教授ランディ・ロバーツが近著『戦争熱:第一次大戦中のボストンと野球』という本で紹介しているエピソードだ。

 レッドソックスの球団医師オリヴァー・バーニーは、どうしたか?
 硝酸銀溶液を、ルースの喉に塗った。

 ところが溶液が気管に入ってしまい、ひどい痛みがもたらされ、ルースはマサチューセッツ総合病院に担ぎ込まれた。
 さいわい、ベーブ・ルースは復活し、チームはその年、ワールドシリーズで優勝した(次にレッドソックスが全米一となるのは2004年)。

 しかし、スペイン風邪の第二波がやってきた。

 教訓がある。ウイルス流行がおさまったようにみえても、医者は、もう大丈夫だと世間に太鼓判を押してはならない。ウィルスにはウィルスのタイムテーブルがあって、それは野球の敵チームとは違うのだ。もっと狡猾なのだ。

 米国のインフル第一波は、1918春。第二波は8月後半から12月までだった。しかし、終息のたびに安全宣言のようなものをアナウンスしたのがまずかった。その次があったのだ。これが教訓也。

 とうじ流布された民間ルーモア。扁桃腺を切除すればスペイン風邪にはならない。抜歯すればスペイン風邪にはならない。咬みタバコを噛めばスペイン風邪にはならない。すべてデタラメだった。しかし、今日、同じようなデタラメが流布されているだろう。庶民は同じなのだ。

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 Katie Tahuahua 記者による2020-4-1記事「Surviving the Coronavirus? Thank Fossil Fuels」。
   米国のいくつかの発電所がピンチ。新コロで欠勤者が増えて、発送電を維持できないかもしれない。

 この新コロ騒ぎの中、とうとう環境左翼供も理解するにちがいない。化石燃料発電というものがなかったならば、全米では、いともかんたんに大量の人が死ぬことになるのだと。