「公平感」を担保できない政策が、有権者から怨みしか買わないことを直感できない政治家しかいねえのかこの国には……。

 Dyani Lewis 記者による2020-4-2記事「Is the coronavirus airborne? Experts can’t agree」。
   空気感染(エアボーン)の意味は、ウイルス疾患のキャリアーがふつうに吐き出している息(呼気)の中にエアロゾルが含まれていて、そのエアロゾル中のウィルスが、他人に伝染させる、という意味。咳やくしゃみや、発話のさいに飛散させる唾の飛沫は、エアロゾルより大きな「液滴」なので、それを空気感染とは言わないのである。

 「マスクは無駄か」という議論も、この、エアボーンをめぐってなのだ。

 WHOは3-27に、新コロはエアボーンしない、と声明している。ただし、医師が患者に喉頭挿管するときだけは、呼気からの感染に気をつけるべきだと。

 しかしエアボーン感染の専門家たちは、ウイルスは空気感染するのであり、そのことじたいは証拠が何年も前からたくさん集められているよ、と警告する。

 ウィルスを輸送するエアロゾルの直径としては、5マイクロメーター以下が仮定される。殊に新コロのエアボーンについて語られている場合は。
 その小ささだと、すぐに床に落下してしまう飛沫とは違って、空中に、いつまでも残るわけである。

 インフルエンザについてのひとつの研究によると、インフルエンザ患者の39%の呼気の中に、他人を感染させ得るエアロゾルが見出されたという。

 厳密な審査を経ている論文ではないが、武漢大学の一研究者が、新コロ患者の入院している病院の周辺数ヶ所で空気を採取して新コロのRNAがあるかどうか調べた。複数の箇所から、それは見つかったという。近くの百貨店の中の空気からすら、新コロ由来のRNAが見つかったと。

 ただしこの研究では、それらのエアロゾルが、はたして他者の細胞に感染する力をもっていたかどうかまでは、確認し得ていない。

 次。
 Scott McLachlan, Martin Neil, Magda Osman & Norman Fenton 記者による2020-4-3記事「Coronavirus: Why Country Comparisons Are Currently Pointless」。
      なぜ、国別の新コロ患者の死亡率を比較することには、いまのところ科学的な意味がないか?

 こう考えてみればいい。
 わたしたちは、喩えるならば、英国には何人の自動車オーナーがいて(総感染者数)、そのうち何人がフォード「フィエスタ」の所有者なのか(感染且つ死亡の者の数)――を知りたいわけである。

 ところが、いま得られているデータは、こんなものしかない。
 すなわち、昨年にフォード社の複数の自動車ショールームを訪れた客のうち1割が、フォード社製の「フィエスタ」という車種のオーナーであった、と。

 ここから、英国のすべての自動車オーナーのうち1割もが「フォード・フィエスタ」を持っている――と言っていいであろうか? そんなにいるわけがないではないか、常識で。

 いまのところ、英国では、新コロ検査は、新コロ症状が出て病院にやってきた人たちに対してのみ、ほとんどの場合、行なわれているわけ。

 この記事を書いている時点で、英国で新コロ陽性と診断された人は29474人。これはいわば、どこかのショールームを訪れた自動車オーナーの数。
 そしてそのうちの2352人は死んでいる。これはいわば、「フィエスタ」を持っていてショールームを訪れた人だ。

 だがこの数字は、重症ではないから病院に行かず、受診していないという人や、感染しているのに症状のない人を、全く、含んでいない。

 したがって、英国で新コロの平均死亡率が8%だとかいう話には、なんも意味が無い! それは英国の自動車オーナーの1割はフィエスタのオーナーだと言っているのと似ているのだ。

 新コロに感染しているのに受診をしていない人、そして死んでいない人が、ノーカウントなんだから。
 自動車オーナーだけども、フォードのショールームには行かなかった人や、自動車オーナーだけれども、フォード・フィエスタのオーナーではないという人は、この勘定には入っていないのだから。

 ドイツの新コロ死亡率が0.74%なのに、英国ではなぜ8%なんだ、と怒っている英国民に告ぐ。科学的に考えてみろと。

 国によって統計の取られ方がまったく違っているのである。
 たとえば、いくつかの国々では、病院で死んだ患者が死ぬ前に新コロに罹患していると診断されていた場合、その人は「新コロで死んだ人」とカウントされる。ほんとうの死因が新コロじゃなくても、そんなことは考慮されてないのである。

 他方で、じつは新コロで病死したのだけれども、陽性検査をしてなかったよという患者が、ノーカウントにされている。統計数字には、多数の死者が、じつは、まったく反映されていないのである。

 ランダムなサンプリング調査を、各国政府はするべきである。さもないと実態の科学的な国ごと比較など、できやしない。
 そのさいサンプルに拒否権や希望権を与えたらダメ。自己選択バイアスがかかってしまうから。

 次。
 Katie Bo Williams 記者による2020-4-2記事「Exclusive: US Army Wants To Train Hundreds of Soldiers in Coronavirus ‘Safety Bubbles’」。
     新コロに罹っていない兵隊は全員、駐屯地を出ろ! そして終息するまで、野営を続けろ。
 この命令を、大隊規模で実行できるかどうかの試行を、米本土で陸軍が開始する。

 サウスロライナの基地から、遠く離れた他州の基地へ、800名の兵隊を32台の殺菌済みのバスで移動させるという実験も、すでに行なわれた。バスの中にはトイレがついているから、途中でどこにも立ち寄る必要がない。

 ※これからは軍隊こそが観光バスを必要とする。中古の観光バスが軍隊に転売される流れがうまれる。

 ※過去記事の「八雲基地」の特殊車両の写真ももういちど見てほしい。トラック・ベースの、こういう車両の需要も増えるに違いないから。