公園の、互いに20~40m離れたベンチに座って、面会すればよいではないか。

 不要不急でも、対面して様子を確認したい知人は、いるものだろう。

 公園管理機関は、こんなときこそ、気を利かせて、過疎公園に、ベンチを増設したがよい。
 20m間隔で、対面するように、点々と、できるだけ散在する如く、配置するのだ。

 予算がなければ、手作りベンチの寄付を募れ。暇なクラフトマンは、常に、どこかに居るもんだ。

 いままで誰も足をのばさなかったような辺鄙で寂れた公園ほど、今日の潜在利用者たちを惹き付けると思う。
 そこで屋台の商売だってできるだろ。

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 『サウスチャイナモーニングポスト』紙の2020-4-5記事「Desperate Thai sex workers like ‘Pim’ risk Covid-19 death just to pay rent」。
   バンコクからパタヤまでのタイの赤線地帯。
 タイには30万人の性サービス産業労働者が存在するが、4月3日から、夜10時~早朝4時までの外出禁止令が施行され、すべての店舗が夜間に閉門するようになったので、まさに路頭に迷わんとしている。このままでは住居の家賃が払えない。

 ちなみにバーとレストランはその前の週からもう休業させられている。バンコクの性産業ワーカーたちは、そうしたバーで働き、チップを貰ってその場から客と同伴でどこかへ消える、という業態パターンが多いのであるが……。

 実家と勤務地が近い者は実家に戻ることができようが、遠い地方から稼ぎにきているなどの事情があるワーカーたちは、こうなると、店舗を使えず、個人でストリートに立つしかない。

 タイ政府は、もしさらに2000人の新コロ患者や20人の新コロ病死者が増えた場合、今の「10時-4時」の夜間外出禁止令を、24時間に拡張すると予告している。

 記者が取材したひとりのセックスワーカー(ピムと名乗る男→女トランスジェンダー。タイでは珍しくない)の場合、すでに10日、客をつかまえられずに、宿代の滞納が始まっている。

 ピムの友人の同じくトランスジェンダーであるアリスの場合、ゴーゴーバーを客探しの拠点にしていたが、そこが閉鎖されたので、やはり仕方なく政令を犯してストリートに出ている。

 アリスは新コロ流行前には、週に300ドルから600ドルを稼いでいた。

 アリスたちはホテル暮らし。客を引っ張り込む仕事場もそのホテルの部屋なのだが、このままではその部屋代が払えず、追い出されてしまう。

 夜間営業禁止令はあるものの、バンコクの夜の大産業はセックスなのでそれ目当ての外国人観光客はいる。したがってセックスワーカーたちも、路上での直接交渉でかろうじて商売できる。

 田舎があるセックスワーカーたちで帰れる者はすでに群れをなして実家に戻った。数週間、田舎で待機していれば、やがて夜のロックダウンは解除されるだろうと期待して。

 だが、この災厄は数ヶ月も持続するかもしれない。失業が数ヶ月に及ぶかもしれないのだ。タイの非公然産業界にとっては、たいへんな経済的な打撃だ。

 タイ政府は、これから3ヵ月に生ずる数百万人の新規の失業者に対して、緊急に5000バーツ=150ドルを支給する計画である。しかしセックスワーカーたちはその対象から除外されるという。正規の被雇用者であったと証明することができないので。

 タイでセックスワーカーを支援する組織の「エンパワー・ファウンデーション」いわく。タイでは風俗産業が年間に64億米ドルも稼ぎ出しているのにこの仕打ちは何だと。

 性風俗産業に従事する者の多くはシンママである。他の職では被扶養者を養えないからセックス産業に身を投じているのだ。政府はそれを救済しないのか。

 ※この構図は日本でも同じで、ナマポ受給者と比べてシングルマザーのセックスワーカーの方が数等、日本の医療にかけている迷惑度が小さい。それを新コロ大不況救済の対象外とするとは、政府は外道か? 国保を納めている細民を念頭した、公的保険料減免を軸とした救済措置を講ずることで、シンママにも投網がかかり(申請の手間はいっさい要らず)、高等ナマポ民は明確に除外される。これぞ公正なご政道というものだろう。

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 Abby Vesoulis 記者による2020-4-2記事「Spiking Unemployment Means Millions of Americans Can’t Pay Their Rent This Month. Can The Government Help?」。
       21歳の東ミシガン大学生の機械工学科の学生ケンドリック君は、夏のインターンシップとケイタリングのバイトで自活できる見通しだったが、3-25に同大学は全講義をオンライン化し、仕事はレイオフされた。彼の父は新コロ肺炎で入院しているが、やはり失業者である。

 このままでは、彼の一家は、家賃が払えなくなる。

 もっか、トランプ政権の救済対象は、ローン未済の自宅居住者が念頭されていて、賃貸住民の家賃滞納危機が放置されている。

 3月18日、トランプ政権は連邦住宅局を通じてモラトリアムを命令した。片親世帯の住宅ローンについて、滞納があっても、その住宅からの追い立てを執行してはいかんと。

 『ワシントンポスト』紙によれば、すくなくも4000万人の賃貸住宅居住者は、連邦のモラトリアム救済措置の対象外になっていると。

 各州政府も独自にいろいろな救済を考えているが、やはり自宅ローン未済者が対象の中心で、賃貸住宅居住者はあとまわしにされている。

 例外として、加州のニューソン知事は、5月末まで、賃借人の追い立てを禁ずるという命令を出した。

 それでも問題は大きい。新コロ流行がいつか終わり、家賃のモラトリアムがなくなったときに、米国経済はどん底であり、賃貸住民は無職である可能性が大なのだ。どうやって、積み重なった家賃(負債)を、大家(債権者)に支払える?

 31歳のアマンダ・ハンセンの例。加州郊外の自動車ディーラー店でパートの受付をしていたが、3-24にレイオフされた。RVレンタル会社の正社員だった彼女の亭主も、3-25に解雇された。

 この夫婦は、12年借りれば12年後にその家を所有できるという契約形態の借家人である。いま、7年住んだところだが、これから先は、どうすればいいのか。今月の家賃も、払えないのだ。しかも、2台の自家用車のローンも未済である。

 経費を切り詰めなくてはならぬ。しかしクルマを捨てるというわけにいくものか。加州の田舎で職探しをするのに、移動手段なしではどうにもならないからだ。町へ買い物に出るだけでも、自動車で20分かかるという立地なのだ。

 ※2009年のPHP研究所刊『自衛隊無人化計画』で主張したことを、またしつこく提案させてもらおう。巡航最大時速37km、瞬間追い抜き時速42km以下のマイクロ・ヴィークルで市街地と郊外の住民の用が足りるように、日本の交通環境をドラスティックに変えれば、地方の老人や貧乏家庭も移動/輸送手段を確保でき、社会のコストも減るのだ。ほとんどの道路で低速走行が強制される社会にするなら、それら車両の安全機構はグレードダウンできるので、驚くほど安価に、人々は生活できるようになるのだ。今こそあの本を読み返して欲しい。PHPでデジタル化されています。

 米国住民の4割は、ある日とつぜんに400ドルが必要となった場合、借金せずしてはそれを用意できないという、そんな生活水準なのである。

 ある機関が計算した。この4月1日に、全米の賃借人が大家に支払わねばならない家賃の総額は、494億ドルだろうと。

 ある資料によると、寝室が2つある中級のアパートの平均賃料は1197ドル/月である。ということは、トランプ政権が3-27に打ち出した「1200ドルの現金支給」は、賃借人を1ヶ月間、生き延びさせることしかできない。※これは日本の賃貸「マンション」の感覚だな。家族持ち用の。

 加州に限ると、2寝室マンションの賃料は月1858ドル。ニューヨーク州では1542ドルである。

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 Dr. Sanjay Gupta 記者による2020-4-5記事「The mystery of why the coronavirus kills some young people」。
     ある症例。ニュージャージー州の30歳のベン・ルデラーは、新コロ軽症の妻から病気を移された。夫婦はどちらも学校教員なので知的階級に属する。ベンは高校時代は野球のスター選手で、健康そのものだった。既往症も、基礎疾患もない。
 しかしベンは重症化した。

 金曜日。ベンは呼吸が苦しくてたまらず、妻に、病院へ送ってもらった。病院で酸素と点滴とティレノールを投与され、ベンはいったん恢復した。すぐに退院。日曜日は、快調そうに見えた。

 ところが、日曜日の夜、ベンの容態が急変する。また、呼吸が非常に苦しくなった。
 しかしERが必要なほどではないと思い、病院へは行かず、就寝。夜2時に妻が看たときはまだ生きていたのだが、翌朝6時に確かめたら、もう死んでいた。

 肺や心臓の細胞の表面にある「ACE2」酵素が、受容体の遺伝子をわずかに変更することによって、ある人は新コロに耐えやすくなり、ある人は新コロに耐えにくくなるのではないか、との仮説がある。

 免疫反応が強力すぎて肺が水浸しになって窒息死するというケースの場合は、ステロイド剤を投与することにより、免疫反応を弱めれば、助かる場合があるんじゃないかと。

 だがこれから数ヶ月しないと、機序の解明は進まないだろう。



「自衛隊」無人化計画