未利用資料は今のうちに整理しといた方がいいかもな……。

 ずっと昔に人から頂戴して、そのまま20年も利用しなかったコピー資料が押入れから出てきた。その内容がすばらしかったので、あらためて感謝したくなった。小金丸さん、お元気ですか?

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 Ben Werner 記者による2020-4-10記事「Navy, Pentagon Struggling with Lack of Reliable COVID-19 Testing」。
     10日にペンタゴンの保健担当の文官トップが請合ったところによると、次に空母『ニミッツ (CVN-68) 』が任務に出るとき、全乗員に事前の新コロ検査をさせることはないだろうと。

 理由は、テストキットの数が米軍内でまったく足りていないことと、テストがあてにならないこと。
 ウイルスキャリアーであるのに「陰性」と判定されてしまうことがしばしばあるのだ。偽陰性とよぶ。

 というわけで、限られた数の試薬は、それがもっと必要になる情況のために使うことにする。すなわち、症状が出てきた将兵を、すぐにも隔離が必要かどうか、判断しなければならぬ場合のために。

 米四軍のうちで、海軍が、いちばん新コロに脅かされている。人口過密が常態である洋上勤務では、新コロのような伝染病の蔓延はアッという間に起きるからだ。

 課業も、喫飯も、就寝も、自由休憩も、艦内では常に多人数が密集した場所でなされる。それが数週間から数ヶ月、続くのだから。しかも、9万7000トンもある正規空母ですら、その艦内で、発症者の隔離がしっかりできるスペースを確保するのは難しいのだ。

 『ニミッツ』は、次の出動時には、乗員の全員に、まず2週間の陸上隔離生活をさせて、それから乗艦を許すことに決めている。

 海軍は『セオドアローズヴェルト (CVN-71) 』から有益なデータを得ている。グァム島に投錨中の『TR』は、すでに3155人を下船させて、同島の米軍基地内の隔離設備や、民間のホテルに収容させている。

 4日10日の時点で、『TR』クルーの92%に新コロ・テストが済んだところである。その結果、だいたい10人に1人が、陽性であると分かってきた。1人の水兵が重症で、病院で手当てを受けている。

 『TR』の解任された艦長も、テストの結果、新コロ陽性であった。
 海軍長官代行であったトマス・モドリー(文官)は、この艦長を口汚く攻撃したのが世論の反発を買い、辞表の提出に追い込まれた。

 全世界の米海軍の現役将兵、軍属、契約業者、その扶養家族のうち、これまでに新コロに976人が罹患したと把握されている。うち30人が入院した。125人はすでに回復した。4人が病死しているが、うち3人は文官で、1人は契約業者だ。

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 ANDREW DYER 記者による2020-4-11記事「Two more sailors on hospital ship Mercy test positive for COVID-19」。
     サンディエゴが母港である病院船『マーシー』の船内で、さらに2人の乗員水兵〔将校かもしれないが不詳〕が新コロと診断された。これで、同船の固有乗員の罹患者は3名になった。

 『マーシー』はロサンゼルス港の埠頭に接岸している。
 船内の最初の新コロ罹患乗員は4-8に確認された。

 2人目は4-9にテスト陽性。3人目は4-10午後である。
 これら3名は退船させられ、陸上の隔離された場所で蟄居させられている。入院はしていない。

 『マーシー』は母港を3-23に出て、ロスに4日後に接岸した。

 3人の乗員は、患者とは接触していない。
 『マーシー』はロサンゼルス港ですでに40人の患者を船内で治療した。げんざい、18人の患者が船内にいる。
 同船乗務の衛生兵曹の証言。わしら乗員は新コロ・テストを受けてないんですよ。そしてここにやってくる、老人、病人、怪我人の患者たちに接触しているわけです。わしら自身は、守られていないんですよ。

 この衛生兵曹によれば、『マーシー』の乗員用の「N95」マスクは、洗浄して何度も再使用されている。これはCDCPの推奨からは外れたやり方である。

 『マーシー』には1000人を超す医療スタッフが乗り組んでいる。そのうち30人が、新コロ陽性が判明した乗員との接触があったという理由で、すでに下船している。

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 Rebecca Jennings 記者による2020-4-10記事「A food safety expert on why you’re unlikely to get the coronavirus from groceries or takeout」。
     食料品店で最も危険なのは、食料品ではない。他人との接触だ。
 最善の方法は、店員にチップをはずんで食料品を自宅まで配送してもらうことだ。
 仕方なく食料品店へ行くのならば、他の客に2m以内には近寄るな。

 自宅で、食品を包装から取り出したあとにも、手は洗え。

 食品安全の専門家であるベン・チャップマンに訊ねた。

 デリバリーは、とても安全だ。それはあなたが食料品店へ行って他人とすれ違うよりも、数等、安全なのである。
 ピザ等を、玄関前に置き去りにしてもらい、玄関での直接の手渡しはしないですむような方法を選べるなら、なおいっそう、このましい。スマートフォンのテキストメッセージのやりとりで、それができるとよい。

 食品自体の表面に、新コロウィルスがついている可能性は、ゼロではないが、スーパーに行って他の客からうつされる確率と比べると、とるにたりないリスクである。
 食品の梱包材に、新コロウイルスがついている可能性も、あり得るが、それは、梱包を剥ぎ取った後に手を洗えば、ほとんど、問題ではなくなる。

 食品業界は、大昔から、大腸菌やサルモネラ菌の排除に気をつけてきた業界なので、たとえば食品の製造工程のどこかで作業員が製品に向かって咳をするようなことは、まずないと信じてもらいたい。

 今日、食料品のサプライチェーンは地球規模だから、原料時点から消費段階まで、いったい何人のウイルスキャリアがその食品に触ったかは見当もつかない。しかし、誰かが咳を吹きかけた食品が店で売られて、その食品を購入した客たちばかりが一斉に発病したという事例は、過去に、1件も報告されていないのである。

 そんな懸念に比べたなら、マスクをしない客が食料品店内をうろついて他の客とすれちがっている、という事態の方が、何倍も、明確に、危く、おそろしいことなのだ。

 全米で毎年、食あたりで3000人が死んでいる。死ななかったが入院した事例を含め、4800万件のデータを我々は持っている。その知見から、今、推奨ができること。

 調理前と調理中に、念入りにでなくても可いので、手を洗え。

 十分に加熱されたかどうかを直感によらずに確認できる温度計測手段があるとよい。

 シンクを殺菌しているか? たとえば鳥肉を洗ったあとのシンクには、雑菌が無数に付着しているものなのである。シンクやまな板を殺菌洗浄せよ。

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 Antonio Regalado 記者による2020-4-9記事「Blood tests show 14% of people are now immune to covid-19 in one town in Germany」。
       オランダに近いドイツの町、ガンゲルト。2月のカーニバル以後、町民数千人が新コロに感染してしまった。この町の住民500人の血液を精査した結果、使えるデータが得られた。

 7人に1人が新コロに感染し、すでに免疫になっていた。
 その感染者の中には、まったく、新コロの症状を自覚しなかった者もいた。

 ここから、他の市町村のロックダウンの必要期間を想像することができる。

 大人数が濃厚接触するカーニバルとお祭りがあったのにもかかわらず、ガンゲルトの住民のたった14%しか、新コロには罹らなかった。この程度だと、免疫抗体をもっている住民が少なすぎるため、まだまだ、感染拡大は続くと予期しなければならない。

 すでに感染した人の割合が、住民の半数から四分の三に達したときに、その地域が、ほぼ免疫だと言えるようになるのだ。すなわち、そこから先は、もう流行は続かなくなる。

 米国政府は、たとえばニューヨーク市のような巨大都市であれば、住民20万人をランダムに選んで、ガンゲルト町と同様な血液検査をしたがよい。それによって、新コロの流行が終息する敷居の時節を科学的に予測可能になるのだから。

 いま、全世界に150万人の新コロ患者がいるとされるが、その数字は、症状が自覚されて病院に行って、運よく病院で検査してもらえた人を示す。いま、住民の何割が免疫になっているのかは、ちっともわからないから、流行終息の予想には役立たないのだ。

 スタンフォード大の医薬部では、独自に、医師、看護師らの血液を、血清学的に調べて、新コロ免疫かどうかをスクリーニングしている。免疫があると分かった人は、患者に接するリスクもないわけである。

 またもし、病院関係者の新コロ陽性率が5%だと分かったとしたら、その病院は、市中の住民より高い確率で新コロにやられているということが把握される。

 ガンゲルト町の住民約1000人の血と喉を調べたのは、ボン大学病院のウィルス学者ら。

 今回の調査研究で、新コロに感染した場合の死亡率は0.37%だと分かった。これは、その前にジョンスホプキンズから公表されている数値よりもずっと低い。
 ジョンズホプキンスのデータは、分母が自覚症状のある患者だったから、とうぜん、率が高かったのだ。