来年から、小学校の家庭科の最初の授業は、「ありきたりのものでとりあえずマスクを作る」になるだろうね。

 J.P. LAWRENCE 記者による2020-4-25記事「Air Force veteran’s firm is $100,000 winner of Army contest to develop ventilators」。
       もと空軍の救難隊員だったマイケル・マグワイヤーは、除隊後、救急医療機器のメーカーを立ち上げた。その会社が米陸軍のコンテストに4月前半に応募した、「手動式」のベンチレーター(挿管強制呼吸器)のアイディアがよさそうだというので、このたび、米陸軍が、プロトタイプ製作費用として償金10万ドルを贈った。

 この陸軍主催のコンテストは「xTech COVID-19 Ventilator Challenge」と称し、簡易型のベンチレーターを製造できる会社に3分間のプロモビデオを送ってもらい、優秀な案を褒賞しようという企画。150社強が応募してきた。
 もちろん優劣を審判するのは、緊急治療の専門家の審査員たちだ。

 コンテストは2段階。まず「企画売り込み」で候補を絞り込む。この段階を通過したメーカーには5000ドルが与えられる。そして最終審査で選ばれた企画に10万ドルが投じられる。その資金でプロトタイプを造れというわけ。

 今回償金を貰ったマグワイヤのベンチレーターは手回し式なので、救急隊員、衛生隊員が、どこでも即座に使える。新コロ重症肺炎患者が、モーター式ベンチレーターのある病院に搬送されるまでの、ツナギになるわけである。

 手回しで空気をどんどん送り込めばいいという単純なメカニズムではない。空気をオーバー・インフレーションで送り込んだら、患者は逆に死んでしまうからだ。手回しなのに、精密に、空気量が最初の瞬間から正しく制御される、という安全対策に、新機軸がある。

 マグワイヤいわく、量産に移した暁には単価3000ドル未満で市販します。軍用にも民用にもなります、と。

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 LISA REIN AND JACOB BOGAGE 記者による2020-4-25記事「Trump says he will block coronavirus aid for US Postal Service if it doesn’t hike prices immediately」。
    トランプ大統領は、米国連邦郵便制度の小荷物郵送料が安すぎるのは大問題だと思っており、小包郵送料金は今の4倍に値上げされるのがふさわしいと考えている。
 特に大手通販会社に提供しているサービスが、送料をダンピングし過ぎているのがよくないと。

 外野の観測。トランプに批判的な『ワシントンポスト』紙のオーナーでもあるジェフ・ベソス(アマゾン創立者)への個人的な怨みもあるのではないかと。

 しかし事実として、UPSやFedEXのような民間の宅配業者の送料設定よりも、連邦郵便局の小包送料は遥かに低い。

 アマゾンの側ではもう手を打っている。自社抱えの宅配サービス網を構築にかかっているのだ。それは、もし今のパンデミックがなかったならば、2022年において UPS や FedEx を上回る荷扱い量に成長している予定だった。

 全米の小荷物輸送総量は前年同期に比べて53%も増えている。みんな自宅蟄居しているためだ。

 米国郵便局にとって、小包の扱い量は全郵便物のうちの5%なるも、収益ベースでみると30%をそこから稼ぎ出している。

 UPSやフェデックスもその郵便料金の安さに便乗し、「ラスト1マイル」の配送仕事をローカルの郵便局に頼んだりしているのだ。
 つまりトランプに言わせるとベソスは連邦機関に損害を与えることで大儲けしているのだ。

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 Sara Toth Stub 記者による2020-4-25記事「Venice’s Black Death and the Dawn of Quarantine」。
       ベニスはもともと数十の小島から成るが、そのうちふたつ、「ラザレット・ヴェッキオ」と「ラザレット・ヌオヴォ」こそは、14世紀の黒死病流行後に「隔離」「検疫」の待機地に指定された無人島であった。

 この黒死病、欧州で2500万人を殺した。とうじの全住民の三分の一だった。

 ベニスは交易都市である。将来もどうしても疫病のリスクがある。そのリスクを制御しながら商売を継続する方法は、何か?
 病人や、保菌の疑いのある人を、ひたすら別な島へ隔離することしかない、と結論された。

 ラザレットヴェッキオは、15世紀前半、ペストに罹ったヴェニス市民を隔離療養させる島として指定された。

 ついで、ラザレット・ヌオヴォ(新隔離地)が、ペスト流行地からやってきた商船や、船内に病人が発生している商船が、40日間の検疫監視期間を過ごす場所として指定された。「40日」をイタリア語で「quaranta giorni」という。それが英語の「クォロンティーン」になった。

 ※長崎の「出島」は、そのまんま、ラザレットにもなっていたわけか……。

 商人の集団というのはすごいものである。だれよりも早く世界智を集結させる。疫病が目に見えない病原体の仕業だということがつきとめられるのは、それから400年も後なのだが、ベニス当局は、早々と、病原微生物への正しい対処法と情報収集システムを確立してしまったのだ。

 「ラザレット」(隔離病院・隔離島)も、その呼び名のままで、後世、米国政府によっても採用されている。